イギリス医療、国民保険サービスで手と上腕部の移植を受けることが可能に

  on
マーク・カヒル氏
ウエストヨークシャー州在住のマーク・カヒル(Mark Cahill)氏。同氏は、2012年に手の移植手術を受けた。 ITV

イギリスでは、国民保険サービス(NHS)で手と上腕部の移植を受けることが可能になる。NHS信託は、2016年4月から移植プロセスに資金提供することを同意した。報道によると、公的な健康システムでは、世界初となる。

ウェスト・ヨークシャー地方リーズにある特別施設では、この「極めて複雑な」手術に向いている成人候補者の検討を開始した。移植には、4つの外科チームが同時に動く。

イギリスでは2012年、手の移植手術が初めて実行された。しかし、一般大衆に提供されるのはこれからである。NHS信託は、年間4件の手の移植に出資する。1回の移植手術につき、推定7万2,000米ドル(約864万円)がかかる。

リーズのチームを率いるのは、形成外科医のサイモン・ケイ(Simon Kay)氏である。同氏は、ウエストヨークシャー州在住のマーク・カヒル(Mark Cahill)氏に対して、イギリス初の手移植手術を執り行った。

ケイ医師は、「私たちは、今回の新サービスの提供者になれてうれしい。広範な専門分野のプロフェッショナルたちによるチームが、現在、新しい患者を調査している。私たちは、患者と患者の家族が以前だったら想像できなかった方法で、彼らの役に立ちたい」と述べた。

元パブオーナーのカヒル氏(54)は、通風の炎症が原因で、右手の機能を失った。手術の結果、彼の手には麻痺が残った。報道によると、2012年にリーズで先駆的な手の移植手術を受けて以来、同氏は移植された手の機能をほぼ完全に取り戻した。自身のくつひもを結ぶことや、孫娘を抱き上げることや、車を運転することが可能になった。

カヒル氏は、「手の移植手術を受けて以来、私の生活の質は、すばらしくなった。私は今一度、ドナーの家族に感謝したい。彼らは親族が亡くなったという一番大切なときに、故人の手を私に提供することを許してくれた。そのことが、私の人生を本当に変容させた」と述べた。

移植可能な手と上腕部を見つけるのは簡単ではない。まずは、故人の家族が提供に同意する必要がある。そして、移植を受ける人の血液型、免疫面、腕のサイズ、肌のトーンと適合しなくてはならない。すべてが適合するのは、稀である。

適切なドナーの手と上腕部が見つかれば、骨、腱および筋肉、血管の接合という最先端の施術が開始される。また、患者は、外科手術を許可される前に、心理的・肉体的に徹底的に精査される。

NHSの特別委任ディレクターを務めるジョナサン・フィールデン(Jonathan Fielden)氏
は、「NHSは、この最先端プロセスを提供するということにおいて、世界をリードしている。基準を満たしている患者の生活の質をかなり高めることは明らかになっている。NHSが、この極めてイノベーティブなサービスをできるだけ早く稼動させられるように、NHSチーム、およびケイ教授を筆頭としたリーズチームと緊密に連携するでしょう」と述べた。

*この記事は、英国版 International Business Times の記事を日本向けに抄訳したものです。(原文: Karthick Arvinth記者「NHS England to offer patients pioneering hand transplants」)