タブレットはなぜ下火になったのか

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IBT150508  タブレット衰退の危機?
タブレットの出荷台数は伸び悩んでいるが、現在のユーザーがどこかに行ってしまうわけではない。 ロイター

ほんの数年前には、タブレット端末は大量消費市場のPCの主流になるように思われた。2010年にiPadが発売されて以降、デスクトップPCやノートパソコン、スマートフォンよりも急速な売り上げの伸びを示した。

しかし最近ではタブレットの販売台数は伸び悩んでいる。同じような急速な伸びを示していないどころか、アンドロイド端末もiOS端末も総じて下降している。研究グループのIDCの研究によれば、世界的なタブレットの出荷台数は、2014年の休暇シーズンに前年より低かった。

1260万台を売り上げたアップルでさえ例外ではない。iPhoneが記録的な利益を上げた一方で、前四半期は2014年同期の23%減だった。

しかし、今あるタブレットがほこりをかぶっているわけではない。モバイル分析会社のFiksuのデータによると、iOSとアンドロイドのタブレットは数年前と同程度に使われている。タブレットは世界で利用されているモバイルデバイスの25%超を占めている。唯一の例外はクリスマスシーズンで、この時はiPhone6の活性化と旅行中の使用で一時的にタブレットのシェアが25%以下になった。

「2014年の初めよりやや利用は減っていますが、このデータはiPadの危機ではないということを示しています」とFiksuの戦略部長、クレイグ・パリ(Craig Palli)氏は言う。ではなぜ販売が落ち込んでいるのか。答えはユーザーの年齢層にあるのかもしれない。

老いていくタブレット市場

2010年にタブレット市場が生まれて以来、タブレットユーザーはスマホやPCのユーザーよりも年齢が高く、裕福になってきている。2012年に市場調査会社のニールセンは、「タブレット所有者はやや高年齢で裕福な傾向にあるが、そのことは新しい技術を取り入れ利用するのが若者の特権ではないということを示しているに過ぎない」と述べた。

ピュー研究所のデータによれば、タブレットは高年齢層に極めて人気がある。米国のシニアの25%がタブレットを所有している。一方、スマートフォンを所有しているのは27%だ。65歳以上へのタブレットの浸透率はスマホと同程度なのだ。比較のために言うと、18-29歳のタブレット所有率は48%だが、スマホは85%が所有している。

eMarketerによると、2014年の米国のタブレットユーザーのうち約20%が17歳以下、反対の極では、36%以上が45歳以上である。これを合わせると米国のタブレットユーザーの過半数を占めることになる。

そして、タブレットがヤングアダルト世代よりもシニア層と子どもたちにアピールしていることから、来年PCをタブレットに買い替えようとしている人は4%に過ぎないことは容易に理解できる。年配のユーザーらはより長くデバイスを利用する傾向にあるし、古いデバイスのパフォーマンスへの満足度も高い。そして子どもたちには選択の余地がない。

長ーく愛して

例えば、Kentar WordPanelによれば、昨年10月に使用されていたiPadの14%が最初期のモデルだった。現在使用されているiPadの32%がiPad2だ。最も人気のある使用中のタブレットの約半分が4年以上使われていることになる。タブレットの買い替えサイクルは、PC(3年)やスマホ(2年)よりも、TV(5年)に近いことになり始めている。

「スマートフォンは1人1台のデバイスだが、純粋な消費市場のなかで、タブレットは共有デバイスになりつつある。これは一家に1-2台で足りるということを意味する。最低3年から4年という買い替えサイクルの長さの一因はこれかもしれない」とクリエイティブ・ストラテジーズの首席ストラテジスト、ベン・バジャリン(Ben Bajarin)は報告書で指摘した。

発売されたばかりのアップル・ウォッチも、買い替えサイクルの長さの問題に直面すると予想されている。 それがどの程度長くなるのかは、アナリストたちも明言を避けているが、iPhoneよりは長くなるだろうというのが大方の見方だ。これはアップルの次世代製品「iPad Pro」が直面する最大の課題でもある。

年配のユーザーはゲームをしたりTVを見たり、古いタブレットの処理能力に負担になるほどのその他の活動をしたいという欲求が少なそうだ。それに、家族に自分のコンピュータを譲ることにも抵抗がないだろう。また年配の人々は、個人的なデバイスであるスマホよりは、むしろ家族とタブレットをシェアすることに関心を示すかもしれない。

逆に若い世代はタブレットを避け、いま流行りの大型のスマホを選択する傾向にある。Kentarの報告書によれば、前四半期の全米のスマートフォン売り上げのうち、小型のタブレットくらい(5.5インチ以上)の携帯電話が21%を占めたという。「携帯電話が大きく、安くなっていることで、タブレットを買う理由が見つけにくくなっていると思います」とKantarのカロリナ・ミレネシ(Carolina Milanesi)研究主幹はEメールで回答を寄せた。

こうしたことを考えると、大型版が必要というのでなければ、タブレットよりスマートフォンを選ぶことになりそうだという結論になる。

にもかかわらず、アップル社は6日、iPadのさまざまな活用術を紹介したサイトを導入して、iPadのマーケティングを強化した。

*この記事は、米国版International Business Timesの記事を日本向けに抄訳したものです。(原文記事: Kif Leswing記者「Why Tablets Are Dying: Users Are Old (And Very Young) And They're Not Upgrading Anytime Soon」)