2016年米大統領選、トランプ氏は共和党候補になれるのか?

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ドナルド・トランプ氏
米共和党の大統領指名候補ドナルド・トランプ氏が2016年4月25日、米東北部ロードアイランド州ワーウィックで選挙演説を行った。 ロイター/ブレイン・スナイダー(BRIAN SNYDER)さん

米大統領選で、共和党の大統領候補者の指名獲得に向けてトップを走っているドナルド・トランプ(Donald Trump)氏を阻止するのは絶望的という雰囲気が、ここ数か月にわたって共和党内で広がっている。トランプ氏は、次の2か月間で、多くの代議員を持つ州で勝利を収めてリードを確実なものにするとの見方があり、予備選で対立候補に最後の伸びがあってもそれはあまりにも小さく、遅すぎるかもしれない。

4月26日、東部5州(ペンシルベニア州、コネティカット州、ロードアイランド州、メリーランド州、デラウェア州)での予備選挙が行われた。その後の共和党の選挙日程は次のようになる。括弧内は代議員数である。5月3日インディアナ州(57)、5月10日ネブラスカ州(36)とウェストバージニア州(34)、5月17日オレゴン州(28)、5月24日ワシントン州(44)、6月7日カリフォルニア州(172)、モンタナ州(27)、ニュージャージー州(51)、ニューメキシコ州(24)、サウスダコダ州(29)、7月18日が共和党全国大会となる。米大統領選では全代議員2,472人の過半数1,237人を確保すれば指名を獲得する。規定により3人以上候補者が乱立して過半数を獲得する人物が現れなかった場合は、上位2名による決選投票になる。

共和党の中では最近、トランプ氏の陣営が、指名獲得に必要な過半数の代議員数、1,237人を獲得して、共和党候補へ確実に近づいているとの声が高まっているが、その背後にある数字は異なる状況を示している。トランプ氏が指名候補を確実にするためには、おおよそ392人の代議員を獲得する必要がある。そうなれば党大会前に指名候補を獲得し、決選投票は行われない。しかしペンシルべニア州の代議員71人のうち54人は、特定の候補を支持する必要のない非拘束代議員であるため、米メディアによると、トランプ氏が党大会の第1回の投票で指名を確実にするために、残りの州の予備選で、特定候補を支持する必要のある拘束代議員の約70%を確保しなければならず、予備選が終了する6月7日までにトランプ氏がテキサス州選出テッド・クルーズ(Ted Cruz)上院議員とオハイオ州知事ジョン・ケーシック(John Kasich)氏を徹底的に打ち破って党大会前に指名を確定するのは非常に厳しいと見られている。

「数字の上で、党大会の第1回投票で指名を獲得できる唯一の人物はトランプ氏だ」と、2008年の大統領選挙でアリゾナ州ジョン・マケイン(John McCain)上院議員の陣営で働いていたフォード・オコンネル(Ford O’Connell)氏は述べた。「クルーズ氏とケーシック氏は数によって排除される」と加えた。

共和党候補者、トランプ氏、クルーズ氏、ケーシック氏の獲得した代議員数。  Associate Press

IBTimesが最近行った世論調査によると、共和党のフロントランナーであるトランプ氏は現在のリードを保ち、これから予備選挙が行われる州でも勝利を収めるという目標に向かって、概ね軌道に乗っていることが示された。

もちろん、絶対確実というわけではない。トランプ氏が共和党の大統領候補として指名されるまでに、いくつかの州では明らかに打撃を与える州が出てくるだろう。

6月7日に投票が行われるニュージャージー州もこの可能性がある州の一つである。ニュージャージュー州では、勝利した候補者が51人の代議員全員を獲得するウィナー・テーク・オール(勝者独り占め制度)となっている。トランプ氏にとって、ニュージャージー州の予備選挙は重要な位置を占める。4月26日に投票が行われたペンシルベニア州の代議員の数は71人である。インディアナ州の予備選挙は5月3日、代議員数は57人である。ペンシルベニアとインディアナ、両州では予備選挙の結果を受けて代議員数が各候補に配分されるシステムとなっている。世論調査では、トランプ氏はこれら3州でいずれもリードを保っており、ペンシルベニア州で45.8%の支持率、カリフォルニア州で45.7%、インディアナ州で39.3%となっている。インディアナ州以外の2州でトランプ氏はクルーズ氏とケーシック氏に対して二桁のリードを保っている。

「5月3日のインディアナ州の予備選挙の後、トランプ氏は6月7日のカリフォルニア州とニュージャージー州で対立候補を一掃する必要がある」とオコネル氏は述べた。「問題は5月だ。5月に予備選挙が行われる州ではトランプ氏は優勢ではない」と加えた。

ウィナー・テーク・オール制度となっているネブラスカ州は、トランプ氏にとって状況が厳しい。ネブラスカ州はより保守的な州で、一般論としてトランプ氏にとって不利と見られているとオコネル氏は語った。

24日夜、クルーズ氏とケーシック氏はトランプ氏に勝利するため、インディアナ州(5月3日)、オレゴン州(5月17日)、ニューメキシコ州(6月7日)の3州では互いに選挙戦で協力する方針を発表した。トランプ氏と1対1の選挙戦を行うことになり、トランプ氏の票を切り崩せるとしている。

具体的には、クルーズ陣営はインディアナの選挙運動に集中し、オレゴン、ニューメキシコ2州での運動はやめる。ケーシック陣営はインディアナから手を引いて、この2候補に分散されると見られている票を確実に獲得し、トランプ氏に対抗する作戦だ。両氏は5月の3州の予備選に限って協力すると発表した。

4月26日のペンシルベニア州など東部5州の予備選でトランプ氏が優勢となり、5月の予備選でトランプ氏が勝ち進めば過半数獲得が見えてくる。世論調査を平均した米政治専門サイト「リアル・クレア・ポリティックス」によると、インディアナ州はトランプ氏が39.3%の支持率、対してクルーズ氏は33.0%、ケーシック氏は19.3%と、ケーシック票がクルーズ票に上積みされれば逆転可能との見方もある。次のインディアナ州でトランプ氏がクルーズ氏に敗北すれば、党大会前の過半数到達へのハードルは高くなる。

24日の発表からわずか1日後、ケーシック氏はインディアナではメディアを活用したり、いつものように有権者と握手したりはしないとフィラデルフィアで記者団に語った。しかしケーシック氏は同氏のインディアナの支持者は同氏に投票すると思っており、インディアナ州での資金集めのスケジュールも組んでいる。

クルーズ氏とケーシック氏は私を倒すために結託した。  ツイッターより

ケーシック氏は、クルーズ氏と結んだ選挙活動に無頓着であり、それはかえってトランプ氏にプラスになると警告する者もいた。

「かなり常軌を逸脱したやり方だ。実際にはトランプ氏が信頼できるというネタを提供して、トランプ氏の支持拡大につながるだろう。共和党内の誰もが、ケーシック氏が共和党の指名候補者にはならない方へと動くだろう」とテキサス州ダラスの南メソジスト大学コミュニケーション学専攻、ステファニー・マーティン(Stephanie Martin)助教授が指摘した。「これがもしプロのスポーツだったら、こういったプレーヤーに人が賛同することはないだろう。まともじゃない」と加えた。

*この記事は、米国版 International Business Times の記事を日本向けに抄訳したものです。(原文: CLARK MINDOCK 記者「Can Donald Trump Win The 2016 GOP Nomination? Math Says Yes As Kasich, Cruz Push For Brokered Convention」)