2014年の10大発明:心を読む装置、透明マントも

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  • 2014年の10大発明の1つスマート・コンタクトレンズ

    今年も数多くの画期的な発明があった

    CC
  • スマート・コンタクトレンズ

    微細なチップとセンサーにより血糖値をモニターできる

    Google
  • 高速連写カメラSTAMPは光の動きを捉えることが出来る

    1秒に44兆コマの撮影ができる

    Getty Images
  • 透明人間マント!

    「メタ素材」の新製法が、「透明人間マント」の実現に道を開くかもしれない

    CC
  • 曲がるバッテリ

    非常に薄く、柔軟で高寿命のバッテリーは、人体への応用も視野に入れている

    Imprint Energy
  • 変形するロボット

    過酷な環境下でも対応可能だ

    コーネル大学
  • 生物工学による植物

    葉緑体に埋め込まれたカーボン・ナノチューブ(オレンジ色部分)

    Juan Pablo Giraldo, Nicole Ive
  • 腐る賞味期限ラベル

    ゼラチンの性質を利用した、中の食品と同じ速さで痛む賞味期限ラベルにより、食品廃棄が減るかもしれない

    Dyson
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科学技術の進歩は飛躍的に加速しており、このため重要な発明や突破口が年々増加している、と米国家技術賞受賞者のレイ・カーツワイルら、著名なフューチュリスト(未来学者)は主張している。

もしこれが本当なら当然、2014年の技術進歩も過去最高となっているということになる。

IBTimes UKが今回、膨大な数の候補の中から厳選した2014年の技術革新トップ10をお届けしよう。

1.心を読み、記憶を記録するMRI

心を読み、記憶を記録するMRIのイメージ(提供:CC)
心を読み、記憶を記録するMRIのイメージ(提供:CC)

9月、将来思い出すために思考と記憶を記録する目的で、史上初めて商業的な脳のスキャンが行われた。ミレニアム・マグネティック・テクノロジー社(MMT)の思考記録技術の初めての利用者となったのは、テキサス州ヒューストンのソフトウエア開発者、アンソニー・ブルサード(Anthony Broussard)氏で、記憶の保存のために1200ポンド(約22万3000円)を投じた。

「これを思考識別(thought identification)と呼ぶ人もいますが、要するに心を読むということです。(思考を)視覚的に再構成することは、現段階ではまだ粗削りではあります。しかしデータは明らかにそこにあり、改良されていくでしょう。洗練の度合いだけの問題です。その情報は保存されます。記録しておきさえすれば、情報は永遠に残ります。今持っているデータの再構築は将来、ずっと上手くできるようになるでしょう」とMMTの創立者でチーフ・サイエンス・オフィサーのドナルド・マークス( Donald Marks)氏はIBTimes UKに語った。

2.スマート・コンタクトレンズ

微細なチップとセンサーにより血糖値をモニターできるスマート・コンタクトレンズ(提供:Google)
微細なチップとセンサーにより血糖値をモニターできるスマート・コンタクトレンズ(提供:Google)

 グーグルは1月、糖尿病患者の血糖値をモニターできるスマート・コンタクトレンズを開発した。

グーグル・グラスの開発で知られるグーグルX(極秘プロジェクト開発チーム)が開発したものだ。このコンタクトレンズは微細なチップとセンサーを搭載しており、涙の成分を分析して装着者に早めに注意を促すものだ。

「お分かりいただけると思いますが、涙というのは集めて研究するのが難しいものです。グーグルXでは、ごく小さなエレクトロニクス(非常に小さくてキラリと輝くかけらにしか見えないチップ、センサーや、髪の毛より細いアンテナ)が、涙に含まれる糖分の謎を解き、さらに正確に計測する方法にならないかと考えました」とグーグルのエンジニアは語った。

3.光の動きを記録できるカメラ

1秒に44兆コマの撮影ができる高速連写カメラSTAMP。光の動きを捉えることが出来る。(提供:Getty
1秒に44兆コマの撮影ができる高速連写カメラSTAMP。光の動きを捉えることが出来る。(提供:Getty Images)

1秒間に4.4兆コマの速さで連写できるカメラが日本で開発され、世界最速のカメラの記録を樹立した。

このSequentially Timed All-optical Mapping Photography (STAMP)カメラは、その速さから、光の動きを捉えることが出来る。「ハイスピード写真は光化学、スピン工学(スピントロニクス)、音子工学(フォノニクス)、流体工学、プラズマ物理学など、高速のダイナミクスを研究するのに強力なツールとなります」と研究者らは述べた。

4.レーザーによる透明マント

「メタ素材」の新製法が、「透明人間マント」の実現に道を開くかもしれない
「メタ素材」の新製法が、「透明人間マント」の実現に道を開くかもしれない (提供:CC)

ケンブリッジ大学の科学者チームは、「透明人間マント」の可能性につながる、レーザーを用いた、見えない「メタ素材」の新たな製造方法を開発した。

焦点をぼかしたレーザー光線で金の粒子を継ぎ合わせることで、負の屈折により光を反射する素材が開発され、それをまとった物質が透けて見える。

この分野の技術の多くがそうであるように、この装置が最初に実用的に使われるのは軍事分野になりそうだ。

5. 印刷可能な曲がるバッテリー

非常に薄く、柔軟で高寿命のバッテリーは、人体への応用も視野に入れている
非常に薄く、柔軟で高寿命のバッテリーは、人体への応用も視野に入れている (提供:Imprint Energy)

 ウェアラブル装置を変容させる可能性のある、柔軟で長寿命かつ充電可能なバッテリーが、カリフォルニアで創業したばかりの会社で開発された。

インプリント・エナジー社は、亜鉛ポリマーバッテリーを利用して現在のバッテリー技術の限界を克服し、医療器具やウェアラブルセンサー、人体装着エレクトロニクスなどに応用可能な新世代のパワーユニットの開発を可能にした。

「(亜鉛ポリは)ごく薄くて柔軟性のある、高エネルギーの充電可能なバッテリーを、極めて低いコストで、安全性のためのデザインの制約なく作ることができます」と同社は述べている。

6.ソーラーパネルの窓

開発中のソーラーパネルの窓 (提供:ロスアラモス国立研究所)
開発中のソーラーパネルの窓 (提供:ロスアラモス国立研究所)

 ロスアラモス国立研究所のチームが成功した、量子ドットの世界での開発が、ソーラーパネル兼用の窓への道を切り開いた。

量子ドット(半導体で出来たナノ結晶)が、透明なポリマーに埋め込まれており、太陽エネルギーを捉えて電力に変える。

7.視覚障がい者用スマート・グラス

視覚障がい者用スマート・グラス(提供:RNIB)
視覚障がい者用スマート・グラス(提供:RNIB)

 特殊な3Dカメラを搭載した、視覚に障がいを持つ人向けのスマート・グラスが、オックスフォード大学のチームによって開発された。

カメラが前方にある物を分離し、際立たせて、装着した人の残された視力を最大化するよう、レンズに映し出す。

2016年の商業化をめざし、英国王立盲人協会との連携で更なる改良中だ。

8.形を変えるロボット

過酷な環境下でも耐えられる変形可能ロボット(提供:コーネル大学)
過酷な環境下でも耐えられる変形可能ロボット(提供:コーネル大学)

 ソフト・ロボット工学分野でも大きな進歩があった。様々なタスクと環境に適応できるよう、従来型のロボットに使われている堅いパーツを見直すという新分野だ。

コーネル大学とハーバード大学のチームは、従来はロボットが使えなかった条件下で利用可能な、形の変わるロボットを開発した。

「ソフト・ロボットは操作中の相互作用が可能で、本体がシリコンなので様々な難しい環境下でも活躍できる。その中には雪や水たまり、火中や車にひかれるなどの強い力がかかることも含まれる」と、この技術を説明した文書は述べている。

9.生物工学の植物

葉緑体に埋め込まれたカーボン・ナノチューブ(オレンジ色部分)
葉緑体に埋め込まれたカーボン・ナノチューブ(オレンジ色部分) (提供:Juan Pablo Giraldo, Nicole Ive)

 マサチューセッツ工科大学のチームは3月、世界で初めて、生物工学による植物を開発した。この植物は複製や、自然の光合成能力をさらに高めることさえ出来る。

カーボン・ナノチューブを組み合わせた葉で、通常の植物より30%も光を吸収するのだ。「自己修復能力もあり、戸外でも環境的に安定しており、過酷な環境下でも生育できます。自前の動力源と散水機能も付いています」とMITチームの研究リーダー、マイケル・ストラノ(Michael Strano)氏は言う。

10.腐る賞味期限ラベル

ゼラチンの性質を利用した、中の食品と同じ速さで痛む賞味期限ラベルにより、食品廃棄が減るかもしれない
ゼラチンの性質を利用した、中の食品と同じ速さで痛む賞味期限ラベルにより、食品廃棄が減るかもしれない (提供:Dyson)

 ロンドンの学生たちは、食品と同じスピードで劣化していく賞味期限ラベルを開発した。世界中で毎年発生する、何百万トンもの廃棄食品への大きな歯止めとなるかもしれない。

英国ジェイムズ・ダイソン賞の決勝に残った「バンプ・マーク」は、食品がいつ駄目になるかを目に見える形で示すために、天然の物質を使用したラベルだ。

「バンプ・マークは、ゼラチン(タンパク質)を含んでおり、気温や光など、食品に影響を与える周りの環境に反応します。ゼラチンは、最初は個体でも、悪くなるとその構造を失うという性質を持っているのです」とスマート・ラベルを考案したソルベイガ・パクステイト(Solveiga Pakstaite)氏は、IBTimes UKの取材に答えた。

*この記事は、英国版International Business Timesの記事を日本向けに抄訳したものです。