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「人工内耳の認知促進が必要」−豪州コクレアCEO

2009年07月07日 21:46更新 mailメール

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オーストラリア大使館と日本コクレアは7日、オーストラリア政府とメルボルン大学の産官学共同で開発された、世界で唯一とされる高度感音難聴者の聴覚機能を回復できる技術「人工内耳」に関するイベント「From Silence to Sound」をオーストラリア大使館で開催した。

 同イベントでは1985年の日本初の人工内耳手術に海外のエキスパートとして参加したリチャード・ダウウェル博士(豪州聴覚学教授、メルボルン大学耳鼻咽喉科代表)と、世界No.1シェアを占める人工内耳メーカーであるコクレア社長兼最高経営責任者のクリス・ロバーツ氏が日本と海外における人工内耳の動向、今後の展開について説明した。

 日本では600万人(人口の約5%)が難聴者であるとされている。その中でも補聴器ではほとんど音を聞き取れない高度感音難聴者は約30万人とされている。新生児の1000人に1人が先天性高度感音軟調と診断されているという。近年では2000年から始まった新生児聴覚スクリーニングが国内でも徐々に浸透していることから、小児の人工内耳装用手術実績も年々増加している。特に言語習得期にある小児は、早期に人工内耳を装用することで、聴覚のみならず、発話および言語能力の発達にも大きな効果があるという。このため、人工内耳装用に関するサポート体制の確立が日本における今後の重要な課題の一つとなっている。
 
 豪州コクレアCEOのクリス・ロバーツ氏は「人工内耳を日本でもっと認知させる必要がある」と述べた。すでにオーストラリア・ベルギーではろう学校はほとんどなくなってきているという。コクレアは日本でより人工内耳を認知させていくことで、より多くの人に「聞こえる自由」を与えられることを期待している。

 長女が2歳になったときスイスで人工内耳の手術を受けさせた知茶子シュタイガーさんは、「長女の『難聴』との診断を受けたとき、床がドーンと2メートル沈んだ感じがした」と当時の状況を述べた。しかしその後人口内耳を装用した事を受け、娘と通常のコミュニケーションが取れるようになった。長女は現在12歳で、英語・フランス語・ドイツ語を流暢に話し、現在は日本語もマスター中であるという。

 人工内耳手術は、耳の後ろ(耳介部)を5−6cm切って内耳に埋め込まれる電極を含めた内部危機を設置する手術で、全身麻酔をかけて行われる。手術そのものは2−3時間程度で終わり、通常1−2週間で退院できる。日本では1985年に東京医科大学の船坂教授が初の人工内耳手術を実施した。コクレアが人工内耳手術を手がけてから27年が経過するが、これまで後遺症が残る例はほとんどなく、安全性も高い。

 マクレーン駐日オーストラリア大使は、コクレアについて「世界医療器市場でもっとも成功をおさめたオーストラリア企業のひとつである」と述べた。コクレアの人工内耳は世界で12万人以上の人が装用しており、日本でも約5,400人が装用している。人工内耳の埋め込み手術は健康保険の適用もされるため、人工内耳手術総費用約400万円のうち、3歳で手術を受けた場合は、自立支援医療制度適用で最終的な自己負担は55,055円となる。人工内耳を埋め込まずにろう学校に通う費用に比べれば、総額としての費用は劇的に安くなり、また聴覚を早期に使用できることによる言語習得能力の向上も期待できるため、コクレアは日本でより早期の段階での人工内耳装用が広まることを期待している。

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