インド:3Dプリンターで人口肝臓を安価に製造する技術が誕生

  on
人工的に製造された肝臓組織
人工的に製造された肝臓組織 PANDORUM TECHNOLOGIES

インドのバンガロールにあるバイオテクノロジー系スタートアップ企業Pandorum Technologiesは、人間の肝臓機能を模写する生体組織を3Dプリンターで開発した。ヒト細胞で作られたこの生体組織があれば、動物実験や治験を減らすことが可能であり、研究開発費を削減することができる。将来的には、完全な肝臓移植のために使用される可能性もある。

Pandorumの共同設立者、アルン・チャンドル(Arun Chandru)氏は22日、「肝毒性と薬物代謝は、大きなハードルである。人間の肝臓の機能を真似するミニ肝臓を3Dプリントすれば、効率がよく副作用の少ない新薬の開発をするための実験台として使える。コストも削減できる」と声明で述べた。

チャンドル氏によると、大きな製薬会社は、1つの新薬を市場に投入するために、約100億米ドルの資金と10年の研究期間を要する。もし、この生体組織が開発されれば、新薬発見および新薬開発のためのコストと時間を削減することができる。

3Dプリントされたヒト組織の他の使い道の可能性について、共同設立者のチューイン・ボーウィック(Tuhin Bhowmick)氏は、「人工臓器を開発すれば、あらゆる臨床的用途で利用できる。肝不全の患者の人生を守るために、人工的な肝臓サポートシステムを開発するためにも利用可能であろう」と述べた。

バンガロールにあるインド理科大学院の博士号を持つボーウィック氏は、「近い将来、このような人工臓器は、移植用の臓器が深刻に不足している問題にも対処するでしょう」と付け加えた。

人工的な肝臓組織が開発されたのは、今回が初めてというわけではない。しかし、Pandorumの業績が意義深いのは、その組織開発費用がわずか15万米ドル強に過ぎないことである。インドのような発展途上国にとって、コストの低さは重要である。同国では、人口の大部分は、高度な医療に常にアクセスできるわけではない。

世界保健機構(WHO)が2014年5月に公開したデータによると、インドでは年間20万人が肝臓病で死んでいるという。一般的な肝臓移植費用は約3万米ドルであり、同国の1人当たり所得の約6倍である。

チャンドル氏は、「現在、インドでは6万~7万5,000件の肝臓移植の需要がある。しかし、実施件数はわずか約1,500件である。医学的研究のための費用を20~30%削減することのほかに、このテクノロジーのおかげで臓器が入手しやすくなるであろう」と述べた。

米疾病予防管理センターのデータによると、2013年、米国における肝臓病関連の死亡者数は6万人以上あった。マーケティング調査企業Mordor Intelligenceの報告によると、人工臓器および生体工学の世界市場は、2019年までに370億米ドル以上になると見込まれている。

*この記事は、米国版International BusinessTimesの記事を日本向けに抄訳したものです。(原文記事:HIMANSHU GOENKA記者「Indian Biotech Startup, Pandorum Technologies, Develops 3D-Printed Liver Tissue」)