[レポート]週刊マーケットレター
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週刊マーケットレター(09年8月31日週号、No.290)
2009年8月30日
曽我 純
図表などはサイトの PDF からご覧になれます。
http://www.grsj.org/marketletter/index.html
■主要マーケット指標
■ 本気でプラス成長になると考えているのか
年末で株価がピークを付けてから20年を迎える。1929年の米大恐慌の引き金になった
NYダウが高値を更新したのは約25年後の1954年である。20年後の1949年のNY ダウ高値は1929年(最高値)の52.6%の水準まで戻しており、20年を経過しようとしている日本株の戻り(前週末値でピークの27.1%)がいかに弱いかが分かる。しかも、現状の企業収益からみれば限りなく割り高となっており、年末に向けて株価の調整は避けがたいといえる。
89年末以降、株価が長期下降トレンドにあり、今もそのトレンドを抜け出せないのは、
日本経済の土台が腐りかけているからだ。戦後、焼け野が原となり、そこに新たに町や工
場を再建したので、経済は力強く拡大していった。そうした復興需要により、日本経済は実力以上に評価されたといえる。このことは長期経済成長率を一瞥するだけであきらかである。1960年代の10年間の名目経済成長率は年平均16.7%と戦後最高を記録し、その後
の10年間の平均成長率は期を追うごとに低下、08年までの8年間の年平均成長率は0.1%
とついに横ばいといってよい状態に陥ってしまった。09年の名目GDPは大幅に落ち込む
ので、09年までの9年間の年平均成長率はマイナスになるだろう。
実体経済がマイナス成長になることは、企業業績もマイナスになることであり、日本の
株式市場に金を注ぐことは、金を減らす行為をしていることになる。国民はこれほど株式
で痛めつけられているのに、日本人のおとなしい性質のせいか、現実に疎いのか、目立っ
た主張はせず、政治に大きな変化はなかった。
株式に関するさまざまな施策も、株式市場を根底から改革していくものではなく、単に、
株式流通市場の活性化のてこ入れにすぎず、超短期売買が根付いただけであった。株式市
場の活性化を通して、実体経済を良くしていこうというデタラメな方法が、誠しやかに実
行されたのであった。結果はご覧の通りだ。
もう少し、証券界に知恵があれば、ここまで業界も衰退しなかったのではないか。過去
のやり方をそのまま続け、自己変革しようとしなかった。まさに身から出た錆である。マ
クロ経済の調査をはじめ、金融・証券などの調査のいずれを取り上げても、欧米とは質・
量とも比べものにならない。ファイナンス関連の博士号取得者や雑誌の数だけでも雲泥の
差があり、このままでは引き離されるばかりだ。欧米の金融機関は不良債権で苦しんでい
るが、いずれ立ち直り、日本の金融機関は蚊帳の外に置かれることになるだろう。目先の
利益だけに目を向けざるをえない余裕のなさ、ほとんどの証券会社が銀行の傘下に入り、銀行独裁人事が組織を壊死に追い込んでいる。
日本経済のデフレは強まってきており、債権者と債務者の立場の違いがますます際立っ
てきた。物価下落により、借入負担は物価が下落しただけ重くなる半面、貸出は増価する
からだ。借金はなるべく早く返済し、借入は見合わせたいことから、金融機関に金が還流
し、貸出が伸びず、信用収縮が起こる。
7月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年比2.2%減と最大の下げとなったほか、
家計消費も4.5%減と2ヵ月連続でマイナス幅が拡大した。過去最高の失業率も加わり、ほ
ぼすべての支出項目が減少し、物価が下落、さらに買い控え、物価の一段の下落といった
デフレ循環に陥っている。7月の企業物価指数をみると、最終財のなかの消費財は前年比
5.9%も下落しており、今後、これが消費者物価に波及することは間違いない。企業物価指
数は前年を8.5%も下回っており、企業の売上減に拍車を掛けている。売上が減少すれば、
仕入れの支払いに窮し、企業の破綻も増加するだろう。デフレでは株式に勝ち目はない。
日本経済に大打撃を与えた輸出が足踏みしている。7月の輸出額は前年比36.5%減と前
月よりもマイナス幅はやや拡大した。季節調整値も前月比減となり、3月以来4ヵ月ぶり
の低い水準である。これをみると、米国や欧州の景気は4月以降大きく変化していない。
8月上旬の輸出は前年比43.1%減と上旬比では3月以来の落ち込みである。特に、輸出は
製造業の利益と相関性が強ため、7月以降の業績は予想よりも悪くなりそうだ。4-6月
期の業績は在庫調整の進展でやや持ち直したが、この傾向が持続するというシナリオは描
きにくい。
財源について一言。有価証券取引税を即座に復活させ、ゼロ金利等による投機化を防ぐ。
「クロヨン」といわれている不公正税制を是正するために納税者番号を至急整備する。海
外に比較して法人税が高いというが、会社等の法人2,841千社(07年度)のうち欠損法人
がなんと62.9%の1,786千社ある。欠損法人も社会のインフラを利用しており、なんらか
の税を納めてもらう必要がある。
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Gesell Research Society Japan
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