ECB総裁、金融緩和「必要な限り継続」 6月から社債購入へ

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欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁

ロイター

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は21日開いた理事会後の会見で、利用可能なあらゆる緩和手段を「必要な限り」続ける意向を表明した。ドイツではECBの金融政策に対する批判が高まっているが、中銀の独立性に対する政治介入を拒む姿勢を鮮明にした。

理事会では、予想通り金融政策の据え置きを決定した。

総裁は、ECBの金融緩和政策は「機能しており効果的」とし、完全な効果を発揮するまで待つべきと述べた。

世界の不確実性は根強いとし、「適切な水準の金融緩和策を必要な限り維持することが極めて重要」との認識を示した。

またインフレ率は2%弱とする目標から依然程遠いと重ねて強調、ユーロ圏は引き続き様々な域外のリスクに直面しているとし、大規模な資産買い入れ策やマイナス金利の実施に踏み切っていなければ、状況はさらに悪化していたとの考えを示した。

インフレ率は今後数カ月にマイナスとなる可能性があるとし、低インフレに忍耐強く対応する必要があるとも述べた。

総裁はまた、月額800億ユーロの資産買い入れ策の一環として、6月から社債の購入を開始することを明らかにした。起債、流通の両市場で実施するとした。ただ公共事業に関連している企業が発行した債券については起債市場の買い入れ対象外となる。

INGのエコノミスト、カーステン・ブレゼスキ氏は「ECBはなお警戒姿勢を緩めておらず、景気回復の腰が折れるようなら一段の刺激策を打ち出すだろう」と話す。

<ヘリコプターマネーについては協議せず>

景気支援策として市民に直接現金を供給する「ヘリコプターマネー」をめぐっては、理事会で協議しなかったと述べ、検討するのではとの憶測の火消しに努めた。

総裁は3月、利下げ打ち止めを示唆したが、今回は「金利は現行か、これを下回る水準に長期間とどまる見込み」と述べるにとどめた。ただ、こうした政策は将来的に金利がより高い水準に戻るのに必要との認識を示した。

ドイツでは、ショイブレ財務相がECBの金融緩和策が国内で多大な問題を引き起こしており、極右勢力の台頭を促す一因になっていると述べるなど、ECBに対する批判が強まっている。

だがドラギ総裁は「われわれは、ドイツだけでなくユーロ圏全体の物価安定を目指す責務を負っている」として、ECBの金融政策の正当性を主張。ECBの独立性は欧州連合(EU)協定に定められており、「われわれは政治家ではなく、法律に従う」とした。

ECBの独立性を脅かすと受け止められかねない批判は、投資に悪影響が及ぶとの認識を表明。望む結果が得られる時期はさらに後ずれし、ECBが一段の緩和策を実施せざるを得ない状況になるだけだと述べた。

またドイツでは、ドラギ総裁の出身国であるイタリアと不適切な経済運営といったイメージを重ねる国民が多い。総裁は「イタリア人以外の人物が総裁であれば違った金融政策を行なっていただろうか。われわれの(低金利)政策は世界の他の場所でも同様に導入されている」と反論、理事会メンバーはドラギ氏を支持していると述べた。

その上で、各国政府に景気支援に向けた財政政策や野心的な改革の実施を求めた。