巨大銀行はコストが高すぎる、米大統領選で「銀行解体」が突如焦点に

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メットライフ社 ロイター

「銀行を解体しよう」という呼びかけが、突如、米国で政治的な話題となった。民主党の主要な大統領候補、バーニー・サンダース(Bernie Sanders)上院議員によるところもある。しかし、ウォール街に圧力をかけているのは、バーモント州出身の同議員だけではない。金融改革の影響を受けて、金融機関では、規制するための費用が膨らみ、収益性が弱まっている。株主たちは、主要金融機関の規模と複雑さに対して、次第に疑問を呈するようになるかもしれない。

今週、保険会社メットライフは、複数に分裂するであろうと部分に割れるであろうと発表した。メットライフは、システム上重要な金融機関(Sifi)であるとみなされるに足りる保険会社である。メットライフは、厳しい「規制環境」を分裂の理由として挙げた。

アナリストたちは、巨大銀行もコスト増加を避けるための分裂するべきであるというプレッシャーに直面する可能性があると考えている。

CLSAの銀行アナリスト、マイク・メイヨー(Mike Mayo)氏は、「銀行は、当局の精査を受ける存在ではある。しかし、(いくつかの部門を分離させることによって)当局の圧力をいくらかを緩和させることができた」と解説した。「メットライフは問題に正面から切り込む」と同氏は述べた。

ウォール街の主要な金融機関は、これまでのところ、増え続ける負担に対して、分裂するという反応はしていない。規模ゆえに、圧力を感じている金融機関の数は増加しつつある。

その一方で、活動投資家たちは、自動車ローン企業・GMACや保険会社AIGに揺さぶりをかけてきた。ゼネラル・エレクトリックの財政部門であるGE Capitalは、ここ数年かけてゆっくりと自身を解体してきた。

米国屈指の金融機関も、株主の行動主義には免疫がなかった。ベテラン投資者であるネルソン・ペルツ(Nelson Peltz)氏、および同氏の会社Trian Fund Managementは、ウォール街やバンク・オブ・ニューヨーク・メロンのやり方に、異議を唱えた。後者のケースでは、取締役会の席を獲得した。活動投資家が取締役会に入るのは、Sifi銀後初であった。

もっとも上記の機関は、世界のJPモルガン・チェースやシティグループと比較するとずっと小さい。メイヨー氏は、JPモルガン・チェースやシティグループについて、「影響力の経済」の上に築かれた権力にとどまることから利益を得ていると指摘した。

しかし、最近の市場衰退は、巨大金融機関の負荷を増加させた。ゴールドマンサックス、モルガン・スタンレー、バンク・オブ・アメリカといった銀行らの株価は、有形純資産額 を下回った。つまり、これらの銀行における価値全体は、実際の価値よりも下であると評価された。銀行をスリム化したがっている活動家たちからみれば、追加の弾薬を手に入れることになる。 

サンダース氏が展開しているイデオロギー議論とは異なり、これは利益に直接関わる話である。メイヨー氏はは長年、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカの規模と複雑さに疑問を呈してきた。その2行は米国の2大銀行である。2010年のドッド・フランク法は、500億米ドル以上の資産を有する銀行に対して、資本クッションを増加させることを課した。

米国の5大銀行における収益はs、何年もの間、新たな規制とさえない取引リターンのため、低下基調にある。メイヨー氏は「銀行は、売却、スピンオフ、または他の行動を通じて 伸び悩んでいる価値を解放することを検討すべきである」と述べた。同氏は、JPモルガンについてはアセット・マネッジメント部門をそぎ落とすこと、シティバンクについてはメキシコフランチャイズを売却す可能性を考えている。

JPモルガン、バンク・オブ・アメリカともに、解体を示唆する株主の提案を退けた。提案への論駁において、バンク・オブ・アメリカは、銀行業務の中心ではない資産をそぎ落とすことにより、「かなり組織は効率化され、簡素化された」と説明した。

投資家たちは、メットライフが大改造を発表したことに反応を示した。13日のメットライフ社の初値は、前日の終値よりも6%上昇した。一方、市場の他の株価は下落傾向にあった。

投資家たちは、規制緩和が近いことを期待している。グッゲンハイムパートナーズのアナリスト、ジャレット・ザイベルグ(Jaret Seiberg)氏は13日、「私たちは、当局が、この(メットライフの)動きをポジティブなサインだと見ると信じている」と述べた。同氏は、メットライフは、構造的に危険がある金融機関のリストから除外されるようになっていくであろうと予言した。

ザイベルグ氏は、政治が金融機関の解体に影響を与える可能性を指摘し、「大統領候補がウォール街への攻撃を強めている」と述べた。そして、「メットライフの経営陣は、大統領選で誰が勝利しようとも、Sifiへの政策は厳しいものであると考えているかもしれない。私たちからみると、それは驚くべきことではない」と解説した。

*この記事は、米国版 International Business Times の記事を日本向けに抄訳したものです。(原文: OWEN DAVIS 記者「Big Bank Breakups: Who Needs Bernie Sanders When You’ve Got Dodd-Frank?」)