米FOMC、年内利上げ予想2回に引き下げ:識者はこうみる

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イエレン米FRB議長
イエレン米FRB議長 Getty Images/Alex Wong

米連邦準備理事会(FRB)は16日まで開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利の据え置きを決定した。だが米経済の緩やかな成長と力強い雇用の伸びを受けて、今年再び利上げすることが可能との認識を示した。

市場関係者のコメントは以下の通り。

<岡三証券・債券シニアストラテジスト 鈴木誠氏>

米連邦準備理事会(FRB)は政策金利の据え置きを決定するとともに、年内の想定利上げペースを2回に引き下げた。市場でハト派的と受け止める向きもあったが、利上げペースの鈍化は、ある程度想定の範囲だ。

FRBは不安定な金融市場や世界経済などの動向を見極めながら、利上げ判断をしていくとみられるが、市場は年2回の利上げでさえ懐疑的な見方をしている。足元の指標は強めの内容も目に付くが、利下げを急ぐほど、景気が拡大しているわけではない。物価上昇ペースが速まらないとすれば、米長期金利も大きく上がることはないだろう。米10年債利回りは1.75%から2%付近をコアレンジに推移するのではないか。

<パインブリッジ・インベストメンツ 執行役員 前野達志氏>

米利上げペースが遅くなるという点は、グローバルの流動性の観点からプラス。だが円高は日本株にはマイナスだ。市場がこれからどちらを重視するか、読みにくいところでもある。現時点では6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加の利上げが実施される可能性があるとみている。だが、経済指標次第の面もあるうえ、利上げペースに対しては今後、市場の見方が割れてくることも予想される。

もっとも米経済はそれほど悪い訳ではない。中国も回復基調に戻ると考えれば、穏やかながらもグローバル市場は上昇基調に入っていく。原油市場に対しても警戒感は持つべきだが、米原油先物については今後、1バレル40─50ドルの範囲で安定的な推移も見込まれる。

日本株についてはファンダメンタルズというよりは、参院選をにらんだ政策への期待から底堅い展開となるだろう。ただ、為替に加え、来期の企業業績についてはかなり弱気なものが出てくる恐れもあり、当面は上値の重い形となりやすい。

<クレディアグリコル銀行 外国為替部長 斎藤裕司氏>

米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの金利予想に基づく年内利上げ回数は2回に引き下がった。足元の米経済指標が堅調なこともあって3回への下方修正を織り込む向きが増えてきていた中では、ハト派的な内容となった。

発表後の相場では、投機筋はポジション調整の動きに出た。米金利が低下し、金利面からのドル高はかなり難い状況となった。きょうは東京・欧州の両市場でも、こうした調整の動きが出る可能性がある。

ただ、FOMCを踏まえたドル売りの流れは、週内には収束するだろう。来週前半には国内実需筋の期末のリパトリエーション(資金の本国還流)によるドル売り/円買いの動きも大方終了するため、上値が軽くなる可能性がある。3月最終週のドル/円チャートは、陽線となる傾向が強いことからも、目先のドル上昇も期待できそうだ。来週は海外勢のイースター休暇を控えていることもあり、ドル/円は111─115円のレンジで落ち着く可能性がある。

<ドライブウエルスの首席市場ストラテジスト、ブライアン・ドーラン氏>

米連邦公開市場委員会(FOMC)声明は極めてハト派的なトーンとなった。連邦準備理事会(FRB)は金利の道筋に関する見通しを下方修正すると同時に、インフレ圧力が存在しない中、米経済が総じて底堅く推移しているとの認識を示した。

リスク選好度を押し上げ、リスク資産の買いを後押しするだろう。

<ウェルズ・ファーゴ・ファンズ・マネジメントの首席ポートフォリオ・ストラテジスト、ブライアン・ジェイコブソン氏>

世界情勢が引き続き課題と米連邦準備理事会(FRB)が指摘したことにそれほど驚かない。(カンザスシティー地区連銀総裁の)ジョージ氏らタカ派が、利上げペースの加速を主張できるが、より慎重な見方が優勢となるだろう。このため、利上げ回数予想が、市場予測により合致するよう大きく引き下げられた。

<UBSウェルス・マネジメント・アメリカズのシニア株式ストラテジスト、デービッド・レフコウィッツ氏>

金利見通しは市場の想定以上に引き下げられた。FRBが示唆する年内の利上げ回数をめぐっては、2度と3度の予想で大きく分かれていた。今回、年内2度の利上げの可能性が示され、市場よりややハト派的な結果となった。

これまで市場の利上げ予想と米連邦準備理事会(FRB)当局者の金利見通しには大きな開きがあった。今回の金利見通しの修正で、双方の見方が近づいた格好だ。市場とFRBがかい離する可能性を低下させるため、支援材料だ。個人的にはこの変化の意味は大きく、その他はおおむね想定内だ。

<マニング・アンド・ネイピアの債券部門幹部、マーク・ブシャロー氏>

今回(示された声明や経済見通し)はややハト派的と言えよう。市場が好む方向だ。このため、次回利上げの予想時期は、4月から6月か7月にずれ込むことになるだろう。

米連邦準備理事会(FRB)が示した経済見通しや、世界情勢が引き続きリスク要因との指摘がややハト派的だ。市場が6月か7月(の利上げ)により対応できるよう、FRBが環境整備を試みようとしているとみる。4月に行うなら、(今回示された)見通しや文面がともによりタカ派的な内容となっていただろう。

<コロンビア・スレッドニードル(ミネソタ州)のシニア為替・金利アナリスト、エドワード・アルフセニ氏>

かなりハト的な声明となった。個人消費支出(PCE)価格指数の見通しが1.6%から1.2%に引き下げられたのは重大な変更といえ、いわゆるドット・プロット(=今後の政策金利の推移を点で示したグラフ)の下方修正の根拠になっていると思う。ただ個人的にはインフレ率は当該予想よりも多少強まっていると考えており、米連邦準備理事会(FRB)はやや後手に回っているのではないか。FRBは足元、慎重になっており、海外リスクが主要リスクであると強調している。