中国人の高級品購入に変化、「ニッチ」なブランド人気に

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中国国旗

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ロイター

ロイターが米国、アジア、欧州の小売業者を対象に行った調査で、中国人の海外での高級品購入動向が変化しつつあることが明らかになった。以前は団体旅行に参加し、購入する商品も上司や政府関係者への贈答品が多かったが、現在では個人旅行で自身や友人のために既製服や新たなブランドを買い求めるというスタイルが増えている。

ほんの2年前には、中国の高級品支出の約3分の1が、主にローレックスの時計やヘネシーのコニャック、グッチのハンドバッグなどの「贈り物」だった。しかし、中国政府が汚職や高額支出に対する取り締まりを強化したことから、現在では人目を気にせず買い物したり、節約することを目的に海外で高級品を購入する中国人が増加した。

アナリストの推計では、中国人による高級品支出のうち3分の2以上を海外での購入が占めている。主な渡航先はパリやミラノ、ロンドン、ニューヨーク、東京などの主要都市で、為替レートや税金の払い戻し、ディスカウントなどにより、中国での購入と比較して50%以上も割安で商品を手に入れることが可能だ。

ベイン・アンド・カンパニー(イタリア)のダニエレ・ジート氏は「高級品購入の目的は、以前はお金を持っているということの誇示だったが、今では自身のセンスの良さを示すことに変化している」と指摘。「(高級品の消費者は)ニッチで取扱いの規模がそれほど大きくないブランドに目を向けている」と述べた。

中国人による高級品購入は10年前にはほぼ皆無だったが、現在では世界全体の個人消費者向け高級品市場の30%以上を占めるまでに急増。中国人の今年の高級品購入額は約2590億ドルに達する勢いだ。HSBCの高級品担当アナリスト、Erwan Rambourg氏は、パスポートを所持する中国人は国民全体のわずか約5%で、海外に向かう中国人旅行者はまだまだ増加すると指摘。

<注目のブランド>

調査によると、中国人消費者の間で特に関心を集めているブランドはヴァレンティノ、ドルチェ&ガッバーナ、クロエ、ミュウミュウなど。既製服で新たに注目されているのはビクトリア・ベッカム、アレキサンダー・マックイーンのほか、「Mojo.s.phine」や「オゾック」などの韓国のブランドだ。

中国の景気悪化を受けても、中国人による高級品支出の勢いは弱まる気配はない。付加価値税(VAT)払い戻しを手掛けるグローバル・ブルーによると、中国人旅行客の高級品に対する世界での支払い額は7月に前年同月比73%増、8月に65.6%増となった。

一方、中国本土での販売は急減。同国で大規模な投資を進めてきたプラダ(1913.HK)やLVMH(LVMH.PA)傘下のルイ・ヴィトン、ケリング(PRTP.PA)傘下のグッチは打撃を受けている。また、香港では2014年の政治不安を背景に中国本土の旅行客離れが加速している。

<スタイルに磨き>

英ロンドンの百貨店ハロッズ、セルフリッジズ、仏パリのプランタンでパーソナル・ショッピングを担当するスタッフは、中国からの旅行客は海外でのショッピングを文化的体験ととらえ、ファッションショーや競馬イベントなどに関心を示していると指摘。ハロッズのサブリナ・キャノン氏は「英国の生活様式を発見し、ドレスコードやエチケットを学ぶ機会になっている」と説明した。

北京や上海など大都市からの観光客はファッションスタイルに磨きをかけるため、複数の異なるブランドの商品を組み合わせる一方、より小規模の都市から訪れる観光客は、全てを同じブランドで統一する、より安全な「トータル・ルック」を好むという。

上海の高級百貨店「l'Avenue(エル・アベニュー)」のエバ・チャン氏は、高級アイテムを購入する代表的な消費者について、最近になって富裕層の仲間入りをした25─40歳で、多くはインターネット関連事業で稼いでいると分析。「情報通で適応能力が高く、自身または友人のために買い物をする」顧客だと説明した。

人気の高い時計ブランドとしてはパテック・フィリップ、ピアジェ、ヴァシュロン・コンスタンタン、ローレックスの名前が挙がった。ジュエリーではブルガリのセルペンティ・ブレスレットやヴァンクリーフのアルハンブラペンダントを選ぶ顧客が多かった。