リオオリンピック:観光客の安全は確実、反動でスラム街が危険区域に?

  on
リオデジャネイロ
リオデジャネイロの町並み(2015年11月19日) ロイター

ブラジルは、3か月後の夏季オリンピックに向けて、訪問客を獲得すべく奮闘している。しかし、政治不安、深刻な景気後退、および脅威となるウイルスの発生などの影響で、半分以上のチケットが売れ残っている。ブラジル政府はチケットを購入して、地元の学校に寄付することを検討している。

現地のセキュリティについての専門家は、オリンピックへの訪問客が伸び悩んでいる理由は犯罪ではないと指摘する。ブラジルは、オリンピックに向けて犯罪の取り締りを強化してきた。ただし警察の暴力も付随して増加した。

殺人が多い国として知られているブラジルであるが、統計を見る限り、訪問客については極めて安全そうである。リオデジャネイロは8月5日から17日までのオリンピック期間中、ブラジルで最も警護されたエリアのひとつとなるであろう。

むしろ、オリンピック向けのセキュリティ計画が実施されることによって、ブラジル国内のスラム街およびその周辺に居住する140万人の安全が懸念される。

オリンピック期間中、貧困地域およびその周辺コミュニティのセキュリティは脅威にさらされる可能性がある。警察は、空港やホテル、またはイベント会場など外国人旅行客が滞在する場所に集中的に配備される。

リオデジャネイロにあるセキュリティ関連のシンク・タンク「イグラペ研究所(Igarape Institute)」のロバート・ムガ(Robert Muggah)調査長は、「もし失業中の黒人男性なら、あるいはもし低所得エリアかスラム街で暮らしているのなら、オリンピックはその人物にとってとても悪いニュースであろう。しかし、白人で中産階級か富裕層、そして外国人なら、米国北西部の都市にいるのと同程度に安全であろう」と述べた。

ブラジルは夏期オリンピックのために110億米ドルを投資してきた。国内で多くの問題を抱えていることは、オリンピックを安全に進行したいという強い動機となっている。たとえ自国民の安全を犠牲にしたとしてもである。

ムガ氏は「悪名高い事件がメディアで増幅されるので、実際の危険度とイメージの危険度の間にギャップがつくられる。7日にリオジャネイロでで17歳の女の子が殺された。ブラジルサッカーのスターであるリバウド選手は、40万7,000人にフォローされている自身のインスタグラムで、『状況が毎日悪化していっている。リオオリンピックのためにブラジルを訪問するのはやめて、家にいたほうがよいだろう』と警告のメッセージ投稿した。

ブラジルは2014年、FIFAワールドカップの訪問者を警護することに成功した。政府は観光客を警護するべく、リオデジャネイロのいたるところから警察と軍人を集めて再配備するであろう。ムガ氏は、8万人以上の保安要員が観光客、メディアおよび選手を守るために配備されると見積もっている。そこには3万人の軍人または予備軍人も含まれる。そして彼らは人口6,300万人のリオデジャネイロ人口の一部となる。

リオデジャネイロを拠点とする非営利組織カタリティック・コミュニティズ(Catalytic Communities)の代表で、都市プランナーのテレサ・ウィリアムソン氏は、「観光客に危険がおよぶかもしれないという懸念は、地元住民に影響を与えそうである」と考える。

同氏は、「オリンピックの間、観光客は信じられないほど安全になるでしょう。心配ないです」と電話で述べた。そして、補足のメールで「不幸なことに、『観光客や訪問客は安全に過ごせるの?』といった国際メディアが考え出した問いへの答えは、まだ示されていない。私たちは、状況を明らかにし、そしてまた住民にとっても安全ま都市にするべきである」と述べた。

*この記事は、米国版 International Business Times の記事を日本向けに抄訳したものです。(原文:ANGELO YOUNG 記者「Rio Olympics Crime Risk: ‘If You’re A White, Wealthy Foreigner, You’re Safe’ Despite Brazil’s Murderous Reputation」)