祝・生誕70周年! エリック・クラプトン“円熟”の一夜をライヴ・ヴューイングで堪能しよう。

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『ERIC CLAPTON/エリック・クラプトン Live at the Royal Albert Hall|Slowhand at 70』

エリック・クラプトンの生誕70周年を記念して5月に行なわれたロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでのライヴ映像が劇場公開される。ここで行なわれた計7公演とニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンでの2公演を最後に、クラプトンはツアー活動からの引退を表明しており、本作が彼自身とファンにとって大きな意味を持つ作品になることは間違いない。

[動画]『エリック・クラプトン Live at the Royal Albert Hall』予告編

1968年のクリーム解散公演、83年のデビュー20周年記念チャリティ・イベント、88年のデビュー25周年記念公演、90〜91年の『ジャーニーマン』ツアーおよび『24ナイツ』、そして2005年のクリーム再結成公演。クラプトンは自身の活動の節目となるライヴの多くをこのロイヤル・アルバート・ホールで行なっており(通算200回以上)、本作が収録された5月21日も慣れ親しんだこの会場で淡々と、リラックスした面持ちで演奏をこなしている。

セットリストの詳細については実際に見て確かめていただきたいところだが、エレクトリック編成を中心としながら中間にアコースティック編成での演奏を挟んだ3部構成で、数々のヒット曲や有名曲を網羅しながら、音楽的ルーツであるブルースの渋いカヴァーなども含み、50年以上におよぶ彼のキャリアを総括するような内容になっている。

バンドメンバーは、ポール・キャラック(キーボード、元スクイーズ)とアンディ・フェアウェザー・ロウ(ギター、元エイメン・コーナー)のほか、ネイザン・イースト(ベース)、スティーヴ・ガッド(ドラム)など強力なメンバーで固められ、エレクトリック/アコースティック両編成でクラプトンの歌とギターを自在にサポートしている。

クラプトンがこの日のために選んだギターは、真新しい2トーン・サンバーストのフェンダー・ストラトキャスター。ヴィンテージではなく、あえて下ろしたてのギターでツアーの幕引きを飾るところが素敵だ。袖を二つ折りにしたブルーの長袖シャツにジーンズというラフな出で立ちで、表情も柔和そのものだがMCはほとんどなく、いつにも増してソロに伴奏にギターを弾きまくっている。その姿からは、節目となるこの公演にかける並々ならぬ思いが伝わってくるようだ。

なお、このライヴ作品は11月4日にBlu-rayとDVDのパッケージとしても『スローハンド・アット・70 - エリック・クラプトン・ライヴ・アット・ザ・ロイヤル・アルバート・ホール』のタイトルでリリースされる。パッケージのみのボーナス映像が追加されるほか、初回限定版には同内容のCDも付属し、劇場での興奮を繰り返し味わえるようになっている。

もうひとつ、クラプトンがロイヤル・アルバート・ホールと並んでお気に入りのライヴ会場に挙げているのが日本武道館。これまで20回もの公式来日(通算200公演以上)を重ねる中で、多くの東京公演で武道館がその会場に選ばれている。ツアーの引退を表明しているとはいえ、来日公演の可能性がなくなったわけではない。古希を迎え、ますます円熟味を増すギタープレイを、日本のファンにもまた見せてほしいと願うばかりだ。(文:伊藤隆剛/ライター)

『ERIC CLAPTON/エリック・クラプトン Live at the Royal Albert Hall|Slowhand at 70』は10月24日より公開。

伊藤 隆剛(いとう りゅうごう)

ライター時々エディター。出版社、広告制作会社を経て、2013年よりフリー。ボブ・ディランの饒舌さ、モータウンの品質安定ぶり、ジョージ・ハリスンの趣味性、モーズ・アリソンの脱力加減、細野晴臣の来る者を拒まない寛容さ、大瀧詠一の大きな史観、ハーマンズ・ハーミッツの脳天気さ、アズテック・カメラの青さ、渋谷系の節操のなさ、スチャダラパーの“それってどうなの?”的視点を糧に、音楽/映画/オーディオビジュアル/ライフスタイル/書籍にまつわる記事を日々専門誌やウェブサイトに寄稿している。1973年生まれ。名古屋在住。

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