オバマ米大統領のキューバ訪問、起業家らビジネスチャンスを求めて同行

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オバマ大統領とラウル・カストロ国家評議会議長
米オバマ大統領とキューバのラウル・カストロ(Raul Castro)国家評議会議長。 IBT

20日午後4時半(日本時間21日午前5時半)、オバマ(Barack Obama)米大統領はキューバの首都ハバナに到着した。現職米大統領のキューバ訪問は88年ぶりとなり、1959年のキューバ革命以来続いた対立の歴史の大きな転換点になるとの見方も強い。複数の米国企業がキューバ市場に大きな期待を寄せており、オバマ大統領の3日間のキューバ訪問はビジネスチャンスをそそる可能性を提供している。大統領のハバナ訪問には特別に企業家も同行し、ビジネスリーダーたちはこの機を活かしてビジネス拡大を狙う。

オバマ大統領のキューバ訪問に同行したビジネスリーダーは、空き部屋賃貸仲介業のエアビーアンドビー(Airbnb)共同創設者であるブライアン・チェスキー(Brian Chesky)氏、マリオットホテルのアルネ・ソレンソン(Arne Sorenson)CEO、メジャーリーグコミッショナーのロブ・マンフレッド(Rob Manfred)氏、スターウッドホテル最高総務責任者兼法務顧問ケン・シーゲル(Ken Siegel)氏らである。

オバマ大統領の訪問は22日(現地時間)までの3日間だが、滞在中に、キューバの政治家、社会的リーダー、地元企業家との会談も行われた。大規模なビジネス取引や渡航規制の一層の緩和など、方針の変更やこれまで以上にキューバに門戸が開かれることを目指す。

キューバを訪問中のオバマ米大統領が21日に放送されたABCニュースとのインタビューで、米グーグル(Google)社がキューバのインターネット接続環境を拡充することを明らかにした。同大統領は「われわれがここで発表することの1つは、グーグルが、キューバでさらなるWiFiとブロードバンド接続の設定に着手する取り決めを交わしたことだ」と述べた。米国とキューバは2015年、54年ぶりに国交を回復した。これに伴いエアビーアンドビーは2015年4月、キューバの個人住宅を賃貸リストに載せて宿泊状況を提供し、世界中の顧客がアクセスできるようサービスを開始した。昨年4月以降、エアビーアンドビーがキューバで操業をはじめたことによって、米国からの旅行者は前もってキューバでの宿泊先の予約ができるようになった。

米ホテル大手、スターウッド・ホテルズ&リゾーツ・ワールドワイドは20日、キューバでホテル事業に乗り出すことを明らかにした。同社は首都ハバナにある3つのホテルの運営に携わる。米国からキューバへの訪問客急増でハバナではホテルが飽和状態となっているため、スターウッドは同国進出で商機拡大を狙うものと見られる。AP通信は、米ホテルチェーンのキューバ進出は、社会主義革命後に米系資産が接収されて以来、50年以上ぶりと報じた。米財務省はこれについて、キューバでの「ビジネスチャンスを追求」するものとし「積極的にサービス業界の関係を追求したもの」と評価した。またスターウッドは21日、同業大手の米マリオット・インターナショナルが示した新たな買収提案を受け入れると発表した。マリオットによる買収については一旦、合意していたが、中国企業連合がそれを上回る金額提示額を出したため、白紙に戻っていた。

マリオットインターナショナルのアーン・ソレンソンCEO(右から二人目)ら関係者。  2016年3月21日

ホワイトハウスのCEOやビジネスリーダーのリストに掲載されているのは、レストラン会社のThinkFoodGroupの創設者、ホセ・アンドレス(Jose Andres)氏、2月に米国政府からキューバにトラクター工場を建設する許可を受けたソウル・ベレンサル(Saul Berenthal)氏、米ゼロックス社の最高経営責任者(CEO)で輸出振興会議の議長を務めるウルスラ・バーンズ(Ursula Burns)、NPO機関キヴァ・マイクロファンド(Kiva Microfunds)CEOのジュリー・ハンナ(Julie Hanna)氏、衣類会社FUBUのデイモンド・ジョン(Daymond John)最高経営責任者(CEO)、スターフィッシュ・メディア(Starfish Media)のソウルダッド・オブライエン(Soledad O'Brien)氏、ペイパルのダニエル・シュルマン(Daniel Shulman)CEO、ニュー・エンタープライズ ・アソシエーツ(New Enterprise Associates)社のベンチャーキャピタリスト、シール・タイラー(Sheel Tyler)氏らである。

「ハバナでオバマ大統領は経験談を聞くために起業家らと会談する」とベン・ローズ(Ben Rhodes)大統領副補佐官(国家安全保障問題担当)は新しいブログのプラットフォーム「Medium」に書いた。「キューバでのイベントには、キューバの起業家らと経験を共有するために米国の起業家も参加するが、これは長期的な関係を構築する機会を得るためである」と語った。

キューバに関心を寄せる多くの企業の専門家が米大統領のキューバ訪問に帯同する。米ペンシルベニア州に拠点を置くNPO法人「Engage Cuba」のジェームズ・ウィリアムズ(James Williams)代表もまたキューバに目を向けている。米国の法律事務所「アキン・ガンプ・ストラウス・ハウアー・アンド・フェルド(Akin Gump Strauss Hauer & Feld)」の2人のロビイスト、商工会議所のグループ、メジャーリーグ(MBL)代表団の200名の中のメジャーリーグのチーフオフィサーのトニー・ベティティー(Tony Petitti)氏や、メジャーリーグの元選手のデレク・ジーター(Derek Jeter)氏、ルイス・ティアント(Luis Tiant)氏、ホゼ・カルデナル(Jose Cardenal)氏も、キューバに関心を寄せている。

メジャーリーグは長い間、米国でプレーしたいキューバの野球選手の規制緩和のためにロビー活動を行ってきた。オバマ大統領のキューバ訪問中に、メジャーリーグのタンパベイ・レイズ(Tampa Bay Rays)とキューバナショナルチームによる野球の親善試合が行われる。米大リーグ(MBL)は11日、ヤンキースの元主将デレク・ジーター氏が22日にハバナでレイズがキューバ代表と行う親善試合にMLB代表団の特別ゲストとして帯同すると発表した。MLB球団がキューバで試合を行うのは1999年以来で、MLBで活躍したキューバ出身のルイス・ティアント(Luis Tiant)元投手とホゼ・カルデナル元外野手らも含まれ、ジーター氏は2人と共にハバナで子ども向けの野球クリニックなどの行事に参加する。

キューバのホテルでのデレク・ジーター氏ら米メジャーリーグ野球関係者。  2016年3月21日

アキン・ガンプ法律事務所のロビイスト、アーニャ・ランダウ・フレンチ(Anya Landau French)氏とデブリイ・ブーグナー・フォアベルク(Devry Boughner Vorwerk)氏は、キューバに興味を持っているクライアントのために彼らがどれほどガイドとして役に立てるかを検討している、と同法律事務所は明かした。

ビジネスリーダーたちは、オバマ大統領のキューバ訪問は二国間が通商関係を構築する長い道程の一歩であると慎重に強調した。

「今回の訪問は、さらに重要な商業関係への出発点として本当に重要である」とフォアベェルク氏はウェブサイト「The Hill」で語った。

MLB最高法務責任者ダニエル・ハレム(Daniel Halem)氏は非公式の会談が行われるかもしれないと述べて「われわれは席について実質的な問題について語り合うための計画は立てていない」とウェブサイト「The Hill」で加えた。

オバマ大統領とキューバのラウル・カストロ(Raul Castro)国家評議会議長は首脳会談に臨み、2014年12月に米国とキューバの国交正常化交渉を開始して一年以上にわたって非公式な会合を重ねてきたが、歴史的な関係修復に至ったとして両国の新たなつながりについて発表した。キューバは2015年7月にワシントンにキューバ大使館を開設しており、その後、米国が8月にハバナの大使館を再開した。金融、商業などに関する多くの規制緩和も始まった。

しかし、冷戦時代から続いてきた米国の対キューバ経済制裁はまだ解除されていない。制裁解除には米連邦議会の採決が必要である。

*この記事は、米国版 International Business Times の記事を日本向けに抄訳したものです。(原文: ELIZABETH WHITMAN記者「As Obama Visits Cuba, These Business Execs And Entrepreneurs Are Following, Eager To Explore Opportunities」)