イラン: 産油量を日量50万バレル増、ブレント原油13年ぶりの安値に

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  • イラン国軍のモーターボート
    2012年7月2日、イラン南部のバンダルアッバスの港で香港からの石油タンカーの前をイラン国軍のモーターボートが通り抜けた。 写真:アタ・ケナレ(ATTA KENARE)さん/AFP/ゲッティーイメージズ
  • バラル沖合石油プラットフォーム
    2004年5月、カタールの領海との境界近いペルシャ湾にバラル沖合石油プラットフォームが浮かんでいた。 ベーロズ・メハリ(BEHROUZ MEHRI)さん/ゲッティイメージズ
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イランへの経済制裁解除を受けて、18日、同国政府は産油量を日量50万バレル増やすよう命じた。イランが石油市場のシェアを取り戻すよう期待しているとジャバディ(Roknoddin Javadi)副石油相はイラン石油省のウェブサイトで発表した。しかし世界的な供給過剰によってブレント原油価格は、ほぼ13年ぶりの最低価格となった。

ウェブサイト、オイル・アンド・ガスジャーナル(Oil & Gas Journal)によると、北海ブレント原油先物価格の先週末の終値は、供給過剰やイラン制裁解除の見通しを背景にロンドン原油市場で1バレル=29ドルを割り込んだ。石油市場は世界的な過剰供給とイランの増産を受けて2003年11月以来、12年3か月ぶりに安値を更新して取引された。

ドイツ・フランクフルトのコマーズバンク(Commerzbank)金属部門のユーゲン・ワインバーグ(Eugen Weinberg)リサーチ主任は、「下落はイランが世界市場へ急遽、再参入したことによる予想通りの反応である」と語り「市場は実際に供給過剰だが、すでに価格に正しく反映されている」と述べたと米通信社のブルームバーグは報じた。

イランの原油生産量を月ごとに示した。縦軸の単位は100万バレル、横軸は2010年から15年を示している。  ロイター 2016年1月17日

「一度、混乱が発生して原油はそれに初期反応を示すと、次の疑問は、イランがどれほど迅速に産油増加できるかということだ」とデンマークに本拠を置くサクソ銀行の商品戦略担当、オレ・ハンセン(Ole Hansen)氏が語ったとオイル・アンド・ガス・ジャーナルは伝えた。ハンセン氏は、約24隻のスーパータンカーは給油も終えてイランからの出発準備も整っていると加えた。

2015年4月の国際エネルギー機関(IEA)の報告書によると、イランの石油埋蔵量は膨大で、3,000万バレルの原油があると伝えている。同国のタンカーは出国の準備が行われ、陸上にはそれ以上の原油が備蓄されている。イランの備蓄量は、6か月間、日量18万バレルの出荷を流動的に維持するに十分な量であると予想される。「制裁が解除されて数か月以内に、イランの油田は日量3.4mb(メガバレル)から3.6mbになることが可能だろう」と同報告書は伝えた。

また、ジャバディ副石油相は「制裁以前のレベルに戻るには少なくとも1年かかるだろう」と同省のウェブサイトでコメントし、イランの石油増産の重要性を強調した。そして、近隣諸国がイランの市場シェアを占有しないよう慎重に行うべきであると警告した。

油田と製油所の位置と、地域ごとの生産量を示した。  ロイター 2015年8月17日

国際原子力機関(IAEA)はイランは同国の核プログラム解体の合意は達成したと認めた。1月16日、イランと、同国との核交渉に参加した米英独仏中ロの6か国は核開発を巡ってイランに課していた制裁を解除すると発表した。イランのザリフ(Mohammad Javad Zarif)外相と欧州連合(EU)のモゲリーニ(Federica Mogherini)外交安全保障上級代表が同日、「イランは約束を果たしたのだから、それに伴ってイランの核開発に関する多国間および国内の経済・金融制裁は解除された」とウィーンで共同声明を発表した。

2012年に国際制裁が発令される以前のイランは、石油輸出国機構(OPEC)の中で第二位の産油国だった。2012年に制裁が開始されて同国はOPEC加盟13か国中、5位に転落し、2015年12月の生産量は日量270万バレル、前月比10万バレル減であったとブルームバーグは報じた。

*この記事は、米国版 International Business Times の記事を日本向けに抄訳したものです。(原文: ERICA PISHDADIAN 記者「Iran Orders 500,000 Barrel Per Day Increase In Oil Production, As Brent Crude Drops To 13-Year Low」)