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[コラム]中国のシェールガス生産とロシアへの影響

2010年03月18日 16:20更新 mailメール

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     中国は、2020年までに、ガス消費量の4分の1を自国の天然ガス生産で賄うことを計画している。ペトロチャイナの代表は、世界のシェールガス埋蔵量は45兆立方メートルに達しているとしている。
     
     中国は、早くもシェールガスの生産に取り組もうとしている。昨年11月には、チャイナペトロケミカルがオランダ企業シェルと中国国内におけるシェール資源の共同開発に関する協定を結んだ。多くの専門家は、中国企業のシェールガス採掘事業が活発化しても、中国国内市場における生産者の競争激化を招くのみであると考えている。
     
     シェールガスは、すでに、世界のエネルギー市場における需給関係に変化を及ぼしている。それは、アメリカのシェールガス生産量が増加したことによって、ガスプロムを含む液化天然ガス供給者がアメリカのガス市場に参入することが難しくなったためである。2月末、以前アメリカ市場の10%獲得を計画していたガスプロムは、金融危機によるアメリカの市況低迷から、シュトクマン・ガス田の開発開始時期を延期せざるを得なくなった。ムルマンスク州における液化天然ガス第2工場(サハリンにはすでにLNG工場がある)の建設も、どうなるか分からない。
     
     しかし、多くの専門家は、中国がアメリカと同様の道を辿ることはないだろうと考えている。中国の天然ガス需要は毎年伸びている。ペトロチャイナの周吉平(ジョウ・ジーピン)副総裁は、昨年12月初頭に、今後10年間で中国のガス需要は3倍以上に増加するだろうとの見通しを示した。2009年に810億立方メートルであった中国のガス消費量は、2020年までに3000億立方メートルに伸びる見込みである。周吉平副総裁によると、現在、世界の天然ガス需要は毎年18%ずつ増加しており、2050年には、主要エネルギー源の中でも、ガス需要が最大になる見通しである。Veles CapitalのアナリストであるLyutyagin氏は、世界の天然ガス需要がこれほど増加するとなると、購入者は、ロシア産や中央アジア産のガスを求めるようになるだろうと述べる。同氏は、「また、今に至るまで、シェールガス生産の採算性は疑問視されている。採掘コストをカバーするには、多くの生産井を掘らなければならない。」と指摘する。
     
     Capital Investment GroupのKryukov氏も、シェールガス生産はコストのかかる難事業だということに同意している。その上で、同氏は、「しかし、近年、非在来型資源の開発は大きく進歩した。」とも指摘する。アメリカのシェールガス生産動向も、今後の非在来型資源の可能性を示唆している。2007年のシェールガス生産量は340億立方メートルであったが、2008年には570億立方メートルに増加した。そして、2009年には上半期だけで800億立方メートルのシェールガスが生産された。大手のエネルギー資源企業も、シェール資源プロジェクトに投資をしている。エクソンモービルは、昨年、アメリカの非在来型ガス生産大手XTOエナジーを買収した。また、フランスのトタルも、チェサピーク・エナジーが保有するシェール資源事業の権益25%を取得した。
     
     欧州にも、シェールガスはある。アメリカのコンサルタント会社East European Gas AnalysisのKorchamkin理事長は、間もなく、欧州でも、シェールガスの生産技術が完成されるだろうと考えている。そうなると、ガスプロムは、アジア向けの供給に焦点を合わせなければならないが、ロシアのガス輸出量全量を欧州が欧州圏内で生産することは不可能だろう。
     
    FINAM
    2010_03_17L

    出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティングホームページ(http://www.murc.jp/index.html)「真野輝彦客員研究理事コラム 2010年1月12日付」より

    ―インフレの萌芽―

     商品相場が高騰を続けている。原油相場が上昇し1年3カ月ぶりに80ドルの大台に乗せている。一年前の2008年12月末と直近値を比較すると、金は822.7米ドル/オンスから37.8%、原油は39.08から2倍以上の値上がりである。商品相場の総合指数であるCRB 指数をみても昨年一年間で28%の上昇を示している。このインフレの萌芽を摘み取るため、成長率の高い中国では中銀が市場金利を引き上げ、欧米でも金利政策の出口論が始まっている。

     商品価格の上昇は生産者にとってはメリットではあるが、利用者、特に消費者にとっては大きな負担となる。失業率が5%台に高止まりし、物価上昇に見合う賃上げはとても期待できない状況だからである(1月4日付本コラム「企業収益と賃金のデカップリング」ご参照)。

     上記の商品相場は米ドル建であり、今迄の円高が日本の物価の防波堤になっていた。ところが最近のドル円相場は84円台に下落したあと93円台まで円安に転じ、このことが家計負担の追加要因となっている。背景には米国経済に明るさが見えてきたことに加え、財務相に就任した菅副総理の円安容認発言があるようである。円安が長期金利の上昇に跳ね返っていることにも同時に注目する必要がある。

     手取り賃金の上昇が期待できない家計にとって、消費者物価の下落は唯一の福音である。まだ時間的余裕はある。家計重視の民主党が家計を圧迫する商品高と円安に今後どの様に対応するのか注視したい。



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    真野 輝彦(まの てるひこ)
    三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株) 客員研究理事
       
      1956年 東京銀行入行。
      フランクフルト支店為替課長、本店為替部次長、スイス東京銀行総支配人、
      丸の内支店副支店長、調査部長を歴任。
      1985年東京銀行取締役、1987年東京銀行参与。
      1996年合併に伴ない、東京三菱銀行参与。
      1999年より現職
       
      日本商工会議所・東京商工会議所 政策委員会委員
      国策研究会 評議委員会議長
      日本国際フォーラム 政策委員
      読売国際経済懇話会 特別会員
      International Club of Bank Economists会員
      国際通貨研究所 評議員
      聖学院大学・大学院 教授
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