なぜ、NBCユニバーサルはバズフィードに投資するのか? 21世紀のニュースメディアに大きな変化

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NBCユニバーサル
米大手ケーブルテレビ、コムキャスト傘下のNBCユニバーサル(NBCUniversal)は、放送やケーブルテレビのニュースで主要な位置を占めているが、21世紀の新たな動向を把握するために投資も必要である。18日、NBCユニバーサルは、バズフィード(BuzzFeed)社へ2億ドル(約248億円)の投資を発表した。このことは今後長い期間に及び、新しい顧客獲得へ好機を提供することになるだろう。2008年10月20日、米カリフォルニア州バーバンク、NBCスタジオビル壁面に取り付けられたクジャクのようなイメージを持つNBCロゴを撮影した。 デビッド・マクニュー(David McNew)さん/ゲッティイメージズ

古くからのメディアの巨人がデジタル時代の寵児とベッドインすると困ったことになる。タイム・ワーナー(Time Warner)社は米国の総合メディア企業で映画会社「ワーナー・ブラザーズ」、ニュース専門チャンネル「CNN」などを擁する複合企業体(メディア・コングロマリット)であるが、米大手インターネットサービス会社のAOLとのM&A(合併・買収)により2000年に「AOLタイム・ワーナー(AOL Time Warner)」となった。しかし、ITバブル崩壊によってAOL部門の業績が悪化し、影響力が低下したため2002年に現社名に戻った。メディア業界では常に新旧が混在している。

メディア界の単純な法則を考えると、18日にNBCユニバーサル(NBCUniversal、以後NBCU)社がバズフィード(BuzzFeed)社に2億ドル(約250億円)の投資を行うと発表したのを聞いて人々は懐疑心から眉を吊り上げるかもしれない。ここ数週間にわたって投資が行われるという噂が流れていたが、2社の「戦略的パートナーシップ」は瀬戸際に立つメディア界全体の移行への先がけになるかもしれない。

バズフィードにとって取引は簡単なことである。バズフィードは2006年に米ニューヨークを拠点に設立された。同名のウェブサイトを運営して、スタッフレポーターや、売れっ子漫画家やコミュニティーメンバーによるコンテンツを毎日配信している。同ウェブサイト上で人気の記事は、クイズ形式やリスト形式のものであり、当初はエンターテイメント系のバイラルコンテンツのみに特化していたが、最新ニュースやレポートで実績を築きながら、より伝統的なスタイルのコンテンツも提供するようになってきた。昨年8月、バズフィードは米シリコンバレー(Silicon Valley)のベンチャーキャピタル大手アンドリーセン・ホロウィッツ(Andreessen Horowitz)から5,000万ドル(約51億円)の資金を調達したことを受けて大型新規事業計画を発表した。動画部門は「バズフィード・モーションピクチャーズ(BuzzFeed Motion Pictures)」に名称を変えて部門を拡大し「GIFから長編映画までとその間にある全ての動画に注力」すると発表している。NBCUからの新規投資は、その急成長の動画操作の促進に役立つだろう。

NBCUがバズフィードに2億ドル(約250億円)を投資すると発表した。バズフィードのジョナ・ペレッティ(Jonah Peretti)CEO(最高経営責任者)は2014年10月にサンフランシスコで開催されたバニティーフェア・ニューエスタブリッシュメント・サミットで「消えたインク: 新しいジャーナリズム」と題したパネルディスカッションを行った。  マイケル・コバチ(Michael Kovac)さん/ゲッティイメージズ

NBCUには、すべてを解決できるのかと尋ねるだけの可能性がある。コムキャスト(Comcast)社は1963年米国でケーブルテレビ会社として立ち上げられた。米ケーブルテレビ大手のコムキャスト傘下のメディア企業であるNBCUは、千年スケールのウェブサイトを立ち上げ、圧縮画像形式であるGIF(ジフ)形式の独自の画像を作ってフェイスブック(Facebook)を利用している。今年5月、米フェイスブックは出版社やテレビ局のニュース記事をSNS内で配信する新たなサービスを始めたと発表したが、これは米NBCらとの協力関係によるものと述べている。これと同時に、アナリストは、バズフィードがNBCUのような古い体質を持ち疲弊が進んだメディアに必要なものを持っており、21世紀の若者にニュースに接する幅広い機会を提供していると指摘する。

「NBC系列のメディアにとってニュースは本当に重要な部分である」とマッコーリー証券(Macquarie Securities)のエイミー・ヨング(Amy Yong)アナリストは述べている。「NBCは、放送とケーブルネットワーク両方でニュースを扱う唯一のメディア企業である。両方に関与することが、NBCにとって、若者層を惹きつけるニュースのデジタル配信にも関与できる手段になっている」と加えた。

NBCユニバーサル(NBCUniversal)  FindTheCompany

■テレビ視聴率の危機

従来のケーブルとテレビ放送ネットワークにとって、2014年は、ほぼすべてのカテゴリーで評価が低下した厄介な年だった。しかし2015年もそれほど大きくな改善は見られない。直近の四半期では、NBCUのケーブルネットワークのプライムタイム(通例、午後7-11時)の視聴率は18-49歳の間で13%下落したと、調査会社のモフェットナサンソン(MoffettNathanson)社が引用したニールセン社のデータは報じている。

新しい家族構成が進むにもかかわらず視聴率は下落しているが、これは従来型の堅実な指標が視聴率増加に影響しているためであり、下落ではない。視聴者が離れているのではなくて、視聴者が彼らのコンテンツをどこか別の場所で獲得しているということなのである。バズフィードには、1か月あたり2億人という独自の視聴者と、15億人というビデオ視聴者がいて、視聴者の欲求に切々と応えていることは明らかである。

「時代の中で、ケーブルテレビは、コンテンツやエンターテイメントを消費するために不可欠な存在ではない。今後はデジタルメディアへと向かうべきである」とアドバイザー会社のデシルバ+フィリップスM&A(DeSilva+Phillips M&A)社のゾエリー・マレンバウム(Zoelle Mallenbaum)アナリストは述べている。

マレンバウム、アナリストは、オンラインコンテンツを所有する既存企業に対する最新の傾向を指摘して「最近、ハーストのようなメインストリームの企業が動画サイトユーチューブ(YouTube)などのデジタルコンテンツに投資している。そして従来型のコンテンツはウェブサイトにシフトしている」と述べた。ハースト・コーポレーション(Hearst Corporation)は米国のメディア・コングロマリットでニューヨークに拠点を置く。創業者のウィリアム・ハースト(William Randolph Hearst)氏(1863-1951)は大きな見出しとセンセーショナルな報道を導入したことで米国のジャーナリズムを変えたとされる。扇動的な記事と1セント売りでイエロージャーナリズムの一翼を担い、大衆紙を確立した。多くの新聞・雑誌を傘下に収めて新聞王と呼ばれた。

マレンバウム氏は「デジタルコンテンツが、今後も使い続けられるメディアである」と加えた。

マイスペース(Myspace)は1億人のユーザーを抱える米SNS大手で、2003年7月に登場し音楽関連のコンテンツを通じたコミュニティの充実に力を入れてきた。しかし近年はライバル社「フェイスブック(facebook)」の勢いに押され業績不振が続き、従業員の削減も発表されている。会社の買収が常に上手くいくとは限らない。特に古いタイプのメディア企業の幹部が、新しいデジタルメディアの成果に精通していない場合がある。最近では、2014年3月、ウォルトディズニーカンパニーが、オンラインビデオネットワークでYouTube動画の制作企業であるメーカー・スタジオ(Maker Studios)を5億ドル(約510億円)で買収したが、ディズニー傘下への統合が上手くいっていないと噂されている。また、デジタルメディアのコングロマリット、ヴォックスメディア(Vox Media)は、著名なジャーナリスト、カラ・スウィッシャー(Kara Swisher)氏とウォルト・モスバーグ(Walt Mossberg)氏が創立した有力テクノロジー・ニュース・メディアRe/codeを買収した。

ヨング、アナリストは、「バズフィードとNBCUは、限られた財政状況下の選択肢によって活動を展開するだろう。全面的な買収に対抗しながら、結局はすべての可能性を知る前にバズフィードを押しつぶすことになるのではないか。無制限なデジタル空間であっても、人々には、ひと呼吸する余裕が必要である。意図を持った大人の管理が敵を寄せ付けないものになる」と述べた。「大まかに言えば、おそらくNBCは、これらのことから今後のニュースの方向性を知ることになるだろう」と加えた。

*この記事は、米国版 International Business Times の記事を日本向けに抄訳したものです。(原文: Christopher Zara記者「Why Is NBCUniversal Investing In BuzzFeed? Hookup Gives Comcast’s Media Unit A Window Into 21st-Century News Habits」)