中国の大連万達、米「ゴジラ」映画製作会社を買収か――5つのポイント

  on
  • 「ジュラシックワールド」公演初日
    2015年公開の米国映画「ジュラシックワールド(Jurassic World)」は、中国でも大成功を収めた。写真は同映画に出演した俳優のクリス・プラット(Chris Pratt)さんを、2015年6月9日、米カリフォルニア州ハリウッドの「ジュラシックワールド」初日公演で映画の看板の前で撮影したものである。 マリオ・アンゾーニ(MARIO ANZUONI)さん/ロイター
  • 大連万達の王健林会長
    大連万達集団(だいれんわんだグループ)は中国のコングロマリットとして多額の資金を使い積極的な買収戦略を展開している。同社は中国の富豪、王健林さんによって創設され運営されている。写真は2015年7月16日、中国、北京で開催された中国ブランドフォーラムで講演する王健林氏を撮影した。 STR/AFP/ゲッティイメージズ
1 of 2

中国と米ハリウッドの映画会社の待望の契約が、遂に実現したようだ。太平洋を挟んだ両国で、ドミノ倒し、それとも麻雀、あるいは直ぐに崩壊してしまうのだろうか。ロイター通信は5日、中国の商業不動産、大連万達(だいれんわんだ)グループが、「ゴジラ」などの映画製作を手掛ける米映画会社のレジェンダリー・エンターテインメントの株式の過半数を取得することに合意したと報じた。

万達は全米2位の映画館チェーン、AMCエンターテイメント・ホールディングスの経営権を既に握っている。レジェンダリーの企業価値を30億ドル(約3,570億円)から最大40億ドル(約4,800億円)と評価しており、万達のレジェンダリー持ち分は株式全体の半数を若干上回るとみられる。報道によれば、両社の合意は来週にも発表される見通しだ。中国企業による米国企業の買収案件としては過去最大規模となる。

レジェンダリー社は「ダークナイト」や「ジュラシック・ワールド」などのヒット映画を公開し、ルーカスフィルム社の「スター・ウォーズ/フォース覚醒」にお株を奪われるまでは、公開週末の映画興行収入では記録的な興行収入を達成してきた。昨夏、中国でも公開された恐竜映画「ジュラシック・ワールド」だが、その興行成績は中国だけで1億ドル(約118億円)近いともされる。

大連万達はAMCエンターテイメントの経営権のほかに、長期にわたり映画産業に乗り出していくと見られるが、大連万達の取引、そして今後の動向について、5つの疑問を以下に挙げた。

■なぜレジェンダリー社なのか?

「ダークナイト」や「ジュラシック・ワールド」など、レジェンダリー社のアクション満載、あるいはスーパーヒーロー主導型の映画は、中国でも興行的に大当たりした。また、レジェンダリー社は、中国の大手製作会社チャイナフィルム(China Film Co.)と共同製作の契約を結んだため、中国国内の映画館で米国映画を上映しやすくなった。これまで中国では、年間わずか34本の欧米映画のみを受け入れていた。

大連万達集団(ワンダ・グループ)傘下であるワンダシネマライン社(万達電影院線)が中国最大の映画館チェーンであるという事実も影響する。また、親会社の万達集団は2012年に米映画館チェーンのAMCエンターテインメントを26億ドル(約2665億円)で買収しており、万達電影院線の映画館では大型スクリーンのIMAX仕様を展開しているという経緯もある。レジェンダリー社の製品は高級仕様にもよく馴染み、中国の映画興行関係者に多くの収益をもたらすと見られている。

■中国企業、次のバイヤーは誰か?

アリババ・ピクチャーズは、中国最大の電子商取引会社アリババ・グループ・ホールディングの映画部門だが、最近、米ロサンゼルス郊外にオフィスを設立した。創業者で会長のジャック・マー(Jack Ma/馬雲)氏は、新聞、オンライン動画から映画まで、メディア帝国の実現を計画しているようで、同氏は米国の映画産業に興味を向けている。アリババは、ハリウッドのスタジオの手綱を取るため、次なる賭けに出ようとしているようだ。

■中国企業が次に所有権を握る可能性があるスタジオはどこ?

大連万達は、映画製作会社ライオンズゲート・エンターテインメントの株式取得を目指し、2014年に協議を重ねている。映画「ハンガー・ゲーム」を製作・配給するライオンズゲートの経営権獲得に関心があるものの、ライオンズゲート側は少数株しか手放す意向はないようだと大連万達の王健林(ワン・ジエンリン)会長は語った。2013年初頭以来、ライオンズゲートの株式は最大ほぼ100%上昇している。2014年、アリババ ・グループと米ライオンズ・ゲート・エンターテインメントは、中国でハリウッド映画やテレビ番組のストリーミング配信を開始した。今回のレジェンダリーと大連万達の取引が、他の企業間の議論を再燃させる可能性は高い。

■減速する中国の株式市場が取引を潰す?

その可能性は低い。大連万達グループの親会社は多額の現金による積極的な買収戦略を展開してきた中で、大連万達集団の傘下で映画館を運営する万達院線などが複数の提携を進めてきた。大連万達は中国一の富豪とされる王健林氏が運営している。昨年、中国では株式市場で混乱があったが、大連万達とアリババ、双方は多くの取引を成立させた。

■大連万達にとって次は何か?

近年、大連万達はその収入源を多様化している。米映画館チェーンのAMCエンターテインメントを買収し、昨年半ばには大連万達傘下の子会社が、オーストラリアで映画館チェーンを運営するHoytsグループの100%の株式を買収する計画であることが明らかになった。また、ビバリーヒルズといった高級住宅地などの不動産プロジェクトにも投資している。

また、大連万達は、東京ドーム約34個分にあたる400エーカーもの広さを持ち、ニューヨークの街並みのレプリカを有する世界最大の映画スタジオの実現を目指しているという。そこでは、単なる中国企業ではなく、国際的な映画製作会社として映画が製作される。このプロジェクトに、より国際性が加わるのは、そこに投資が加わるということである。同社の映画産業への積極的な参入を考えると、大連万達から、今後さらに映画のスタジオの取引が発生しても驚くには値しない。しかし、このユニークな企業が現在行っていることは、太平洋の反対側にある金ピカに輝く町、ハリウッドを、エルニーニョ現象による海面上昇で発生した波のごとく押し流して行く、といったことだけにはならないかもしれない。

*この記事は、米国版 International Business Times の記事を日本向けに抄訳したものです。(原文: MATT PRESSBERG 記者「China’s Historic Hollywood Play: 5 Things To Know About Dalian Wanda Maybe Buying Legendary Entertainment」)