2012年1月4日 08時02分 更新
今の時代に必要な新人育成の「三つのマインドチェンジ」
先日、通信会社の2年目社員を対象に「視野を広げ、主体性を高める」ための3日間のプログラムを実施させて頂きました。
初日の開始当初から、全体発表の機会には、必ず手を挙げて発表をする受講者がいました。他の受講者が手を挙げなくとも全く気にすることもなく、3回、4回、5回と手を挙げ、発表を繰り返していました。
多くの企業様でプログラムを実施させて頂くにあたり、このような場合では、1回か2回発表すれば遠慮する気持ちが出てきて、3回目以降は手を挙げなくなる人が多いものですが、この受講者は手を挙げ続け、更には他のメンバーにももっと積極的にプログラムに参加しようと働きかけていました。
この方の影響もあり、他のメンバーもどんどん手が挙がり発言が増えるようになり、どんどんとクラスが活性化していきました。場の雰囲気が大きく変わっていったのです。
このような行動の源泉は何であるのか、この受講者に質問をいたしました。この受講者は、明確にこう答えました。
「私は、世界を舞台に活躍したいのです」と。
これから、世界というフィールドで、多国籍の人と競争していくにあたり、「自分の意見がありません。恥ずかしくて意見が言えません」では、グローバル社会では通用しないと考えていたのです。人事の方にお伺いすると、職場でも周囲にとても良い影響力を発揮して、先輩の刺激になっている評判の社員であるとのことでした。
この受講者にお会いして感じたことは、
・他の受講者と比べて、今、世界で何が起きているのかを認識している
・そのような環境の中で、自分がなすべきことを明確にしている
ことです。
他の受講者と比べて、思考力やコミュニケーション能力が特段優れているとは思いません。ただ、今、世の中で起きている環境の変化や、自分自身の置かれている状況、自分自身が何をすべきかについて、気付いているか、気付いていないかの違いがあるだけなのです。
これから10年後、20年後、世の中はどのように変化しているのでしょうか? 更には、今の新入社員が定年を迎えるころ、2050年ごろにはどのような世の中に
なっているのでしょうか?
2050年には、世界人口は90億人を突破し、世界一位の人口になっているのはインドだと言われています。16億人がインド人になるのです。一方で、日本の人口は減少傾向をたどり、9500万人程度になると予想されています。
インド人と一緒にチームで活動しているということは、当たり前になっているでしょう。そのような環境の中において、「恥ずかしくて発言できません」と言っているようでは、競争に負けるのは明らかです。
有名な国際ジョークがあります。「国際会議を成功させる議長の特徴は何か?」「それは、インド人を黙らせ、日本人に発言させることが出来る議長である」というものです。
同じ会社の2年目社員の日本人ばかりが集まる場においても、自分の意見を言えない人が、国籍が違い、年代が違い、言語も違う環境において、自分の意見を堂々と主張できるのでしょうか。
このような環境や状況において、新入社員を育成する上で重要なことは何でしょうか?
先日、人事の方に伺った話です。新入社員研修の時期に主体性があった人が、現場で全く主体性がなくなったという話を聞き、その理由を新入社員に聞いてみたとのことでした。返ってきた答えは、「新入社員研修では、人事の方から主体的に行動するように言われていました。現場では、主体的行動するように言われていませんから」というものだったそうです。
「言われたことは真面目にやる」「正解があれば、解を導き出す知的能力は高いが、正解がない中では思考が止まってしまう」このような新入社員が増えています。
今、新入社員に必要な意識転換は、「答えを探す」思考パターンから、「答えを追求する」思考パターンへの転換ではないでしょうか。
ビジネスに絶対解などありません。大切なのは、答えがない環境の中で考え抜くことなのです。
相手が求めることに対して表面的に考えて解を出すのではなく、自分の意見としてとことん考え抜き、自分の意見に責任をもって、主張する力が必要ではないでしょうか。
私は、このような状況において、三つのマインドチェンジが必要だと考えています。
一つ目は、自分の置かれている環境に対するマインドチェンジです。
もはやライバルは同期ではなく、世界中の人たちなのです。世界で何が起きていて、日本で何が起きていて、自社がどのような価値を発揮しているのか。広い視野で環境を捉えることが大切です。
二つ目は、目標思考から目的思考へのマインドチェンジです。
もちろんビジネスにおいて、目標(到達地点)は大事です。ただ、ビジネスにおいては、与えられた目標だけを意識するのではなく、「何のために」という目的を考えることが重要なのです。目標だけを決めて主体的に行動しても、それは長続きしません。「言われたから主体的に行動している」の域を出ないのです。本当の力強さを生み出すのは、目的思考です。
三つ目は、外発的な動機から内発的な動機へのマインドチェンジです。
自らの動機の源泉に気付き、自分自身が社会人としてどのような役割を担っていくのかを考えることが重要です。
そして、このようなマインドチェンジをした上で、忘れてはいけないのが、これらのことを、きちんと現場と接続することです。
現場では、理不尽に感じることもあるかもしれません。泥臭いと感じるようなこともあるかもしれません。でも、実は、このように感じる経験をも積み重ねることで、人は成長していくのです。一見、理不尽、泥臭いと感じられる仕事も、お客様、世の中への価値提供につながっているのです。
外部環境を理解し、目的思考を高め、自分の動機の源泉を探った人が、現場での仕事とは「価値を発揮している活動で、自分が成長できる経験である」と捉え、前向きに活動するスタンスを持つことが大切です。
この接続をしないと「頭でっかち」に終わってしまい、経験を積み重ねられずに、他責的な発言を繰り返す社員になってしまいがちです。














