米国株、多くの銘柄既に弱気相場入り 自律反発期待も

  on
ニューヨーク証券取引所
ニューヨーク証券取引所(2015年9月1日撮影) ロイター

年明けの米国株は、2000年以降で最悪の滑り出しとなっている。投資家の間では正真正銘の弱気相場に向かうのではないかと取りざたされているが、実際には多くの銘柄が既に弱気圏に突入してしまった。

米国株の新年3日間の下落率は4%近くに達し、S&P総合500種のうち40%強の銘柄は直近高値から20%以上も下がった。この下落率は弱気相場の定義だ。

キンブル・チャーティング・ソリューションズの市場ストラテジスト、ライアン・デトリック氏によると、S&P総合500種の219銘柄の下落率が20%以上となっているほか、米国株には下落率10%以上の銘柄も374ある。

デトリック氏は、年初来の株価は極めて売られ過ぎの状態にあるので、いつ自律反発してもおかしくないとみている。

S&P総合500種の銘柄は52週高値から平均で約21.3%下落したため、値ごろ感が出てくる可能性もあるという。

コモンウェルス・ファイナンシャルのブラッド・マクミラン最高投資責任者は「懸念を十分に裏付けるだけのさまざまな根拠があり、足元の市場の反応が非常に妥当だと主張しようと思えばできる。だが同時に本当に事態がどれだけ変わったと問われれば、大して変わってないとわたしは答える。米国ではいくつかの『ポジティブサプライズ』があってもおかしくないだろう」と述べた。

米国株はなお割高だ。S&P総合500種の予想利益に基づく株価収益率(PER)は16.4倍と、昨年3月につけた17.4倍からはやや低下したとはいえ、04年以来の高値圏にとどまっている。

もっとも昨年、S&P総合500種のバリュエーションを大きく押し上げたのは、フェイスブック(FB.O)やアマゾン・ドット・コム(AMZN.O)、ネットフリックス(NFLX.O)、グーグル(GOOGL.O)というごく少数の「FANG」と称される銘柄群だった。

FANGのPERは相当な高水準で、例えばアマゾンの向こう12カ月に基づくPERは114.3倍、ネットフリックスに至っては368.5倍にもなる。

今年に入るとこれらの銘柄が低調に推移し、S&P総合500種は重要な支えを失って下落した。

だからといって下がった株を闇雲(やみくも)に買うべきだという理屈にはならない。

チャールズ・シュワブのトレーディング・デリバティブ担当マネジングディレクター、ランディ・フレデリック氏は「値の安い銘柄が抱える問題は、もっと安くなる可能性を常に秘めているということだ」と指摘する。

チャート分析を見ても、米国株は地合いが悪化している。レイモンド・ジェームズ・ファイナンシャルのチーフ投資ストラテジスト、ジェフ・ソート氏によると、S&P総合500種は6日の下落で重要な下値支持線だった1990を割り込み、昨年8月の安値である1870近辺を試す展開になった。

昨年8月の株安を引き起こしたのは中国経済の減速懸念で、これは今も変わらない材料だ。その上、サウジアラビアとイランの対立激化や北朝鮮の水爆実験実施表明といった別の地政学的要素まで加わった。

ソート氏は、サウジ・イランの対立や北朝鮮問題のリスクの大きさを正確に測定できないので「現段階ではまったく動くつもりはない」と静観姿勢を決め込んでいる。

ただ、1月の不振が年間を通じた下落に必ずしもつながるわけでもないことは過去のデータが証明する。

S&PキャピタルIQのサム・ストボール氏によると、1945年以降では全体の3分の1の年で、底値をつけたのは第1・四半期だった。

こうした中で、株式投資からそっくり撤退するのではなく、より選別的な態度を取るべきだと語るのは、フォート・ピット・キャピタル・グループのシニア株式調査アナリストのキム・フォレスト氏だ。

同氏は小売やハイテク、素材などのセクターで市場シェアを拡大している企業に目を向け、「わたしの希望はこれらの中にある」と強調した。