ナイジェリア:ブハリ新大統領就任後、銀行のスキャンダルを告発

  on
ブハリ新大統領
ブハリ新大統領は3月にナイジェリア大統領選挙で選出された。写真は、2015年4月1日、ナイジェリア最大の都市ラゴスで記者会見に応じる大統領である。 アナドル通信社/ゲッティ・イメージ/特派員

5月31日、ナイジェリア当局が同国の6つの中央銀行と16の商業銀行に対して4,020万ドル(約50億円)の不正を告発した。ムハンマド・ブハリ(Muhammadu Buhari)ナイジェリア新大統領(72歳)は、3月31日に現職のグッドラック・ジョナサン(Goodluck Jonathan)氏を破り当選した。新大統領の就任式は5月29日に開かれたばかりである。ブハリ新大統領は選挙戦では汚職の一掃に焦点を当てると強調してきた。ナイジェリアでは不正や汚職が続いており、毎年、不正の横行によって数十億の損害が出て経済に打撃を与えている。アフリカ最大の経済規模を持つナイジェリアだが、ブハリ大統領は、不正の横行には真剣に戦うという姿勢を示すために、さらに大きく踏み込む必要がある。
 
「比較的発覚しやすい不正で、遥かに高額な汚職が横行しているのに比べて損害額は文字通りわずかなものだった」と米シンクタンク「大西洋評議会(アトランティック・カウンシル、Atlantic Council)」のJ・ピーター・ファム(J. Peter Pham)アフリカセンター長は述べた。「だから、ナイジェリア新政権が、政治経済に蔓延している汚職にどのように取り組むのか、今後も見守らなければならない」と加えた。
 
ナイジェリアの経済金融犯罪委員会(Economy and Financial Crimes Commission)は31日の声明で「ナイジェリア中央銀行の職員が『巨大スキャンダル』を企んだ」と表明した。価値を失ったナイジェリアの通貨(単位: ナイラ)の紙幣を破棄せずに銀行職員たちは、それを銀行が発行した紙幣のように見せかけて私腹を肥やした。
 
「不正の責任の一部は政府にもある。政府は長年にわたり金融政策に失敗して、通貨を管理しそこない、中央銀行はインフレを誘発する経済問題のチェックを怠った」と同委員会の委員は説明した。(言い換えれば、政府当局は貨幣の供給を削減しなことによってインフレをさらに助長してしまった)。4日には容疑者が裁判所に出廷する予定になっている。
 
汚職は、ナイジェリアにとって深刻な問題である。ナイジェリアはアフリカ最大の経済規模を有するにもかかわらず、トランスペアレンシー・インターナショナルの2014年の「腐敗認識指数」では、175か国中136番目にランクされている。トランスペアレンシー・インターナショナルは腐敗、特に汚職に対して取り組む国際的な非政府組織である。これはイランやロシアと同じランクである。いくつかの統計によると、不正によって政府は主な収入源である石油収入の数十億を失っているという。
 
「不正は、テロよりもさらに現況を悪化させる新たな問題であり、強い姿勢で戦わなければならない」とブハリ大統領は就任演説で語り「不正は不当に富む多くの人々を作り出す」と加えた。
 
アフリカ最大の人口を擁する同国だが、南部のニジェール川デルタで豊富に石油を産出するが、石油を巡って内戦や内紛が繰り返されてきた。
 
ナイジェリアの人口は1億7,360万人(2013年: 世界銀行)、その46%の国民が貧困線以下の生活を続けていると世界銀行は述べている。一人当たりの国内総生産(GDP)はわずか6,031ドル(約7万5,000円)で、アフリカ第2位の経済規模を持つ南アフリカの1万3,046ドル(約162万6,000円)と比べてもどれほど低いかがわかると国際通貨基金(IMF)は指摘している。
 
ナイジェリアの汚職は「ビジネスに重い負担、投資への暗い不確実性」をもたらしているとフォーブス・アフリカ(Forbes Africa)誌のクリス・ビショップ(Chris Bishop)編集長は最近の社説に書いている。しかし、ビショプ氏は比較的平和的に政権が移行したことを指摘し、前大統領のグッドラック・ジョナサン氏がスムーズに政権を去ったことについて、西アフリカでは珍しいことではないかと述べている。
 
通貨詐欺の調査は、ブハリ新大統領が政権の座に就くずっと以前から続けられてきた。ナイジェリア国民と国外アナリストは、ブハリ大統領が次に何を行うのか興味深く注目している。
 
「実際に問題は大きく動き始めているなかで腐敗防止を推進するのが本当に困難なのはわかっている」とファム氏は述べて、この通貨詐欺の事例の場合、罪状が認められているものは何もなくて、金融機関の経営幹部ではない、比較的低い地位あるいは中程度の地位の職員が関与していると指摘した。
 
ブハリ大統領は、クーデターでシェフ・シャガリ(Shehu Usman Aliyu Shagari)文民政権を打倒し1983年12月から1985年8月までナイジェリアの指導者となったが、イブラヒム・ババンギダ(Ibrahim Badamasi Babangida)氏のクーデターによって打倒された。「ブハリ大統領における二回目の政権への登板は幸せなものとなった」とビショップ編集長はブハリ大統領の前回の独裁者としての短かった政権について、ナイジェリアが民主主義になる前のことと引用して書いた。「この話に必要なのはハッピーエンドである。ブハリ大統領は汚職撲滅の実現を語って選挙戦を過ごしてきた。現在の彼に必要なのは『論より証拠』を示すことである」と述べた。
 
*この記事は、米国版 International Business Times の記事を日本向けに抄訳したものです。(原文: Kathleen Caulderwood記者「Nigeria Charges Banking Officials In Fraud Scandal, Days After Buhari Takes Office」)