iPhone「SE」に強気のアップル、生産・販売現場は懐疑的

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米アップルのiPhone SE
iPhone SEを披露した米アップルのバイスプレジデント、グレッグ・ジョスウィアック氏 ロイター

米アップル(AAPL.O)が26日発表した第2・四半期(1─3月)決算では、スマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の販売台数が発売以来初めて減少したことが明らかになった。投資家の懸念を和らげようと、同社は3月下旬に発売された低価格で小型画面の新型iPhone「SE」の需要が旺盛との見方を示したが、アジアの「SE」販売業者やサプライヤーは、必ずしも同様の明るい見通しを持っているわけではなさそうだ。

iPhone「SE」の売り上げは1─3月決算に反映されていない。

ロイターが香港、北京、上海、深センにある販売業者10社に調査したところ、直営店であるアップルストア4店を含む7社が滑り出しは好調と回答した一方、アップル直営ではない3社が売れ行きはいまひとつ、と回答した。

「SE」を含めたiPhoneの部品を供給する2社は、受注が減っていると回答した。

台湾に拠点を置くiPhoneサプライヤーの幹部は「iPhone部品をこれまで5、6年供給しているが、今四半期の受注は低調だ。現在のアップル向けの供給状況は過去2年とは異なる。iPhoneのモデルは増えたが、iPhone全体の販売量は減っている」と語った。

アップルにとって米国に次ぐ重要市場であり、売上高の4分の1を稼ぐ大中華圏で、生産や販売の現場からこのようにまちまちな見通しが出ることは同社の大きな懸念材料となりうる。1─3月の大中華圏の売上高は前年同期比26%減少した。

ロイターの調査について、アップルからのコメントは得られていない。

<根強い人気>

深センにあるアップル製品再販業者XiongyuのZhu You Peng氏は「iPhoneはまだ人気だが、新モデルが出ていないことと『SE』は『5C』に似ているため、売り上げは減っている」と指摘する。

アップルは2013年に低価格モデル、iPhone「5C」を発売した。

Zhu氏によると、昨年は月間300台前後のiPhoneが売れていたが、今年に入って月間100─200台前後に減ったという。

Zhu氏の見解は、今回の決算発表後にアップルのマエストリ最高財務責任者(CFO)が示した明るい見通しとは食い違う。CFOはロイターに対し、iPhone「SE」について「全世界で供給がひっ迫している。需要は非常に強い」と語った。

アップルのウェブサイトによると、中国本土のアップルストアでは「SE」は完売しており、商品到着まで約3週間待ちの状況。ただ、店舗にもともと何台が供給されたのかは不明だ。

アップルには、iPhone販売の減少が一時的なつまずきに過ぎないことの証明が求められている。

iPhone「SE」は、アップルが最新モデル「7」を発売するまでの売り上げ減を相殺するために重要とみられている。大方の予想では、「7」の発売時期は9月の見込み。低価格は、アップルが中国など新興国のライバルメーカーに対抗するための戦略の一つだ。

3月に「SE」を発売するにあたり、アップルのジョズウィアック副社長は、ターゲット市場として中国を挙げ、「SE」が搭載する4インチのディスプレーはスマホを初めて買う消費者に依然人気だと語った。アップルの主力モデルである「6」や「6プラス」はより大きなディスプレーを搭載している。

<サプライヤーは弱気>

「SE」の部品も扱う別のiPhoneサプライヤーは、iPhoneの受注は第2・四半期と下半期に減少するとの見通しを示し、「顧客(アップル)はより高い目標を掲げているが、われわれの見通しはもっと控えめだ」と語った。

景気減速に伴い、より安価なスマホに消費者が流れる可能性がある中国で、アップルがさらに失速することへの懸念は強い。

先の再販業者のZhu氏は「現地メーカーの売り上げは伸びている。とくに月収3000元以下の低所得層に人気で、OPPOやVivoなどの1000─2000元程度のモデルがよく売れている」と語った。

調査会社トレンドフォースによると、中国での大幅なシェア拡大で勢いづく中国のスマホベンダー勢の世界出荷台数は、第1・四半期にアップルと韓国サムスン電子(005930.KS)の合計を初めて上回った。

中国のスマホベンダーの代表格で、アップル、サムスンに次いで世界シェアが3位の華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]の幹部、Joonsuh Kim氏は「中国では、金持ちに見られたい人はiPhone、少し変わったものを使いたい人はサムスンを選ぶ傾向があったが、最近の消費者はもっと賢い。だからわれわれに大きなチャンスがある」と語った。