アラブ首長国連邦の首長国の一つであるドバイでは石油依存から脱却した経済の多角化が進められている。同国首長は、この方針が原油価格が暴落した場合に同国経済への影響を緩和するだけでなく、他のペルシア湾岸のアラブ諸国にとってもポスト石油時代のモデルになるものだと語っている。 ドバイのマクトゥーム首長は3日に催された式典で「先駆的なグローバル都市」が「原油価格の影響を直接受けない」ようになることを誓った。同式典では、「ドバイ戦略計画」と称する野心的な計画も発表された。同計画は2015年までに実質ドバイ首長国内総生産を現在の3万1,000ドルから4万4,000ドルに増加させるというもの。達成するためには年間のGDP成長率が11%を保つ必要がある。 同首長によると、現在、ドバイの非石油部門がドバイ首長国GDPの97%を占めている。政府資料によると1975年には石油からの収益がGDPの64%を占めており、ドバイ首長国の経済体制が大きく転換したことが分かる。これはアラブ首長国連邦全体の85%の石油を生産している首長国連邦首都アブダビとは際立って対照的である。アブダビ首長国の2006年GDPで非石油部門が占める割合はわずかに37%であった。 豊富な石油資源を抱えるアブダビやその他の5首長国とは違い、ドバイの石油埋蔵量は大きくない。このことがドバイを他分野に進出させ、観光の一等地として、また特にアラブ世界の富裕層などからの投資を集める金融の中心地として発展させた。ドバイは中東のほぼ中心に位置するという地理的な優位点も活用し、政府統計によれば首長国連邦の再輸出取引の85%が行われる中東再輸出の最大の中心地となっている。また、寛容な政府政策、高度なインフラ、低い操業コストなどを投資誘致の戦略としている。 スタンダードチャータード銀行地域研究長のスティーブ・ブライス氏は、ドバイの首脳陣が1990年代初めに、石油収益だけでは経済の発展に十分ではないことに気付き、他の湾岸諸国に先んじたと語った。ドバイは現在、経済の多角化の面で湾岸諸国をリードする存在となっている。ブライス氏は「石油価格の影響は低下の一途をたどっている」と語った。 しかしエコノミストらは、ドバイが石油からの収益依存を最小限にしようと取り組んでも、石油価格の急激な落ち込みは依然として経済に打撃となることを指摘している。1月の香港上海銀行による湾岸地域経済の予測は、原油価格が1バレル40ドルを下回ると、経済成長は大きく抑制されると警告している。2月3日のニューヨーク商業取引所の原油先物相場は1バレルで59ドルをわずかに上回った。