最低時給15ドルに!  労働組合にも参加したい

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「最低時給を15ドルに!」の活動を行う人々。
「最低時給を15ドルに!」の活動を行う人々。 IBT

米国では今、「最低時給を15ドルに! (Fight for $15)」という賃金改善を求める動きが、ファーストフード店などの業界の労働者たちを中心に広がっている。この動きを米国最大の労働組合のSEIU(国際サービス従業員労働組合)が支援している。SEIUは米国最大の労働組合で非営利組織、1921年に設立され、本部は米ワシントンD.C.にある。米国では現在、2009年から時給7.25ドル(約800円)に据え置かれている連邦最低賃金を引き上げる動きが全米の自治体レベルで相次いでいる。

労働者たちの抗議が、しばしば労働組合での争点になる。労働組合に加入する労働者は米国全体では減少している。このため労働組合の財源が枯渇している。多くの労働組合は減少する財源を最大限に活用するために苦慮している。このため、労働組合のリーダーシップは労働者も巻き込んで苦しい立場へと追い込まれている。特に、労働組合員が同一の保護や作業条件を求めた場合、状況は厳しい。

組合員が自ら組合を形成している場合もいくつかある。「労働組合代表のための連合(UUR: Union for Union Representatives)」は、そのような方法で活動を実現してきた。UURグループは全米で約100人のSEIUのスタッフの代弁者として活動している。現在、UURは「最低時給を15ドルに!」の活動を行っている労働者をUURに参加させないSEIUは、SEIU自らの団体交渉契約に違反しているとして、「最低時給を15ドルに!」キャンペーン主催者を統一化すべきだと主張している。

2014年、米ロサンゼルスのマクドナルドの外で、デモ参加者が「最低時給を15ドルに!」の活動として抗議を行っていた。  ルーシー・ニコルソン(LUCY NICHOLSON)さん / ロイター

時に、SEIUは「最低時給を15ドルに!」活動を、組合そのものからは離れた、半ば自律的な活動と説明してきた。しかし、UURは、キャンペーンに関係する労働者は実際はSEIUに雇用された従業員であると主張する。このため、従業員は彼ら自身の表現を持つ必要があると、UURは23日に発表した声明で述べた。「最低時給を15ドルに!」を繰り広げる15の主催者団体組織がUURの会員として名を連ねているが、UURの代表は、UURと契約を結ぶべき組織団体はSEIUも含めて約100に上ると見込んでいる。

コナー・ハンロン(Conor Hanlon)UUR代表は「『最低時給を15ドルに!』のキャンペーンに強い信念を持っている。私たちの組合に所属するメンバーは、組合に所属していないがこの活動の最前線に立っている労働者と共に活動を展開していく」と声明で述べた。「なぜなら、『最低時給を15ドルに!』の活動を行うスタッフは私たちの労働組合の一員となるべきだから」と加えた。

SEIUにとって「最低時給を15ドルに!」は厄介な問題である。多くの場合、「最低時給を15ドルに!」キャンペーンは、公正な賃金と労働条件に対する責任を逃れている他の企業の労働者への責任も問いかけてきた。ファーストフードの労働者を組織化する取り組みの一環として、「最低時給を15ドルに!」キャンペーンはマクドナルドに対して提訴した。そこでは、いくつかのフランチャイズ加盟店によって労働法違反が行われた可能性があり、巨大フランチャイズチェーンには責任があると述べている。

米カリフォルニア州で「最低時給を15ドルに!」のキャンペーンを行っているエミリアナ・スパラコ(Sparaco)さんはIBTimesに次のように語った。ファーストフード店員として彼女と同僚は同じ立場にいる。劣悪な労働環境、低賃金、不安定な採用条件に対して組合を組織しようとしている。2つの主催団体のうちの1つがカリフォルニア州サンディエゴ全体でのファーストフードのキャンペーンに関与しているが、超過勤務手当なく年間約3万4,000ドル(約370万円)を得たとスパラコさんは述べた。

「私は労働者に、リスクを選択して現実と戦うように求めている」と自らの活動について語った。「それが唯一の権利であるように思う。私は他の労働者と同じ立場にいる」とスパラコさんは加えた。

SEIUにコメントを求めたが返答はなかった。UURは、デトロイトで開催されたSEIUの2016年全米大会の開催中に、「最低時給を15ドルに!」の活動の組織化を要求した。同大会の中で、メアリー・ケイ・ヘンリー(Mary Kay Henry)SEIU会長はニュースサイトのバズフィードに「『最低時給を15ドルに!』の活動の下で労働者は結束するため、まもなく正式に組合として提携するかどうかの投票が行われる」と語った。

昨年、SEIUは「最低時給を15ドルに!」キャンペーンに対処するため約1,600万ドル(約17億円)を費やしたことが税務申告によって明らかになった。

「最低時給を15ドルに!」に関わってきたものの、スパラコさんはSEIUに雇用されてきたとIBTimesに語った。労働組合に属する人物が彼女の直属の上司だった。

「私がSEIUのスタッフであり続けている唯一の理由は、私の給料明細票には、その上に別の名前、つまり組合名が書かれているからだ」と述べた。

*この記事は、米国版 International Business Times の記事を日本向けに抄訳したものです。(原文:NED RESNIKOFF記者「Minimum Wage And Fast-Food Workers: Now, ‘Fight For $15’ Organizers Want To Join A Union, Too」)