米アップルiPhoneの未来は? クック氏はウォッチ、TVなどに注目するが実現可能か?

  on
  • スマートフォンを見る顧客
    米アップル社がスマートフォンの売上減少に直面している。2015年9月25日シドニーで、顧客が販売されている新製品iPhone 6Sを手にとって比べていた。 ウィリアム・ウェスト(WILLIAM WEST)さん/AFP/ゲッティイメージズ
  • アップルの新製品を見る少年
    アップルはスマートフォン売上減少によって市場で困難に直面している。2015年9月25日、シドニーのアップルストアで10歳のレビ(Levi)君が、発売を待っていた新製品iPhone 6SとiPhone 6S Plusを見ていた。 コール・ベネッツ(COLE BENNETTS)さん/ゲッティイメージズ
1 of 2

米アップル社が困難に直面している。これまで発売してきたiPhone(アイフォーン)は、高いハードルをクリアして収益を上げてきた。しかし今のところ、iPhone 6Sがこれまでの販売機種を上回る売上になるとは思えない。ハイテクの巨人アップル社にとって史上初めての不評となっている。iPhone 6Sの携帯電話としての収益は、アップルウォッチやリモートカーとともに、あまり期待できないようだ。加えて、同社は短期間で収益成長率を維持するような起爆剤に欠ける。ウォール街で首尾一貫して利益をもたらしてきたアップルだが、新たな懸念が巻き起こっている。

アップル第二の販売地域である中国市場に立ち込める暗雲によって世界市場は鈍化し、同社の時価総額は減少している。言われるまでもなくティム・クック(Tim Cook)アップル最高経営責任者(CEO)は、投資家の懸念を静めるための業務を準備した。

クックCEOにとって十分な試みかもしれない。しかし、クック氏はアップルが高成長企業から、次の大きな収益源をシンプルに探し求めている移行期にアップルの実権を握った。「現在の問題は、アップルが業務の軸足を移し替えられるかということだ」とS&PキャピタルIQのアンジェロ・ジーノ(Angelo Zino)株式アナリストは述べた。「クック氏が同社を上手く経営する以上のシナリオが必要だ。あちこちで最高の品揃えの機会と、次なる偉大な発明が望まれる」と加えた。

アップルは、アップルミュージック(Apple Music)、アップルテレビ(Apple TV)、アップルウォッチ(Apple Watch)など、同社のサービスや製品による収益の多様化を望んでいる。しかし、iPhoneに対する予測可能な将来は、今のところまだセールスの主力であり利益の駆動力といったところだ。直近の四半期におけるiPhoneの売上高は約320億ドル(約3兆8,000億円)で、総収入の63%を占めている。

アップルの株価は、同社がiPhoneの人気失墜の恐れを鎮めようと試みてきた中で、打ちのめされてきた。まだ一年も経たない2015年2月23日に、同社の株価は最高値・終値共133ドル(約1万5,000円)をつけ最高記録を更新した。同月、同社の時価総額は7,750億ドル(約91兆円)を突破し、米国企業として初めて7,000億ドルの閾(いき)値を突破した。それ以降に、時価総額の2,000億ドル(約23兆5,500億円)以上が消えており、先週、アップルの株価終値は2014年10月以来、初めて100ドル(約1万1,000円)以下に落ち込んだ。

2015年と16年のアップル社の株価  FinancialContent/Zacks Investment Research

このような株価の下落は中国市場鈍化の影響を受けたものとされる。上海の株式市場では、中国が今年から「サーキットブレーカー」の措置を取り入れた。これは、株式市場や先物取引において価格が一定以上の変動を起こした場合に強制的に取引を止めるなどの措置をとる制度である。上海の株式市場では、この措置の導入初日である4日と、7日に「サーキットブレーカー」が発動されて取引は打ち切られた。市場はパニック売りの回避を意図したものの、世界市場に衝撃が広がった。「中央銀行はソフトランディングを求めている」とパリセーズ・キャピタル・マネジメントのダン・ベル(Dan Veru)最高投資責任者(CIO)は述べた。

iPhone 6Sと6Sプラスの需要減というささやきの中で、先週、販売台数の削減と減少の報告がアップルの中国やアジア地域のサプライチェーンから押し寄せてきた。中国に本拠を構える電子機器受託生産企業フォックスコン(Foxconn)は、アップルのiPhoneアセンブラの一つだが、昨年12月に20%収益減となった。また、今年の第1四半期にアップルは部品発注を30%削減すると予想されると日経新聞は報じた。これはベンダーに在庫一掃の時間を与えるためという。

米国金融市場ウォール街のアナリストは、2015年4月の生産台数2億3,100万台に比べて6~9%減の2億1,000万~2億1,800万台に販売予測台数を減少させる修正を行った。これらの予測が正しい場合、フラッグシップ・スマートフォンの販売台数で初めて対前年比減少を記録することになる。

iPhone 販売数 アップルの年度締めは9月27日をもとに表示した。第1四半期(10-12)となる。  AppleInc. Ge the data

米インターネットデータセンター(IDC)が現地時間2015年12月3日に公表した世界のスマートフォン市場に関する調査によると、2015年の年間出荷台数は14億3,000万台となり、その前年実績に比べた伸び率は9.8%にとどまる見通しとなった。ちなみに2014年成長率は27.6%であった。その多くが中国経済の鈍化による影響を受けたもので世界的なスマホ市場の大きなトレンドの一部であるとIDCは報じた。こうして米国のスマホのベンダーは既存の市場シェア争いの中に取り残されている。

すべてを考慮しても短期的には確実に荒れ模様になるだろう。アップルに関する状況は中国関連の状況からiPhone 6Sの需要に減少が発生したことによって、「グラスに半分は入っている状態ではなくて、グラスの半分は空の状態」、つまり満たされない状態になっているとFBRキャピタル・マーケッツのダニエル・アイブス(Daniel Ives)シニアアナリストは述べた。アップルウォッチのような新製品は、投資家が当初望んだほど迅速に人気を得られなかった。噂されているアップルTVストリーミングサービスは、どこにも見あたらない。

「今後6か月で時価総額2,000億ドル(約23兆5,500億円)を取り戻せるだけの製品が表われていない」とマーケットリサーチ企業クリエイティブ・ストラテジーのティム・バジャリン(Tim Bajarin)社長は語った。

アップルは噂の電気自動車(EV)『プロジェクト・タイタン』を含め、多様化する新たな方法を模索している。しかし最も早くてもそのデビューは2019年とウォールストリート・ジャーナルは予測している。アップルは他にも、拡張現実感(オーグメンテッド・リアリティ)や顔認識などの人工知能の技術を探求している。「アップルがイノベーションを終えたとは思わない」とバジャリン氏は加えた。

短期的に、クックCEOが率いるアップルのiPhone販売を押上げる可能性があるのは、ユーザーに効果的にスマホを使わせて、年単位でアップグレードを可能にするプログラムである。iPhone 6s、iPhone 6s Plusの予約開始が2015年9月であったように、次の「iPhone 7」の発売が予想される2016年後半にこのプログラムは奏効する。

「iPhone 7」についてはまだよくわからない。しかし、当初からの噂によると、ワイヤレス充電、防水、おそらくヘッドフォンジャックがなくなる、などがささやかれている。株式買戻しプログラムは、アップルの株価の下支えにも役立つかもしれないとジーノ氏は示唆した。

アップルのサプライチェーンの複数のベンダーから、2015年10-12月(アップルの第1四半期)及び2016年1-3月(第2四半期)の減収益を警告する声が挙がっているにもかかわらず、iPhoneの収益悪化の明確なサインと迅速に受け止める見方は少ない。「サプライチェーンを基盤としたモデルを構築するつもりなら収益減になるだろう」とベル氏は語った。「アップルはあまりに多くの異なる取引先を上手く使用して、内密にそれらを維持しているため本当のところはわからない」と加えた。

投資家はまもなく、アップルがホリデークォーター(第1四半期)の間、どのようだったかについて存分に知ることになる。アップルは4日、第1四半期決算(10,11,12月)の発表を2016年1月26日に行うと明らかにした。ここで、iPhone6sシリーズの売上などが公開される。午後5時(米国東部標準時)の電話会議に続いて結果が議論される予定である。

*この記事は、米国版 International Business Times の記事を日本向けに抄訳したものです。(原文: LUKE VILLAPAZ 記者「Apple Inc.’s (AAPL) Post-iPhone Future: Tim Cook Eyes Watches, Cars, TV — But Can He Get There Fast Enough?」)