米マクドナルド朝食メニューを終日に、エッグマックは経営不振を救えるか?

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  • 朝食メニューを終日に
    2015年8月13日、米カリフォルニア州エンシニータスのマクドナルド店では、朝食メニューが試験的に一日中販売されていることを知らせるサインが店のドアに貼られていた。 マイク・ブレイク(Mike Blake)さん/ロイター
  • エッグマックマフィン
    エッグマックマフィン(写真、上: Egg McMuffin)は、マクドナルドの朝食メニューの中でも人気メニューだが、不振にあえぐマクドナルド社にとって朝食メニューの終日提供が挽回につながるのか? ジャスティン・サリバン(Justin Sullivan)さん/ゲッティイメージズ
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サイード・ジャフリ(Syed Jafri)さんは、ある理由のためにマクドナルドで朝食を摂る。「本当に二日酔いのとき」と米ニューヨーク、ペース大学でビジネスを学ぶ19歳の学生、ジャフリさんは答えた。「エッグマックマフィン(Egg McMuffin)やパンケーキを食べる。ハッシュブラウンは結構美味しい」とマンハッタンの南にあるマクドナルド店で友人と一緒の昼食時に、魚の切り身のフライを挟んだハンバーガーであるフィレオフィッシュを食べながら語った。それ以外なら「バーガーを選ぶ」とジャフリさんは話した。

人気が高くて需要があるため、マクドナルド社は米国店舗で10月6日から朝食メニューを終日提供するように決めた。マクドナルド社は、近年、経営不振に陥っているが、業界の専門家らは、朝食メニューを一日中提供するという決断は、午前10時30分で朝食メニューを打ち切るよりも賢明な動きであると述べた。しかし焦点にある問題は依然として「金のMサイン」のマクドナルドの不振、つまり厳しい競争、消費者の嗜好の変化、一見して不健康であるという相変わらずの悪評などであり、二日酔いの後のエッグマフィンだけではマクドナルドを救済することはできない。

「一歩前進だが、決して全ての救済にはならない。マクドナルドには、現在も、やるべき仕事が大量に残っている」とサンディエゴに拠点を置くパシフィックマネジメントコンサルティンググループの創設者でレストランやホスピタリティ分野の研究も行っているジョン・ゴードン(John Gordon)さんは述べている。顧客はずっと前から朝食メニューが終日提供されるよう望んでいたが、マクドナルドの対応は「非常に、非常に、遅い」とゴードンさんは指摘した。

終日メニューは広告を使った大キャンペーンとして発表されたが、ゴードンさんらは、これが近い将来、販売を後押しすると予測している。しかし計画自体に少なくとも一つの大きな欠点があるため、収益への長期的展望においては現状のままであるだろうとゴードンさんは述べた。マクドナルドのウェブサイトでは、朝食セットメニューとして、マックマフィンやパンケーキからハッシュブラウンやオートミールまで全部で24種類のオプションを提供している。しかし、朝食メニューが終日提供のメニューに切り替えられて、提供される内容は縮小されている。シナモン入りやベーグルサンドイッチはもうない。加えて、縮小されたメニューについてはアスタリスク付きで「メニュー項目は、地域によって異なります」とお知らせされている。

「誤解を招く広告だ」とコンサルティング会社アーカチュア社のラリー・ライト(Larry Light)CEOは述べた。同氏は2002年から05年にマクドナルドのグローバルチーフマーケティングオフィサーを勤めた。「このプロモーションでは、実際にはマクドナルドが終日朝食を提供していることにならない。一日中、限定されたメニューとなり、これでは全く違う」と加えた。

2014年、マクドナルドが世界中から獲得した収益は274億4,000万ドル(約3兆3,000億円)だが、このうちの3分の1近くは米国で得られたものである。しかし、米国という重要な市場でチェーン店を利用する米国人の数を全世界でマクドナルドを利用する人に対するパーセンテージで示した場合、その数値は前年より下落しており、売上額も前年比2.1%減少となった。マクドナルドの2014年次報告書は「競争が激化する市場と低迷する業界」の責任であるとして「朝食メニューに関しては継続的に成長に焦点を絞り、マクドナルド社にとっては依然として最強の時間帯であり、マーケッティングとしては特別な時間帯である」と述べている。

マクドナルドの収益 2009-2014年 青: 全収益 赤: 純利益  マクドナルド2014 アニュアルレポートより

■チポトレとの戦い

ファストフードまたはファストカジュアルフード市場への参入は増加している。米ニューヨークに本社を置くハンバーガーブランド「シェイク シャック(Shake Shack)」、メキシカン・フード・チェーン「チポトレ(Chipotle)」、コーヒーのチェーン店「スターバックス(Starbucks)」など、常に顧客を求めて、つば競り合いが続いている。マクドナルドは競争についていけない。特に、健康的な食事を望み、健康的な食事なら喜んでお金を支払いたいと思っている顧客にとってマクドナルドのメニューは調理手順が少なく、あまり新鮮でないと、少なくとも見た目からはそう思われている。

しかしマクドナルドは、ある分野では現在もリーダーである。その朝食メニューは、「力の源泉である」とニューヨークにあるシンクタンク、ハドソン・インスティチュートのハンク・カルデロ(Hank Cardello)前フードインダストリー・エグゼクティブらは語っている。

現在、マクドナルドは目的遂行の手段として既存の長所を使用しようとしていると、コロラド州に拠点を構えるナショナル・レストラン・コンサルタントのデビッド・キンチェロ(David Kincheloe)社長は指摘して「マクドナルドがやろうとしていることは、ポジションを固めることであり、現在やっていないことを提供しようというものである」と付け加えた。

上の写真のエッグマックマフィンやハッシュブラウンといったマクドナルドの朝食メニューは非常に人気があり、同社は一日中、これらを提供すれば、より多くの顧客を店内へ招き入れることができると期待している。  マイク・ブレイク(Mike Blake)さん/ロイター

マンハッタンのダウンタウンにあるマクドナルドで6日、複数の顧客は、新しくなった終日提供される朝食メニューを注文しなかったと語った。また、周囲にあるテレビ画面に、この広告が映し出されていたにもかかわらず、メニューが終日になったことは聞いたこともなかったと述べている。マックグリドル(McGriddle)は米国で2003年(日本: 2007年)に販売開始され、パンケーキにメープルシロップが入っていてソーセージやベーコン、エッグ、チーズ等を挟んだ様々なバリエーションがある。また、上下のパンケーキの表面にマクドナルドのロゴマークが印字されている。終日、好きな時間にマックグリドルが購入できることに顧客は無関心のようだ。

リカルド・サンタナ(Ricardo Santana)さん(23歳)は食料品会社フレッシュ・ダイレクトの配達員として働いている。2週間に一度程度、マクドナルドに食べに行き、Sサイズのフライドポテトとソフトドリンクのフルートピア(Fruitopia)を飲みながらマックダブル(McDouble)またはマックチキン(McChicken)を注文する。サンタナさんは、それ以上の頻度で朝食メニューを日中に購入するためにマクドナルドに行かないと述べた。「ワクワクするほどのことは何もない」と言って肩をすくめてから「マクドナルドは不健康だから」と付け加えた。

■マクドナルドからの楽しみと罪悪感

ダフィネ・デノイ(Daphnie Denoi)さんは、ニューヨークのリムカレッジでファッション製品について学んでいる20歳の学生だが、急いでいるときや節約したいときにマクドナルドへ向かう。時折マクドナルドでオートミールを購入する。デノイさんは、これからは一日中オートミールが購入できるようになるが、欲しくなったら午後でもオートミールを買うかどうかはわからないと語った。「正直に言うと、他のお店より美味しいからオートミールが好き」であり「心の奥では、マクドナルドのすべてが好きなわけではなく、ホームメードほど良くないことも知っている」とイチゴとバナナスムージーをストローで飲みながらデノイさんは言った。

ブレックファストメニューが終日メニューになった。注文しますか?  ツイッターより

 

マクドナルドがヘルシーでないからと言って、他のファストフードやファストカジュアルレストランの提供するメニューもあまり栄養価は高くないという意味ではない、たとえそのような印象があったとしてもである。

エッグマックマフィンにはスライスしたカナダのベーコンと米国のチーズと、その上に卵1個がのっている。このイングリッシュマフィンのサンドイッチは300キロカロリーである。12グラムの脂肪と、730ミリグラムの塩分が含まれている。これは成人1人の1日当たりの推奨摂取量のほぼ3分の1の塩分にあたる。

比較すると、スターバックスのチェダー・ブレックファースト・サンドイッチは、280キロカロリー、13グラムの脂肪、460ミリグラムのナトリウム、または推奨される毎日の塩分摂取量の19%が含まれている。これにはベーコンが入っていないが、卵、チェダーチーズ、イングリッシュマフィンが使われている。マクドナルドのエッグマフィンより20キロカロリーほど少なく、塩分も少ない。肉が入っていないが、より多くの脂肪も含まれている。

「摂取すべき値よりも悪い値になっている」とカルデロさんはマクドナルドのカロリーを含んだメニューについて述べた。

加えて、変更された新しい朝食メニューは、ソーセージ・ブリトー、卵、チーズ、シロップがしたたるパンケーキなどで特徴づけられているが、マクドナルドの不振を助けるものにはなりそうにない。特にマクドナルドの顧客の多くが、新しいメニューの相反する側面に気づいているか、または新しいメニューについて全く知らない。

「朝食の時間でないときに、朝食のメニューを食べたいときはある」とジャフリさんは述べて「でも、そんなときは、めったにないけれど」と加えた。

*この記事は、米国版 International Business Times の記事を日本向けに抄訳したものです。(原文: Elizabeth Whitman 記者「McDonald’s All-Day Breakfast Menu 2015: Can Egg McMuffins Save The Ailing Fast-Food Chain?」)