2011年12月2日 01時09分 更新
「グローバル化」と「全体思考」との関係性
「弊社は、近い将来、本社を海外に移します。英語は不自由なく話せるように準備をしておいてください」
これは、ベンチャー企業に内定をもらった大学生が、今年の内定式で言われた言葉です。
また、シンガポールに10年以上在住していた日本人の方に伺った話です。
子どもが15歳になったときに日本に帰国し、シンガポールの学校から日本の学校に転校されたそうです。そのとき、15歳の子どもが次のように言ったそうです。
「日本の学校はおかしいよ。だって、日本人しかいないんだもん」と。
そして先日、通信会社の人事部の方から、人事部に日本語が全く出来ない外国人が入社してきたとの話を伺いました。
上記のことからもおわかりの通り、日本人が日本人とだけ生活をしたり、ビジネスをしたりする時代は終わったと言ってもいいかもしれません。
11月16日からシンガポールで開催された人材育成カンファレンスに参加してきました。アメリカの人材育成・開発機関であるASTDと、シンガポールの人材開発機関STADAが共同で開催したカンファレンスで、西洋と東洋の学びあいの場であったと感じました。
カンファレンスに参加して私が強く感じたことは、これからグローバル化がますます進む中で、「全体思考」が今まで以上に求められるということです。自分の視点から、自分と相手との違いを捉えるスタンスではなく、全体的な視点から、俯瞰的に違いを捉えるイメージです。
どうしても、人は自分中心に物事を見てしまいます。
例えば、日本人が東南アジアに駐在すると、現地にいる日本人スタッフとナショナルスタッフとを分けて考えがちです。
日本人には、このようなマネジメントをしよう。ナショナルスタッフには、このようなマネジメントをしようと。
でも、もはやナショナルスタッフも、タイ人、ベトナム人、マレーシア人など多様になっています。そのような中では、日本人も一人のナショナルスタッフでしかありません。日本人と、その他の人ではないのです。日本人が特別なわけではなく、多国籍な人の中に日本人もいるだけです。
また、東南アジアに駐在している日本人に話をお伺いすると、日本人がマネジメントをする立場であると、どうしても日本人が上で、現地の人が下であるような意識を持ってしまいがちだとおっしゃっていました。そのような意識が、根深く自分の中にあると。
確かに、他のアジア諸国に比べて、日本が先に経済発展をしたかもしれません。だからといって、日本人が上で他のアジア諸国の人が下である理由にはなりません。
自分を中心に物事を捉えるのではなく、全ての人は多様であることを前提に物事を捉え、全体的な視点から考えることが、ますます重要になると思うのです。
自分中心に物事を捉えてしまうことは、グローバルに限らず日常でも起きています。日本国内で、人材育成をしている際にも感じることです。
先日、食品会社で若手育成プログラムを担当させていただきました。他部署のことを知り、部門間の協力ができるようになることを狙いとしたものでした。
社内では、常に他部門に対する批判があり、いがみ合う構造があるようです。商品を開発する人、生産する人、販売する人。それぞれの立場の人が、うまくいかない理由を他部門の責任にしていました。
それぞれが、自部門の利益だけを考え、会社全体のことを全く考えていないのです。
なぜ、自部門のことしか考えられないのでしょうか?
理由は大きく2つあると感じています。それは、共通のゴールを知らないことと、相手を知らないことです。
自部門と他部門が協力し合って共通のゴールとして何を達成しようとしているのか、そもそも、他部門は何をしているところなのか?このことを知ることが、企業における全社最適を進める上でのポイントになると思います。
自分は○○部門の人であるという意識から、○○会社の人であるという意識に変えることが必要だと思います。個別の意識ではなく、全体の意識を持つことがポイントです。
グローバルに話を戻しても同じことが言えます。
今後ますますグローバルで仕事を進める上で、多様な文化や価値観の人と仕事をすることが多くなります。
自分の視点や自国の視点から考えているだけでは、相手と衝突をして、全体的な利益にはつながらなくなるでしょう。
このような時代においては、もはや「○○人だから」という発想ではなく、「地球人である」という発想から、お互いを理解して、多様性を認め合う中から、新たな価値を生み出していくことが求められるのです。
シンガポールのカンファレンスで、ダイバーシティの専門家であるトランペナーズ氏が言いました。「誰も正しくないし間違ってもいない。単に違いがあるだけだ」と。
全体的な視点から、その違いを把握し、最適な方向に導くこと。これこそが、今後、私たちに求められる「全体思考」だと思います。
私たちは、今後、地球人として、世界にどのような貢献をしていけるでしょうか?
海外の人に、日本の強みを尋ねると、多くの方が「組織プレー」だと答えます。組織のことを考え、チームで行動することが出来る力です。
日本は、もともと、組織やチームなど、全体を考える傾向が強いと思います。全体を考えることが出来る力を、もともと持ち合わせているのではないでしょうか?
これらの力にますます磨きをかけていくことが、私たちが今後のグローバル社会において、大きな貢献をしていくことにつながると信じています。












