アップルウォッチ発売から1年、スマートウォッチ市場の悩みとは?

  on
アップルウォッチ
2015年4月10日、スマートウォッチであるアップルウオッチをロンドンで見つけた。 クリス・ラトクリフ(CHRIS RATCLIFFE)さん/ブルームバーグVIAゲッティイメージズ

アップルウォッチ発売から1年近くが経過した。アップルウォッチは米アップル社から2015年4月に発売された腕時計型ウェアラブルコンピュータ(スマートウォッチ)である。スマートウォッチ市場には、誰もが期待した大ブームが訪れたというよりもむしろ静かな波紋が広まったという印象であった。アップルはこれまで800万台から1,200万台が売れたとしている。しかしウォールストリートでは、当初は2,000万台から3,000万台が売れると予想していた。

発売当初からの鈍い売上げに加えて、これらのガジェットは、消費者の注目はあったものの、地味で目立たない存在だ。アップルだけではない。グーグル(Google)がスマートウォッチ向けに設計したたOS、アンドロイドウェア(Android Wear)は、2015年に320万台分が出荷されたと推定されている。しかし、アップル以外のスマートウォッチ市場もほとんどが低調であるとインターネットデータセンター(Internet Data Center、略称: iDC)は報じている。

バッテリー寿命からサードパーティー製アプリまで、様々な観点から様々な問題をスマートウォッチは抱えている。市場を停滞させている要因は何かをここで分析する。

■必要性を示す

ほとんどのアナリストの一致した意見として、多くの製品はなぜスマートウォッチが毎日の生活に必要なのかを示すことに失敗しているという。「消費者はこれらのデバイスの実生活での必要性がわかっていない」とカンター・ワールドパネル・コムテックU.S.リサーチ(Kantar Worldpanel ComTech US)社のキャロリーナ・ミラネシ(Carolina Milanesi)主任は述べた。

このため、製造メーカーには”スマートウォッチがユニークなプロダクトである”というデリケートな違いを示さなければならないという困難な課題が残っている。例えば、メッセージを確認するために、スマートフォンなら頻繁にタップしなければならない場合でも、ウェアラブルならそうする必要がないといった性能を示すといったことである。

「スマートウォッチの分野で実現しなければならない目標は大きく、多くの消費者にとってそれは馴染みの薄いものである」とリサーチ会社であるクリエイティブ・ストラテジー(Creative Strategies)のベン・バジャリン(Ben Bajarin)主任アナリストは語り「ユーザーはスマートウォッチを手に入れる前は知らなかったことでも、手に入れた後に理解しなければならないことがたくさんある」と指摘した。

■バッテリー寿命

製造元メーカーにとってはスマートウォッチの全機能が自慢かもしれないが、24時間以上バッテリー寿命が持たず、一日の終わりに充電装置の山の上に同機を設置しなければならないというのはまた別の問題である。「余分なコードを持ち歩きたいと望む人などどこにもいない。自分のスマートウォッチがどんな日でも必要なだけの時間、機能して欲しいと誰もが望んでいる」とIDCウェアラブルチームのラモン・ラマ(Ramon Llamas)リサーチマネージャーは述べた。

2015年初めに、アップルウオッチはバッテリー寿命が1日以上として四苦八苦していた。しかしバッテリー寿命に関して改善が見られ始めている。例えば、サムスン電子のスマートウォッチ「Gear S2」は、バッテリーが「2日から3日持つ」と誇っている。

■遅くて制限付きのアプリ

スマートウォッチはより小型化したパッケージに多くの機能を詰め込んでいるが、パフォーマンスの遅さが一部のユーザーにとっては取り扱いづらさにつながる状況となっている。11月にアップルウオッチ専門調査企業の米リストリィ(Wristly)は、サーベイオブ330(survey of 330)として調査を行った。その中でアップルウオッチに不満を持つユーザーが、スマートウォッチから離れた理由の第1位として、そのパフォーマンスに関係していると述べているとしていると同社は報じた。「鍵を握るパフォーマンス領域が最も頻繁に引用され、80%は限定的な機能パッケージを非難し、66%は動作が遅いと答え、59%はバッテリー寿命に不満があると答えた」とリストリィのバーナード・デサナート(Bernard Desarnauts)CEOはブログに書いている。

アップルストアにはアップルウオッチのために約1万のサードパーティ製アプリがあるが、スマートウォッチのユーザーにとって使いやすい機能とは言えない。特に動きは遅い。「アプリのパフォーマンスはまだかなり動きが遅い」とバジャリン主任アナリストは指摘して「その問題が一旦解決されれば、ユーザーはアプリに関してどのように使いこなすかを見出し、開発者はそれを受け止めることで活路を見出すだろう」と述べた。

■無関心な消費者

ひとつの側面として、消費者の中には彼らの初めてのスマートウォッチ購入をためらっている人もいる。調査対象になった1,500人のうち、今後6か月間でスマートウォッチの購入を考えている人は約74%で、これらの人はウェアラブルテクノロジーがエキサイティングであると考えているが、何らかの理由で買い控えているとIDCは報じた。その一方で、すべての人が購入に前向きというわけではない。アイフォーンを持っている米国人1,000人以上を調査したところ、53%が「アップルウオッチを購入しても何も便利にはならない」と答えたと、米国のソフトウェア企業Branding Brand社は伝えた。

米国のアイフォンユーザーの半数以上が米国のソフトウェア企業Branding Brandによる調査に対して「アップルウオッチを購入しても何も便利にはならない」と答えた。  BRANDING BRAND社

■より安価な代替品へ

消費者がフィットネストラッキングガジェットを手に入れたいと思うなら、アップルウオッチ(349米ドル、4万2,800円)や他のスマートウォッチよりも、遥かに安い代替品はたくさんある。比較してみると、米フィットビット社の健康管理のためのウェアラブル活動量計はいずれも80ドルから200ドル(約9,000円から2万3,000円)である。同社の手首に取り付けるタイプのフィットネストラッカーは、特に冬の連休時期に人気が高く、2015年のその時期に810万個が出荷され、前年同期比52.8%増となった。一方、アップルは同時期に、半数ほどの410万個のスマートウオッチを販売した。データ調査会社のカンター・ワールド・コムテック(Kantar Worldpanel Comtech)が米国人1万1,000人を対象に昨年10月に調査を行った。それによると41%が「スマートウォッチは購入しない」と答えてその理由は「高すぎるから」というものだった。

価格が一番の障害であることがわかる。  KANTAR WORLDPANEL COMTECH

*この記事は、米国版 International Business Times の記事を日本向けに抄訳したものです。(原文: LUKE VILLAPAZ 記者「Apple Watch Update: A Year In, What’s Ailing The Smartwatch Market?」)