〔焦点〕上海・香港の株式相互取引「大誤算」、参加者は投機筋ばかり

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上海のビルと人民元札

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ロイター

 鳴り物入りで始まった上海と香港の株式相互取引だが、開始後1カ月の需要は振るわず、投機筋が参加者の大半を占めていることが分かった。

 当局はそもそも、投資信託や年金基金、民間銀行の参加を期待していた。ところが大手証券会社のトレーダーによると、実際に参加しているのは、ヘッジファンドと銀行の自己勘定取引デスクばかりという。

 中国本土の株式市場は最近堅調な値動きが続いているが、規制上のハードルが取引参加へのネックになっている、との声も聞こえてくる。

 市場では、長期志向の投資家が参加し始めるのはまだ数カ月先、と見られている。BMOプライベート・バンクのアジア担当最高経営責任者(CEO)、ロバート・コーミエ氏は、ロイターに「運用上の問題が解決されていないこともあり、われわれはまだ参加していない。ETF(上場投資信託)を通じて本土にアクセスするほうが良い」と述べた。

 BMOの投資担当エグゼクティブディレクター、エドモンド・ユン氏は、受益所有権や税金、取引決済上の制約を問題点に挙げた。

 ヘッジファンドは銀行のプライムブローカレッジを活用し、こうした規制上の制約を巧みに回避している。取引迅速化のため、ヘッジファンドの株式ポートフォリオはプライムブローカーによって保有されることが多いため、所有権上の問題に直面することも実質ない。

 上海と香港の株式相互取引では、上海上場株を売却しようとすると、売却日の1日前に当該株式をブローカーに引き渡さなければならない。これは、ほかのどの主要国の株式市場にも見られない決まり事だ。

 1日あたりの上限額は上海株投資が130億元(約21億ドル)、香港株投資が105億元。制度開始以来、上限を大幅に下回ることが通例となっており、先週15日には上海と香港合わせた上限235億元の10%しか使用されず、11月中旬の制度開始以来の低水準となった。

 <来年上期のMSCI指数見直しに注目>

 特に低調なのは、中国本土から香港株への投資。上海株投資は、制度発足当初こそ好調な時期もあったが、香港株投資は最初から不調だ。

 CLSAが中国の投資家に実施した調査によると、90%が香港市場への投資に意欲を示した。しかし最低50万元という保有資産要件が導入された後は、香港株投資に前向きな回答は20%に低下している。

 今後、参加者増のきっかけになりそうなのが、MSCIが来年上期に行う新興市場指数の見直しだ。中国株投資が事実上解禁されたことから、指数に占める中国本土株の比率は、引き上げられる可能性がある。

 それまでは、長期投資家の参加者増は、ごく緩やかなペースでしか進まないと見られている。アジア証券業金融市場協会(ASIFMA)の株式グループ責任者であるニック・ロナルド氏は「向こう数カ月に、ロングオンリーファンドの参加が増えると予想している」と述べた。