中国の株価狂乱のなか、ニューヨークの不動産から利益を得る方法

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中国の不動産王
繁華街にある中国の株式市場では、ニューヨークの不動産が人気である。中国の不動産王ティエン・ミン(Tian Ming)さんは、ランドシーホールディングスの創業者兼会長である。2014年9月4日、ミンさんは、自身が開発を手がけ、ロサンゼルスにある歴史的建造物でもある由緒正しいビルトモアホテルについてニューヨークで語った。 マーク・ラルストン(Mark Ralston)さん/AFP/ゲッティイメージズ

24日、中国株式市場は取引中に前週末終値比で一時8.5%を超える急落となった。下落率はブラックマンデーの22%超に比べると小さいが、下げ幅は1日として過去最大で市場に動揺が広がった。中国経済の先行きへの懸念から、アジア、欧米でも連鎖的に株価急落となり世界同時株安となった。その後25日夜、中国人民銀行が金融緩和策を発表したが、26日の上海の株価指数はプラス圏とマイナス圏を行き来する不安定な展開となった。米ニューヨークの不動産市場にとって世界経済のメルトダウンは実際は朗報かもしれない。

裕福な中国のバイヤーは米国の不動産の最大の海外バイヤーになるために過去数年間で米国の不動産市場に数十億ドルを注ぎ込んだ。かつてニューヨークの不動産を最も購入するのはカナダ人だったが、2014年には中国人がそれを上回った。2015年、ニューヨーク市では中国人による投資が記録的に急上昇した。最近の中国の金融市場の混乱により、中国人バイヤーは少なからず資金を隠すための安全な場所を求めるようになった。安価な不動産を少し購入する場合ですら、米国市場は依然として投資家全体に対して広がりを示す可能性はあると専門家は述べている。

「中国人による購入は減少していない」と全米不動産協会(NAR)のローレンス・ユン(Lawrence Yun)チーフエコノミストは述べた。「実際には増えていくと思う。その理由は、人々が中国以外の場所でお金を稼いで安全な場所に確保しておきたいと考えているからだ」と加えた。

エドワード・マーメルステイン(Edward Mermelstein)さんは中国人クライアントを抱えるニューヨーク市の不動産関連の弁護士だが、ここ数週間から数か月の間、中国のバイヤーによる不動産購入に殆ど変化は見られないと述べた。中国株の下落は6月中旬から始まったが、米国での中国投資はこれまでどおり続いているとマーメルステインさんは語った。

「中国の投資家は過去5年間、中国で得たのと同様のリターンを手に入れようと期待している」とマーメルステインさんは話した。「このようなリターンを実現できる場所は非常にわずかしかない」と加えた。

今年3月までの過去12か月間で中国のバイヤーは、米国で28億6,000万ドル(約3,400億円)の不動産を購入したが、これは前年から22億ドル(約2,600億円)の増加であると、6月に発表されたNARレポートは伝えた。中国のバイヤーによる購入のうち、ニューヨークは約7%を占め、トップ6位以内に位置する。中国の投資におけるビックアップル(ニューヨーク市の愛称)は、今まで以上に急激に人気が上昇している。

2015年の前半に、個人と法人を合わせて中国のバイヤーがマンハッタンの不動産に38億ドル(約4,500億円)以上を費やした。これは、2014年に行われた不動産への投資総額の3倍以上に達しているとニューヨークシティに本社を置く調査会社レアル・キャピタル・アナリスティックスのレポートは報じたと、米紙ニューヨーク・デイリー・ニュースは伝えている。中国の投資家は第一級の高級不動産を購入する傾向があるとマーメルステインさんは述べている。

「通常、最も高額な地域が参照されるが、ニューヨークのセントラルパーク周辺は非常に人気がある」とマーメルステインさんは指摘した。また、人気が高い高級住宅はマンハッタンの主要道沿いで商用地でもある。2014年10月に中国の保険会社が、ニューヨーク市マンハッタン区ミッドタウンにある高級ホテル、ウォルドーフ・アストリアを購入した。ニューヨーク市のローワーマンハッタン地区にある有名な超高層ビル、ワン・チェース・マンハッタンプラザを最近購入したのも中国の民営企業である。

ニューヨーク市マンハッタンミッドタウンにある高級ホテル、ウォルドーフ・アストリア。世界不動産ジャーナル誌は同ホテルの写真とともに資産投資家にとって米国は人気が高いと述べた。  世界不動産ジャーナル誌(World Property Journal)

狂乱の購買が中国市場の低迷を遅らせることは殆どないと不動産アナリストやエコノミストは述べている。世界不動産ジャーナル(World Property Journal)は「ニューヨークはアジアの不動産投資家にとって世界で2番目に人気のある都市だ」と報じた。ちなみに1位はロンドンと同誌は述べている。しかし、その投資の側面はシフトする可能性もある。

これまで中国のバイヤーは一般的には高級住宅に多額の現金を費やし、家族や休暇にあててきた。米国で中国人が購入する不動産購入価格の平均額は、2014年に83万1,800ドル(約9,900万円)となり、中国人による購入のうち、約70%近くが現金支払いによるものであったと不動産協会のレポートは報告している。

低迷が続く中で投資家は、より安価な不動産を購入して様々な目的のために使う。「多くの不動産購入は投資のために使われる。個人が使用するために購入されるのではない」とマーメルステインさんは推測し、「停止とまではいかないが、中国の景気は減速しており、それでも明確な自由裁量の収益はある。ただ、今後どのようにしてお金を稼いでいくのかということは定まってはいない」と述べた。

中国のバイヤーの自由裁量の効く所得が減少しているとしても、それによって中国のバイヤーが完全に投資を停止するというわけではない。その代わりに、中国のバイヤーは不動産を購入し、それを貸付て、あるいは堅実に維持する。こういった投資が最近は増加しているとマーメルステインさん加えた。「近い将来、このような流れがなくなるとは思えない」と述べた。

この種の投資のための購入は、中国市場が混迷と乱高下で混乱し続ける中で今後数か月にわたって増加すると見られている。中国の投資家は彼らの資金を投入すべきより安定した場所を求めているとユン、チーフエコノミストは述べた。中国の投資家は、資金が少なくなったとしても、さらに安価な不動産の購入を開始するだろう。「彼らのお金を一時的でも投入する場としている」とマーメルステインさんは説明した。

ニューヨーク市での中国人バイヤーによる不動産への投資は安定したものなのか、あるいはこれまでよりわずかに高い取引として楽しんでいるだけなのか、専門家が予測するように、これらが不確かであることは今に始まったことではない。中国本土からは群れを成して海外投資家が米国不動産市場へと入り込んできているためである。

米フロリダ州マイアミでは、不動産業者の大半が外国のクライアントの取引に慣れている。特にベネズエラ、アルゼンチン、ブラジルといったクライアントとの取引は多い。大抵の場合、これらのバイヤーは、休暇中の別荘や、収入を得るために貸し出す不動産の購入や維持のための数百万ドルから数千万ドルを現金で支払う。

地元の不動産業者にとって、これらの投資は堅実なものである。地元の不動産業者であるクリストファー・ゾラー(Christopher Zoller)さんは、「中国の不安定な経済情勢に直面して、南フロリダの不動産は資金投資に安全な場所と考えられている」と4月の世界プロパティ誌で語っている。

*この記事は、米国版 International Business Times の記事を日本向けに抄訳したものです。(原文: Elizabeth Whitman 記者「Black Monday Meltdown: How New York City Real Estate Could Benefit From Panic In China」)