欧州石油大手、再生可能エネルギー拡大に新たな活路

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太陽光パネル

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ロイター

欧州の大手石油会社が、新たな収入源を求めて再生可能エネルギー事業の拡大に取り組んでいる。

ロイヤル・ダッチ・シェル(RDSa.L)、ENI(ENI.MI)、トタル(TOTF.PA)、スタトイル(STL.OL)の各社がこの数週間に多角化のために打ち出した再生可能エネルギー向け投資は合計で約25億ドルに上る。

トタルは今後20年で再生可能エネルギー・蓄電分野で先頭に立つとの方針を掲げており、これまでのクリーンエネルギー向け投資が欧州の石油企業としては最大。先週は産業用電池メーカーのサフト(S1A.PA)を11億ドルで買収すると発表し、2011年以降は太陽光パネルメーカーのサンパワー(SPWR.O)の筆頭株主だ。

いずれも先の目標達成に向けた取り組みの一環で、9月には取締役会に再生可能エネルギーや電力部門を統括する担当役員を置く予定。

パトリック・プヤンヌ最高経営責任者(CEO)は今週、報道陣に対して「革新は壁にぶち当たったとき起きる。革新は不可欠だ。これがなければ利益を生まない場所にいつまでもしがみ付くことになる」と語った。

ロイターが入手したシェルの内部資料によると、同社も「新エネルギー」部門を設立し、風力や太陽光、水力、バイオ燃料などの事業を統合する計画だ。

またBPは最近、世界の発電量に占める再生可能エネルギーの比率が2035年までに15%に高まるとの見通しを示した。

再生可能エネルギーへの投資が増えたからといって、手付かずの石油・ガス資源にすぐに取って代わることはないだろう。

しかしアーンスト・アンド・ヤングのエネルギー・環境ファイナンス部門の責任者、ベン・ウォーレン氏は「今後10年間に太陽光エネルギーのコストが下がり続け、電池技術の進歩によりどこでも必要な場所に電力を送ることができるようになれば、石油・ガスの埋蔵資源を掘削することはないだろう」と述べた。

これまでのところ石油大手の再生可能エネルギー向け投資は設備投資全体からみて微々たるものだ。シェルは同部門に2億ドルを投資する計画だが、これは年間設備投資300億ドルの1%弱にすぎない。

アリアンツ・グローバル・エナジー・ファンドの共同マネジャー、ローハン・マーフィー氏は「現時点では石油大手の再生可能エネルギー向け投資は、設備投資全体との比較で規模が小さく、まだ計画は初期段階にあるため、大きなリターンは生まないだろう」と予想した。

コンサルティング会社ウッド・マッケンジーのシニアアナリストのトム・エラコット氏は、石油大手の再生可能エネルギー向け投資のリターンは、電力会社並みの1桁台から2桁台前半にとどまるとみている。

このため石油大手もこの分野への大規模な投資には慎重だ。

しかし地球温暖化対策の新たな枠組み「パリ協定」が採択されたことで、投資家は石油大手に対して温暖化ガスの排出量削減を強く求めている。年金基金、インフラファンド、政府系ファンド(SWF)といった機関投資家としては、こうした要求を通じて、出資者の間で広まる環境意識の高まりに応じることが可能になるという。