ロバート・プレクター氏に聞く金融市場で働く「群衆心理」 -IBTimes独占インタビュー
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金融マーケットアナリストでエリオット波動(*1)の解説書やその他数々のトレーディングに関する著作で有名なロバート・プレクター氏に金融市場で働く「群衆心理」について聞いた。同氏は現在国際エリオット波動協会会長を務めている。
Q 米国社会の現在の心理状態についてどう思われますか?
ロバート・プレクター氏 もっとも社会心理を正確に反映しているのが株式市場だと思います。10年間の相場の弱まりにもかかわらず、エリオット波動モデルその他主な指標で見る景況感(低い配当利回り、投資信託純資産総額の減少)は、まだ歴史的に見て高い楽観をもたらしています。
楽観的な見方は2000年、2006年、2007年がピークになっていますが、現在も高い水準にあります。政治局面においても過激派の政治家よりも穏健派の政治家がより選挙で選ばれるなど、社会が今の状態にある程度満足している良い傾向が見られます。市場心理は大局のトレンドを尊重して高揚してきているといえるでしょう。
多くの人は米国民の市場心理は冷え切っているとお考えでしょうが、実際そうではありません。これまでの300年間にわたって高い楽観心理を市場を読みとるベンチマークに使用してきたから、今は市場が悲観しているように見えるだけです。歴史的に見れば、米市場に深刻な悲観心理が蔓延していた時もありましたが、今はそのような時ではありません。
Q この300年間で、米国が大きな悲観に包まれた時代の例をあげてください。市場心理が底辺に達して、投資家にとっては大きな好機となった時代はありましたか?
ロバート・プレクター氏 過去80年間を見てみましょう。
1932年 世界強国が景気後退に陥り、ダウ工業株30種の配当金利回りは17%となった。
1942年 世界強国が戦争に突入し悲観が蔓延した。
1949年 エコノミストらは戦後の景気後退を警戒、米国の株価収益率は6倍という記録的低水準に達した。
1980年 世界的にインフレ傾向となり、米国債利回りは16%に達した。悲観的になった国民は当時の米大統領(カーター元米大統領)失脚に追いやった。
1982年 インフレ調整をしたダウ工業株が1950年と同じ価格で売られた。
Q 今の米市場・経済に対する楽観はどこから示唆されるのでしょうか?
ロバート・プレクター氏 金融市場での楽観は全くない状況です。S&P総合指数については、最悪の10年であったといえるでしょう。未だ楽観心理は強いですが、これは株式市場はまだ底入れには程遠い状態にあることを意味していると思います。マクロ経済動向は社会心理に影響されますから、米経済もまだ底に来ていないといえるでしょう。
Q 現在の米株式市場はどれだけ「群衆心理」によって動かされているのでしょうか?
ロバート・プレクター氏 100%群衆心理によって動いています。いつものことです。市場の動きが穏やかな時も群衆心理は働いています。ファンダメンタルが株価を決めるわけではありません。収益発表による収益結果、配当金などの要素で株価は社債に比べて20倍も大きく変動するものです。株価変動に対するファンダメンタルな基盤は何もありません。エリオット波動モデルでは社会心理の変動によるフラクタル形を定義していますが、結局社会心理というものが株価変動を誘引しているのです。
Q 最近米株式市場で急激な売りが生じるなどの動きが生じていますが、これはどういう現象からきているものなのでしょうか?
ロバート・プレクター氏 株式市場の過去5年間の動向では、極端な市場心理があらゆる市場の局面において働いてきました。2009年の米ドルは割安な水準にありましたが先物市場では3%の相場の高まりを見せるにすぎませんでした。当時は皆ドル安を懸念していました。その後2010年6月に向かって米ドルはが回復してきた頃には、多くの人がユーロ安を懸念しました。そしてまたドルは下落しました。
金相場は5月に2%減少、数週間前に米国債市場はたった2%の減少を見せただけです。市場の群衆心理は非常に大きく働くようになっています。
次ページはこちら ギリシャ国債危機に働いた群衆心理とは?
*1 エリオット波動 ひとつの相場を5つの上昇波動と3つの下降波動が形成しているとされる。R・N・エリオットが確立した金融マーケットのテクニカル理論。
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