英国民投票、「残留」ならポンド急騰が悩みの種か

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英ポンド

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ロイター

最近の世論調査等によると、英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票で残留が決まる可能性が高まっている。ポンドの急落や資金流出を恐れる金融市場にとっては一安心だが、逆にポンドが急騰して輸出企業や経済政策にとって悩みの種となるかもしれない。

世論調査では何カ月間も残留派と離脱派が拮抗していたが、ここ2週間で残留派の優勢が際立ってきた。ブックメーカー(賭け業者)のオッズを見ると、離脱の確率は今や20%まで低下している。

残留が決まった場合、ポンドはどの程度上昇するのだろうか。

ポンドの実効レート=GBPは過去6カ月間で10%下落。乱高下を警戒してオプション市場のインプライドボラティリティは2年前の約2倍に上昇した。今後数カ月間のオプションのプライシングはプット(売る権利)に大幅に偏っている。

つまりポンド相場にはなお相当の弱気観が織り込まれており、EU残留の結果が出ればそれが消滅するはずだ。

ロイターの調査では、EU離脱が避けられればポンドは4─5%上昇する可能性がある。しかし一部には、足元の水準から最大14%上昇するとの見方もある。

<踏み上げ>

ポンドの上昇は、空売りポジションの踏み上げによってもたらされる可能性もあるし、ファンダメンタルズの観点からポンド資産全般に見直し買いが入ることも考えられる。

ポンドの空売りは足元で多少減ったとはいえ、米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、売り建玉は今も3年ぶりの高水準にある。

その上、UBSのデータでは過去1年間のポンド売りは反転とは程遠い状況。投機的なヘッジファンドが足元でポンド買いに入っている程度で、資産運用会社やノンバンクなどは明確にポンドを敬遠している。

つまり投機的な動きだけでなく、長期的なポンド資産への回帰が起こるかもしれない。

海外投資家は、大きな政治リスクを嫌ってポンド資産の買いを減らしているだけかもしれない。

また、海外投資家が2014年のスコットランド独立を問う投票時から英国株の保有を落としているのは明らかで、それは現在まで続いている。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチが今月実施した世界的な資産運用調査では、英国株の保有は2008年11月以来の最低水準まで下がっている。

EU離脱のリスクが消えれば、イングランド銀行(英中央銀行、BOE)による利上げ観測が再燃し、これもポンド高要因になるかもしれない。ただ、ポンドが急騰すれば成長と物価に打撃をもたらすため、BOEはポンドによって手を縛られる可能性もある。