アップルミュージック、スポティファイ、ティダル: ストリーミング音楽配信サービスは大きく異なる

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エディー・キュー氏(右)と、アップルの最高経営責任者(CEO)ティム・クック氏。
2015年6月8日から6月12日に、サンフランシスコで開催されたアップルの開発者イベント「WWDC2015」で、アップルのインターネット関連ソフトウェア・サービス担当上級副社長、エディー・キュー(Eddy Cue)氏(右)は、アップルの最高経営責任者(CEO)ティム・クック(Tim Cook)氏に挨拶した。年次開発者イベント基調講演でのアップルからの主な発表はOS X El Capitan、iOS 9、そしてApple Musicサービスについてだった。 ジャスティン・サリバン(Justin Sullivan)さん/ゲッティイメージズ

6月8日、米アップルは、月額9.99ドル(約1240円)で聞き放題の音楽配信サービス「アップルミュージック」(Apple Music)を6月30日から米国など100か国以上で始めると発表した。アップルが開発者イベントWWDCでアップルミュージックを発表した瞬間、競合他社は、アップルの市場参入を誇らしげに歓迎した。
 
「ようこそアップル。16年前にデジタル音楽革命が始まって以来、最もエキサイティングで力強いフロンティアへようこそ。心から歓迎する」とサブスクリプション型音楽ストリーミングサービス「Rdio」のアンソニー・ベイ(Anthony Bay)最高経営責任者(CEO)がメモを読み上げた。
 
何年も前にアップルはIBMに対して同じような言葉を書いたとほのめかして、こう続けた。「われわれは、誰もが、いつでも、どこでも合法的に音楽を利用できるように大きな努力を重ねて責任を担うことを楽しみにしている」とベイ氏は述べた。
 
アップルは、今日に至るまで第一世代の製品を開発することはできなかった。アップルは、最初のPC、ノート型PC、音楽プレーヤー、スマートフォンは作り出せなかった。アップルは、より簡単に、より直感的に、より多くの美的体験をユーザーに提供する様々な製品バージョンを開発することによって、より多くの人々がそれらを使用するというアイデアに慣れる瞬間を提供することによって現在に至った。
 
偉大なマーケティング戦争が始まる前に、アップルのライバルは互いに、どのようにアップルが対処してくるのか、どのように取り組むのか、そしてアップルが何を取り出してくるのかを厳しく見つめている。
 
■カタログ
 
中核となるのは、アップルミュージックとその競合社が、世界の多くのポップミュージックへ無制限のアクセスを提供することである。しかし、各サービスがどれだけ多くの音楽を提供するのかは大きく異なる。
 
スポティファイ(Spotify)は、2008年10月にスウェーデンで音楽のストリーミング配信サービス(無料/定額制)を開始したが、米国のカントリー・ミュージック歌手でシンガーソングライターでもあるテイラー・スウィフト(Taylor Swift)さんの楽曲を、すべて取り込んだ。しかし、スウィフトさんのバックカタログは別の配信サービスからも提供されている。そのなかにはアップル傘下の「Beats Music」も含まれる。これは顕著な例だか、複数の異なるサービスから配信されることになるアーティストはスウィフトさんだけではない。スポティファイが配信可能な楽曲は、米国に拠点を置く定額制音楽ストリーミングサービス、ラプソディ(Rhapsody)より33%少ない。
 
「Beats Music」は、アップルが2014年8月に買収したBeats Electronicsの音楽ストリーミングサービスで、新音楽サービス、アップルミュージックに統合され、Beatsのブランドは「Beats 1」として残る。6月8日、Beats Electronicsは、音楽ストリーミングサービス「Beats Music」のユーザーに対して、今秋アップルがが開始する音楽サービス、アップルミュージックへの移行について説明した。
 
スウィフトさんの曲がアップルミュージックで利用できるようになるかどうかはまだわからない。彼女の最新アルバムのなかの曲「1989」が、8日のプレゼンテーション中に示されたスクリーンショットに表示されていたが、アップルミュージックが、スウィフトさんの音楽をどの程度取り扱うかについて公式発表は行われていない。
 
アップルミュージックと競合他社  ソフトウェア・インサイダー
 
■観衆
 
猛烈なスピードで成長しているというものの、現実には、ストリーミング音楽市場には、まだ長い道のりがある。Deezer(ディーザー)はフランスに拠点を置き180か国以上に顧客を持つオンデマンドのストリーミング音楽サービスだが、わずか数週間前、ハンス・ホルガー・アルブレヒト(Hans-Holger Albrecht)最高経営責任者(CEO)は、市場はまだ揺籃期にあると述べた。
 
「われわれは実際には市場開発の、まさに、まさに先頭にいる」とアルブレヒトCEOは、音楽情報ウェブサイト「Music Ally」に語った。
 
アップルの音楽は確かに非常に競争力が高く、非常に迅速に浸透するだろう。8日、アップルは、新しい音楽サービスを6月30日に110か国で開始し、短期間で1億人の有料顧客のサインアップを見込んでいると発表した。それを実現するために、ユーザーには3か月の無料試用期間が提供される。
 
一方で、スポティファイは世界6,000万人のユーザーを誇っているが、その約4分の1が毎月の配信料を支払っている。
 
アップルは音楽のネット販売での顧客網を持つ規模を生かしてコンテンツを集め、勢いを増す無料の広告付き音楽配信サービスに対抗する。新サービスは音楽をダウンロードし端末に保存して聴くのではなく、曲を受信と同時に再生する「ストリーミング(逐次再生)」方式で提供する。先行するスポティファイなどと同じ3,000万曲以上をそろえるという。
 
アップルの定額聞き放題サービス「アップルミュージック」には、日本も含まれる見通しである。日本の音楽市場はCD依存度が高く世界的に特異とされるため根付くかが注目される。
 
配信の契約者数  ソフトウェア・インサイダー
*この記事は、米国版 International Business Times の記事を日本向けに抄訳したものです。(原文: Max Willens記者「Apple Music Vs. Spotify Vs. Tidal: Streaming Music Services Have Vastly Different Catalogs」)