2012年1月27日 18時09分 更新
新日鉄が今期業績予想を下方修正、タイ洪水や市況低迷で
新日本製鉄(5401.T)は27日、2012年3月期の連結経常利益予想を従来の1800億円から1200億円に引き下げた。前期比47%減益となる。タイの洪水による製造業の生産停滞の影響が想定を上回ったほか、欧州債務危機を背景とする鋼材需要の減退で内外の鋼材市況が低迷したことなどが要因。
また、持ち合い株の価格下落で4─12月期決算で投資有価証券評価損890億円を特別損失に計上したことから、今期当期損益予想は従来の850億円の黒字からゼロに下方修正した。
会見した谷口進一副社長によると、タイ洪水によるマイナス影響は当初、生産面で30万トン、損益面で40億円と見込んでいたが、顧客である製造業の生産停滞が長引き、結果的には50万トン、140億円に増えた。洪水に加え、円高に伴う輸出の採算悪化で輸出向け鋼材を減産し、下期の粗鋼生産(単独ベース)が昨年10月公表の1550万トンを下回る1460万トンにとどまる見通しとなったこともマイナス要因。年間の粗鋼生産は前年比7%減の3010万トン程度になる見通し。
谷口副社長は大幅な下方修正となった理由として「欧州信用不安でアジアの需要が落ち、特に中国からの欧州向け鋼材輸出が減ったことも1つの大きな影響」と指摘したほか、国内大口ユーザーとの下期鋼材価格交渉で値下げ要求に応じたため、マージンが想定を下回る見込みになったことも一因と説明した。期末配当見通しは未定で「株式市場の変動による有価証券評価損などの変動リスクが大きいため、年度決算が確定した時点で決める」と語った。
トムソン・ロイター・エスティメーツによると、アナリスト16人が過去90日間に出した経常利益の予測平均値は1492億円で、会社側予想はこれを19.5%下回った。ただ、クレディスイス証券の山田真也アナリストは会社側の修正を「ノーサプライズ」と受け止めている。「タイは、世界のなかでも米国に次ぐ2番目の鉄鋼輸入国で、ここの生産が止まった影響が大きかった。ただ、同国の生産が戻りつつあるため、市況は戻ってきている」と語った。
27日の東京株式市場では新日鉄の株価は午後1時半の決算発表後に一段安となり、前日比3.48%安の194円で引けた。
<マージン縮小>
一方、2011年4―12月の連結経常利益は前年同期比34.1%減の1241億円になった。東日本大震災後で延期されていた建設活動の再開や自動車などの鋼材在庫の積み増しで、内需は上向いたものの、東アジア向け輸出がタイ洪水の影響やアジア経済の減速、円高による輸出競争力の低下により減少した。10─12月期の経常利益は299億円だったが、1─3月期は41億円の経常赤字に転落する見通しで、下期の経常利益は上期の942億円に対し、258億円に減少する見込み。
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