欧州系銀行、ドイツ銀行とクレディ・スイスでは事業再編が必要

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ドイツ銀行 ロイター

7日および8日、欧州の銀行からのワンツーパンチが投資家を襲った。ドイツ銀行は、第3四半期における62億ユーロ(約70億米ドル)という巨額の純損失を発表した。報道によると、クレディ・スイスは増資の準備をする。

ドイツ銀行もクレディ・スイスも、欧州随一の歴史や尊厳がある投資銀行である。しかし、同行らが投資家を失望させたのは、ここ数年で初めてというわけではない。同行らの不調は、世界金融危機から7年が過ぎた後でも、新規制体制や市場の実情に適合できていないトップ銀行があることを示唆している。

米国の銀行は近年、堅調に回復してきた。2015年前半については、ウォール街の利益は30%増近くとなった。一方、いくつかの欧州系の銀行は、取引活動の停滞や、前時代からのやっかいな資産となってしまった事業を抱え込んで、格闘し続けている。

◆ドイツ銀行

ドイツ銀行の損失は、主に同社の過去に獲得した営業権の評価損から生じた。投資銀行部門における23億ユーロ(約26億米ドル)の減損であった。2010年に獲得したポストバンク(Postbank)部門における評価損が35億ユーロ(39億米ドル)である。また、訴訟費用のために、もう12億ユーロ(13億米ドル)を確保した。ドイツ銀行は2008年以来、法律上の罰金として110億米ドル以上をこうむっている。

7日遅くの発表は予定されていなかったものなので、投資家たちには寝耳に水だったかもしれない。しかし、完全に晴天の霹靂であったわけではない。ドイツ最大の貸し手であるドイツ銀行は、展開している事業を隅々まで点検している真っ只中であった。

ゴールドマン・サックスのアナリストは、今回の発表について、「私たちは、今回のことを"一掃されたこと"ではなく、どちらかというと、2015年から2018年にかけてドイツ銀行に伴ってくるであろうことのサインとしてみている」と書いた。

つまり、深いレベルでの構造的な変化であると同時に、ドイツ銀行内におけるさまざまな「社内(家計)」問題であることを意味する。大幅な減損や、業績予想の抜本的な修正は、後者のカテゴリーに分類される。

ドイツ銀行のパフォーマンスは、危機後時代の規制改革の下では、期待を満たしたものではなかった。同銀行の年間株主資本利益率(ROE)はわずか2.3%であった。

数十億ユーロの減損は、投資家が数年間にわたって示唆してきたものであり、それが長い間のびのびとなっていただけである。ドイツ銀行の株価純資産倍率(PBR)は、2007年以来、1.0以下であり、競合に大きく遅れをとっている。例えば、ドイツ銀行のPBRが0.46であるのに対して、UBSのPBRは1.34である。2012年初め以来、ドイツ銀行株のパフォーマンスは、FTSEが算出する欧州銀行のインデックスよりも37%の遅れをとっている。

◆クレディ・スイス

クレディ・スイスは過去数年間、ドイツ銀行同様の困難に直面した。投資銀行部門がある欧州系銀行のほとんどは、過去5年間、弱体化した金融取引および厳しい規則と苦闘していた。クレディ・スイスは、新しい現実に追いつくスピードが特に遅いとみなされていた。

ドイツ銀行や他の欧州系の銀行同様、クレディ・スイスも、米国の競争相手にビジネスを奪われている。6月の年度末において、投資銀行の収益は5億3,800万米ドルへと下落した。

格付け機関であるムーディーズは、今週初めに公開されたレポートにおいて、過去の資産が重荷となっている欧州の5つの投資銀行を挙げた。クレディ・スイスとドイツ銀行もその中に含まれていた。資本集約的な資産やより勢いのよかった時代からの繰越など、過去の遺産である。

8日、フィナンシャル・タイムズは、クレディ・スイスが増資を求めていると報道した。改革を経て、世界の銀行が支払い能力を維持するために必要とする金額の総量は増加した。クレディ・スイスは、企業全体の再編を促進していくことを予定しており、その影響で、資本準備金が圧迫されるかもしれない。

6月末現在、クレディ・スイスの資本準備金は、欧州のトップ銀行16行中15位であり、自己資本比率は10.3%であった。クレディ・スイスのライバルであるUBSはずっと健康的であり、13.5%であった。

ドイツ銀行同様、クレディ・スイスも、経営を刷新している。6月、数年にわたる株価下落を挽回させるべく、ティージャン・ティアム(Tidjane Thiam)氏がCEOに就任した。クレディ・スイスはコモディティ部門を含め、さまざまな部門を削減してきた。しかし、2012年以来、ライバルであるUBSに30%以上もの遅れをとっている。

ティアム氏は、投資銀行を縮小するなど、進行中の戦略に集中している。前途有望なビジネスから固定収入を得たり、アジア市場に拡大したりしようとしているのである。しかし、同氏の戦略が功を奏すスピードは、事業再編に伴う必然的な損失を弁済するための資本を、どれだけ早く確保できるかによるであろう。

*この記事は、米国版International Business Timesの記事を日本向けに抄訳したものです。(原文記事Owen Davis記者「What's Wrong With European Banks? Deutsche Bank, Credit Suisse Continue On Bumpy Road」)