iPadアプリ故障で航空機運航にトラブル―その危険度とは

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IBT150501  航空機のiPad故障
アメリカン航空は2013年、電子フライトバッグとしてiPadを導入した。 アメリカン航空

4月28日夜、パイロットが飛行中に使用するiPadアプリが離陸前に故障し、アメリカン航空数十便の運航に支障が出た問題は、新たな問題を提起した。そうしたアプリは商業運航の安全にどの程度重要なのか?そして、万一飛行中に故障を起こした場合、どのような結果につながるのか?

アメリカン航空や他の民間航空の多くで使われているiPadは、「電子フライトバッグ(EFB)」の役割を果たしている。コクピットで必要となる可能性のある書類を入れた、重さ15-18キロの従来型のパイロット用フライトバッグの電子的な代用品だ。フライトバッグには通常、飛行機操作マニュアル類、飛行マニュアル、飛行用の地図、アプローチ手続等、パイロットが飛行中に参照する必要があるかもしれない情報が装備されている。

しかしEFBは「飛行機の欠かせない一部というわけではありません。持っているとよい情報、必要な情報をいっぱい書き込んだノートの代わりであって、安全に欠かせないものではないのです」とデルタ航空の元近距離線パイロットで、今はMITでソフトウェア工学を教えるコンピュータ科学者のフィリップ・グリーンスパン(Philip Greenspun)氏は言う。

ウェスタン・ミシガン大学のデイブ・パウエル航空学部長も同意する。フライトバッグの情報は、電子的なものであってもそうでなくても、飛行中の様々な場面でパイロットを手助けするものだ。しかし、EFBが使えなくてもほとんどのパイロットは飛行機のコンピュータに備え付けてある情報をバックアップとして見ることが出来るし、無線の航空交通管制に助けを求めることも出来るという。

「飛行機にハードコピーを備えている航空会社もまだありますし、ふつうは1人1人のパイロットが自分のタブレットを持っています」とパウエル氏は言い、両方のタブレットが同時に使えなくなることは考えにくいと説明する。

もちろん、今週夜のアメリカン航空のケースでは、ソフトの異常が一連のすべてのiPadに影響を与えたが、それはアップグレードのためだったようで、フライト前の準備段階でチェックされてしかるべきだったものだ、とグリーンスパン氏は言う。ソフトの不具合の本質が何だったのかについて尋ねても、アメリカン航空もソフト提供会社のJeppesenもすぐには返答がない。

アメリカン航空は2013年、米連邦航空局(FAA)にiPadの使用の認可を受けた後、すべてのフライトのコクピットにEFBを導入した最初の航空会社となった(商業航空はすべて、ソフトやアプリを配備する前にFAAの許可を受ける必要がある)。

iPadの導入でその分機体が軽くなったためアメリカン航空は1年間に40万ガロン、120万ドル(約1億4300万円)分の燃料を節約できたと同社は述べている。ユナイテッド航空もEFBにJeppesenのソフトを搭載したiPadを使用しているが、デルタ航空はマイクロソフト・サーフェイスのタブレットでEFBを提供している。

2003年に退職するまでユナイテッド航空で18年間機長を務めたパウエル氏は、自分がボーイング777で飛んでいるときにその技術が使えたらなと思っていたという。フライトとフライトの間に18キロの自分のフライトバッグを準備していて、たいへんだったことを思い出す。フライトバッグの書類は定期的にアップデートする必要があるので、電子的にアクセスすることで効率も上がるのだと彼は言う。

「これは乗客がご心配いただく性質のものではありません。フライトが安全に完了するために必要というものではないのです」とグリーンスパン氏は言う。しかし、ゆくゆくは遅延を防止するため、バックアップが行われるかもしれないとも付け加えた。「ソフトの旧バージョンを乗せたまま、新バージョンも搭載したシステムが必要かもしれません。片方が故障してももう片方にアクセスできるからです」というのが彼の意見だ。

*この記事は、米国版International Business Timesの記事を日本向けに抄訳したものです。(原文記事: Ismat Sarah Mangla記者「How Dangerous Was The American Airlines iPad Malfunction?」