サウジとイラン断交で遠のくOPECの生産抑制合意

  on
イランの原油輸送船

イランの原油輸送船

ロイター

サウジアラビアとイランの外交関係悪化により、石油輸出国機構(OPEC)が近く生産抑制で合意に達するとの観測は、実現する見込みが薄れている。

5日公表されたOPECの生産動向に関するロイター調査では、サウジアラビアはフル稼働態勢で2015年を終えたとみられている。経済制裁解除後に増産を計画しているイランが市場を確保する余地を、サウジが残そうとする兆候はない。

ウィーンで先月開かれたOPEC総会は、サウジアラビアとイランの間で敵対的な雰囲気が続くなか、生産枠について合意を得られないまま終了した。

仮にサウジアラビアとイランの両国が今年の生産枠で合意にこぎ着けるため関係改善へ向かう兆候がみられたとしても、サウジアラビアがシーア派の有力指導者ニムル氏を処刑したことに対するイランの反応をめぐってサウジがイランとの外交関係断絶を宣言したことで、そうした兆候は葬り去られていただろう。

何人かのOPEC当局者はロイターに対し、OPEC加盟国間の関係が改善する可能性はないとの見方を示した。

ペルシャ湾岸国ではないあるOPEC加盟国の当局者は匿名を条件に「この新たな状況は今後の情勢を悪化させるだけであり、OPEC加盟国間で合意に達することはないだろう」と述べた。

OPEC加盟国の中では、今回の外交問題をめぐってアラブ首長国連邦(UAE)とクウェートがサウジアラビアを支持。イラクはイランとともにサウジアラビアを非難している。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのアナリストチームは5日、ノートに「サウジ─イラン間の情勢緊迫化により、(石油の)市場シェアをめぐる争いが激化してコモディティ価格には一段の下振れリスクがもたらされる可能性がある」と記した。

過去1年半で3分の2ほど下落して先月11年ぶりの低水準をつけた原油相場は、両国の関係悪化を受けて当初は上昇したが、すぐに下落に転じている。

コメルツ銀行のアナリスト、カーステン・フリッチュ氏は「イランが増産する余地を確保するためにサウジアラビアが石油の供給を削減する可能性はない。現存する供給過剰は短期的には一段と拡大するかもしれない」と話した。