進む円高・株安、政府は介入意識させ市場鎮静化狙う

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ロイター

日銀が4月の金融政策決定会合で追加緩和を見送った後、円高・株安が進行している。米為替報告書で日本が「監視国」に指定されたことに加え、今月下旬の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)を前に、為替介入に踏み切れないとの市場観測が広がっていることも影響している。

麻生太郎財務相は円売り介入辞さずの姿勢を示したが、反転の兆しは見えない。日本政府は「介入」を意識させながら、市場の鎮静化を見守る戦術を取る可能性が高い。

<市場が注目する米為替報告書>

「明らかに一方的に偏った投機的な動きが見られているので、極めて憂慮している」──。麻生太郎財務相は4月30日夜、羽田空港で記者団に囲まれ、これまでよりも1段階トーンを上げて、円売り介入も辞さない姿勢を示した。

しかし、2日の東京市場ではドル/円JPY=EBSが106円台前半まで下落。日経平均株価.N225も一時4月12日以来となる1万6000円割れとなり、「口先介入」に対する反応は鈍かった。

背景には、「実弾介入」の可能性について、市場が懐疑的にみていることがある。米財務省が29日に発表した外国為替報告書で、日本は「監視リスト」に指定された。さらにもう1段厳しい「為替操作国」に認定される3要素のうち、2要素に該当していることが明らかとなり「ここで介入すれば、操作国と認定されかねない」(外資系銀関係者)との見方が一挙に市場で多数派を形成することになった。

これに対し、日本の財務省幹部は「(為替報告書が)日本の介入を制限するものではない」との姿勢を崩していない。

ただ、政府部内にも日本が単独介入した際に「米国が『ビナイン・ネグレクト』(静観)してくれる可能性は低い」と指摘する向きもあり、介入の実効性は不透明だ。

また、市場の一部には米為替報告書が批判の対象として、日銀の追加緩和も想定しているのではないかとの思惑も出ている。しかし、日銀内にはこの見方を明確に否定する声が圧倒的に多い。

<市場との溝>

一方で、政府部内には今回の円高が、4月28日の日銀金融政策決定会合における追加緩和見送り後に起きていることに言及する関係者もいる。複数の関係者は、日銀の決定が相場に影響を与えた可能性があると見られるなら、為替介入の正当性が保たれるのか微妙だとの見解を示している。

日銀の黒田東彦総裁は、決定会合後の記者会見で「市場との対話に問題があるとは思っていない」と語った。日銀内でも、その後の相場変動についてのコメントを控える一方、追加緩和見送りの決定は間違っていなかったと指摘する声が多い。

しかし、政府部内には追加緩和の有無にかかわらず、市場変動が大きくなるケースがあることから「(日銀と市場の対話に)ボタンの掛け違いがあるかもしれない」(政府関係者)との声も出ている。

5月26─27日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)では「現下の経済情勢が最大のテーマとなる」(安倍晋三首相)見通しだ。

政府・日銀は、議長国として議論をリードするためにも、市場の混乱を早期に収束させたい考えだが、サミットまでを考えた場合、手元にあるカードは多くなさそうだ。

ただ、円買いのポジションが膨らむ中、市場における介入警戒感がくすぶり続けているのも事実。今週発表予定の米経済指標などをきっかけに円安方向に相場が反転する可能性もある。

政府は、介入の可能性を意識させつつ、円高圧力の鎮静化を狙っていると思われるが、そのためにはポジション動向など市場の変化を正確に把握することが不可欠。

サミットまでに市場との溝をどれだけ埋められるか、政府・日銀の正念場はなお続きそうだ。