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「1・4」デイトレーダーが日本から消える日

2010年01月02日 07:00 更新

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 「板を見てトレードをする人は全滅するかもしれません」



 東京都内のある講演会でこう話したのは三空氏。日本株のデイトレードやCFDなどで2億円以上の資産を築いてきた著名トレーダーだ。この発言は、もっと平たく言えばデイトレーダーが市場からいなくなるという意味だから穏やかではない。



 こうした論調を作り出しているのは、今年1月4日から、東京証券取引所で採用される新システム「arrowhead(アローヘッド)」の存在だ。売買の約定速度が0.005秒という驚異的なスピードを誇るものだ。つまりデイトレーダーは「板」の厚みから他の投資家との意図を読み取る高度な駆け引きを展開する。そして、読み勝って細かく利益を抜いていく。ある種の職人芸でもある。



 2005年くらいまで、こうしたデイトレーダーが数多く活躍してきた。だが、アローヘッドの導入によって、上から下まで一瞬にしてすべての板が塗り替わる。考える時間はもちろんのこと、反射神経が介在する時間さえも与えられないのだ。東証に15分の1にスピードを落としたデモ画面もあるが、何せそれでも肉眼で数字を追うことができないくらいなのだから。



 では、このアローヘッド導入の経緯や、個人投資家にとってのメリット、デメリットについて詳しく見ていきたい。

■世界最高水準の取引システム


 東証はこれまでに幾度か、システム不具合を出してきたのを覚えているだろうか。たとえば2007年1月のライブドアショックの際には小口注文が相次いだために、システムに不具合が生じてしまった。また、みずほ証券によるジェイコム株式の誤発注もあった。NY、ロンドンなどに比べれば、まだまだ金融先進国とは呼べるものではない姿をさらしていた。



 今回導入するアローヘッドについて、斉藤惇・東証社長は「特に、注文処理性能に関しては、大変優れた良好なパフォーマンスを記録しています。取引スピードを上げることによって、コンピュータを使った海外のファンドなどからの注文、いわゆるアルゴリズム注文が入ってくる可能性は高いです」と会見で意見を述べた。



 このようにシステム面の脆弱さをカバーすることで、外国人機関投資家を呼び込むきっかけになるのかもしれないとも期待されている。旧来のシステムはいずれ、改良しなければならないということは、随分前から言われてきた。それは証券取引所という公共性のある場所だからに他ならない。



 新システムのスタートは何も悪いことばかりではない。

■見せ玉事件もなくなる?


 昨年起きた事件に、早稲田大学投資サークルOBたちによる相場操縦があった。見せ玉を利用した手口で数十億円を荒稼ぎし、東京地検特捜部が9月、リーダー格の松村直亮容疑者ら3人を証券取引法違反(相場操縦)容疑で逮捕した。



 見せ玉とは、例えば、ある価格で株を売り抜けたい時、目標価格のやや下値に大量の買い注文を出し(見せ玉)、他の投資家がそれより高い価格で買い注文を出すことを誘い、それに売り注文をぶつけ、売り抜けたと同時に大量の買い注文をキャンセルする方法。最初の誘いは取引する気のない完全な見せ板となる。



 これは、旧来のシステムでは約定までにタイムラグがあるためにできる手動による不正だ。しかし、新システムのアローヘッドで、これをやろうとしても一瞬にして約定してしまう可能性があるために、無理だということになる。



 こうしたハタ迷惑な敵は消えるが、東証の斉藤社長の発言にもあったように、海外機関投資家のアルゴリズムトレードが、個人投資家にとって新たな敵として立ちはだかることになるだろう。(つづく)

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