中国人の爆買い担う「代購」、政府が取り締まり強化

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中国・上海
フェリーから撮影した、中国・上海の風景 BLOOMBERG VIA GETTY IMAGES

中国は、海外から発注された商品に対する税金を引き上げたり、高級品をスーツケースに詰め込んでこっそり運び込む密輸業者への取り締まりを強化している。

こうした取り組みは、中国国内の消費を促し、税金逃れのために使われるグレーマーケットに圧力をかける動きと一貫する。

世界の高級品市場で中国人が購入者の3分の1を占める一方、中国本土での高級品売上高は全体のわずか5分の1にすぎない。

大半は、海外のウェブサイト経由で注文するか、中国人観光客が海外で購入、もしくは「代購」として知られる個人が高級品をスーツケースに詰め込んで中国にひそかに運び入れ、直接またはインターネットで販売している。

こうした状況は中国政府の税収入を直撃するだけでなく、輸出から消費主導型経済への転換を図るべく当局が押し上げようとしている国内消費セクター、特に高級品市場を抑制している。

「中国は海外での購買分を取り戻し、消費主導型経済への移行という目標とも一致する国内高級消費市場を発展させたいと考えている」と、HISグローバル・インサイトのエコノミスト、Yating Xu氏は指摘する。

シャネルなど一部のブランドは昨年、内外価格差を埋めるべく中国での販売価格を下げたが、ドルチェ&ガッバーナの最新バッグといったアイテムは、ミラノやパリで購入する方が、中国国内よりも5割ほど安く購入できる。

一部の中国人が海外での高級品購入を好む理由として、自国で買うよりも本物だと確信でき、種類も豊富で、より良いサービスが受けられるということが挙げられる。

高級品メーカーは中国でのショップ開店に投資しているが、対策が取られないこともあり、自社ブランドを傷つける恐れもある。

コンサルティング会社ベイン・アンド・ カンパニーの調査によれば、問題は昨年にかけて悪化しており、中国本土における高級品消費は2015年に2%減少。その一方で、中国人による海外消費は、日本で251%、欧州で31%、韓国で33%増加した。

主にインターネット上である平行市場は、従来の実店舗を追い出していると、仏ファッション誌「エル」中国版のエディトリアルディレクター代理のRoth Lai氏は、パリで開催された会議で指摘した。

「eコマース(電子商取引)は、中国で高級品市場の主な原動力となっている。だが経済構造の大転換が起きるまで、中国人はしばらくの間、海外で購入し続けると思う」と同氏は語った。

<罰金と課税>

「代購」と闘うため、中国政府は虚偽の申請に対する罰金を上げ、税関検査を強化した。空港では、当局者が高級品でいっぱいのスーツケースを持った中国人旅行者の摘発を強化し、税金を課している。

中国政府はまた、4月8日からインターネット経由の輸入品もしくは「代購」によって持ち込まれた製品に対し増税を行うとしている。

海外から注文された時計への関税は30%から60%に、宝石は10%から15%に引き上げられた。

「中国人の『代購』や、中国人観光客の海外消費に悪影響があるだろう」と、イグザーヌBNPパリバのアナリスト、ルカ・ソルカ氏は指摘する。

中国政府は、後押しするオンライン決済システムの銀聯(ユニオンペイ)カードの海外使用に対する制限も厳しくしている。1月時点で、海外での年間現金引き出し限度額は、カード1枚当たり10万元(約170万円)となっている。