ジャーマンウイングス機墜落: 遺族の補償金はどうなるのか?

  on
ジャーマンウィングスの犠牲者の関係者

フランス側のアルプスに墜落したジャーマンウィングスの犠牲者の関係者が、2015年3月24日にスペインのバルセロナ・エル・プラット国際空港に到着した。

ゲッティイメージズ/デビッド・ラモス(David Ramos)さん

18日、フランス側アルプスに墜落したジャーマンウィングス9525便は、副操縦士が意図的に飛行機を墜落させたという見方が浮上し、親会社のルフトハンザドイツ航空の保険会社が約3億5,000万ドル(約420億円)を被害者の遺族に支払うことになるだろうと航空法の専門家が語った。裁判所での損害賠償のための算定は多くの課題に直面する可能性が高い。
 
国際的な民間飛行に関する規定である国際民間航空条約では、航空機事故が生じた場合、航空会社は遺族に対して、責任の有無にかかわらず最低補償金として約15万ドル(約1,800万円)を支払う義務が生じる。ルフトハンザは27日、犠牲者の家族にその急な出費を補償するため一時金として約5万4,000ドル(約650万円)を支払うと発表した。国際法が一時的な補償金支払を定めていても、航空会社の補償総額において今後、被害者遺族が何らかの独自の主張を起こす可能性はある。
 
「以前は、原告が規程の補償額以上を得るために、航空機が故意かつ理不尽または無謀にも墜落させられたことを証明しなければならなかった。しかし1999年のモントリオール条約で変更され、現在は、航空会社に全く問題はなかったと証明されない限り、原告は無制限の損害賠償の対象になることが可能だ」と航空弁護士で米国法曹協会(ABA)航空セクション元委員長のケビン・ダーキン(Kevin Durkin)さんは述べた。「つまり、ジャーマンウィングスとルフトハンザにとっては高額な負担額になりうる。非常に大きな補償額になるだろう」と同氏は説明した。
 
モントリオール条約は国際線を運航する航空会社の責任などを定めたもので、事故の際に乗客や遺族に支払われる賠償金の上限が撤廃されている。日本は2000年に同条約を批准している。補償金は、犠牲者の年齢や性別にかかわらず、まず一定額が支払われ、その後、個別の犠牲者ごとに収入や生活状況を考慮して補償額が算定されるが、家族側が会社側の提示した金額に納得できなければ民事訴訟になるケースもある。
 
実際の補償の支払いは、家族が訴訟を起こすと選択した場所によって決定される。国際法は、犠牲者の家族にどのくらいの補償金を与えるのかという算定をその国の裁判所にゆだねている。モントリオール条約の下では、原告は航空会社が本社を置く国で提訴するが、そこに航空機が飛行している限り故人の国あるいは航空チケットを購入した場所でも提訴できる。
 
墜落した9525便の乗客は16か国に及ぶ。搭乗していた乗客乗員150人のうちの多くはドイツ人とスペイン人で、スペインのメディアはドイツ人67人、スペイン人45人と報じている。犠牲者の家族はその国で訴訟を起こすことになるだろう。ルフトハンザは米国外で就航しているが、米国人遺族は米国の裁判所で提訴することができる。
 
そして、司法問題上、一般的に米国の裁判所は最も寛大(つまり補償額が高くなる)であると航空機事故訴訟を専門にするルイ・フラネケ(Louis Franecke)弁護士は語った。「ドイツはこのような補償に対する認識が、それほど寛大ではない。スペインも、この件に対しては寛大ではない」とフラネケさんは述べた。
 
英ロンドンに本拠を構える法律事務所、スチュワーツ・ロウの航空部門責任者のジェームス・ヒーリー・プラット(James Healy-Pratt)さんは、ルフトハンザの犠牲者の遺族への補償総額は約3億5,000万ドル(約420億円)に上ると推定している。これには各国での和解のための訴訟で裁定される平均的な補償金額が考慮されている。ドイツの場合は約130万ドル(約1億5,600万円)、スペインは140万ドル(約1億6,800万円)、米国は450万ドル(約5億4,000万円)と見積もっている。仮に米国で墜落が発生していた場合は、補償金の推定額はこれより遥かに高額になっていただろう。
 
解決までには、提訴からおそらく2年かかるだろうと専門家は見ている。ダーキンさんはルフトハンザがモントリオール条約の下で責任問題を争うことはないと予測する。「ルフトハンザは同社の保険会社のアリアンツ(Allianz)社を通じて決着をつけるだろう」とダーキンさんは語った。
 
航空会社からの最大のプッシュバックは、おそらく各被害者の家族にどのくらいの補償を支払うかということだろう。乗客の年齢、雇用形態、収入、および犠牲者それぞれの状況すべてによって遺族がいくらの補償を受け取るかが決められる。
 
「例えば、犠牲者の35歳の既婚女性は4人の子供がいて、家族のために一家の稼ぎ手として働いていた。彼女は、両親が死亡していて扶養家族がいない50歳の未婚者よりも多くの補償金を与えられるだろう」とダーキンさんは話した。「裁定額は非常に幅が広くなる。数百万から数千万ドルといったようにだ。少なくとも米国ならそうだ」と加えた。
 
26日の記者会見でルフトハンザのカールステン・シュポア(Carsten Spohr)最高経営責任者(CEO)は、同社は、犠牲者に対して、できるだけのことをして責任を果したいと記者団に語った。「私たちの最優先項目はできる限り家族を支援することだ」と同氏は述べた。
 
*この記事は、米国版 International Business Times の記事を日本向けに抄訳したものです。(原文: Ismat Sarah Mangla記者「Germanwings: How Much Will The Families Of Flight 9525 Receive In Crash Settlements? 」)