2012年1月28日 01時19分 更新
問いを立てる~自らの志を組織で実現する社会を創る
最近、ある企業様でファシリテートをさせていただいた際に、入社2年目の受講者から「働いていて、自分がどのように社会の役に立っているか分からずに不安です」という話を伺いました。
「社会の役に立ちたい」「社会貢献がしたい」
このような想いをもった若手社員が増えています。特に震災以降、誰かの役に立ちたいという想いが強くなっている人が多くなっているように感じます。
しかしながら、人材育成の現場で多くの若手社員の話を聞く限り、仕事を通じて社会の役に立っているという実感を持てている人は多くありません。
社会貢献をするために会社を辞め、NPOで働き出した人に、最近会いました。社会貢献をしたいという意識も、NPOで働くことに一歩を踏み出したことも、素晴らしいことだと感じました。
ただ、果たして、会社を辞めてNPOで働かないと社会貢献が出来ないのでしょうか?
松下幸之助氏は「企業は社会の公器である」と言いました。氏の考えによると、企業というのは、社会に貢献するために存在しているということになります。
私もこの考えに共感します。企業は社会に貢献するために存在し、企業活動は人によって成されているのならば、企業で働く人は、もっと社会に貢献しているという意識を持ってもいいはずです。
同じ企業で働いても、社会に貢献している意識を持てている人と、持てていない人がいます。この違いはどこにあるのでしょうか?また、どうすれば、もっと企業活動を通じて社会に貢献しているという意識を持てるのでしょうか?
3つのポイントがあると考えています。
まず、1点目ですが「社会を知る」ことです。
年末年始に、入社2年目社員に対して、新聞を読むことを通じて、自分の仕事と社会がどのようにつながっているかを考え続けてもらうという課題を出しました。
年末年始の課題への取り組みを通じて、その2年目社員が言ったことは「初めて、自分と社会がつながっている感覚を持った」との感想でした。今までは目の前の仕事しか見ていなかったのが、自分の仕事の先に、社会があるのだということを意識したということです。
この2年目社員のように仕事の先に社会を意識することや、自分や仕事と社会をつなげて考えることは容易ではないかも知れません。しかしながら、社会を知り、自分と社会をつなげていく努力をすることで、自分が社会の中の一員なのだという意識を持つことが出来るのだと思います。
社会を知らずして、自分が社会に貢献している意識を持つことは難しいでしょう。
2点目は、「組織を知る」ことです。
特に、自分が所属している組織が何のために存在しているのか、企業ミッションを自分ごととして理解することが大切です。
経営者と若手社員を比べたときに、経営者のほうが、自分が社会に貢献している意識を強く持てているように感じます。その理由としては、組織を“自分ごと”として考えていることがあげられるでしょう。
組織が社会にどのような価値を提供しているのかを理解して自分を照らし合わせることが重要で、そのことを通じて、自分が組織の提供している価値の一翼を担っているという意識を持つことが出来るのです。
3点目は、「自分を知る」ことです。
組織を通じて社会貢献できる意識を持つことが出来るかどうかにおいて、自分が社会にどのような貢献をしたいのか、明確な想いがあるのかどうかが重要になります。
私は、組織というものは、強力なマシーンでもあると捉えています。強力なマシーンですから、働く人が何も考えていないと、マシーンに使われてしまうだけです。歯車となり、指示されたことをこなすだけの存在になってしまいます。このような状態になって、自分が組織を通じて社会に貢献している意識を持つことは難しいでしょう。
組織に使われている意識になるか、組織を使っている意識になるか、その違いをもたらすのは、「自らの想い」であると考えています。「自らの想い」があるからこそ、その想いを発揮する場として、組織を捉えることが出来るようになるのです。
「自分を知る」ということは、自分の原点を知っているということで、「自分が何をやりたいのか?」「自分が何を成し遂げたいのか?」を知っていることに他なりません。
では、「社会を知る」「組織を知る」「自分を知る」ための有効な手段はどのようなことがあるでしょうか?
その鍵は、「常に自分に問いかけ続ける」ことです。
例えば、新聞や本を読む際に、漫然と情報を収集するのではなく、新聞や本を読むという行為をしつつ、自分と対話することです。
以前、大前研一氏が「一冊の本を読んだら、5時間は考えろ」とおっしゃっていました。本を読む時間より考える時間を多く持つことが重要だとのことでした。
情報を収集するために本を読むのではなく、自分と対話するために読むのです。
よく「考えろ」といいますが、どのように考えればいいかが分からないことがあります。考えるとは、「問い」を立てることであり、新聞や本から情報を収集する際にも、その問いに意識することを通じて、日常的に考え続けることが出来るようになるのです。
では、今回のテーマである、社会に貢献している意識を持つために有効な問いとは何でしょうか?
社会を知り、組織を知り、自分を知るために有効な問いとは、「自分は何のために働いているのか?」という問いに集約されると考えています。
この社会において、自分が所属している組織を通じて、自分が働いている意味を考え続けることです。
もう少しこの問いを分解すると、
「社会は、自分とどのようにつながっているか?」
「なぜ、自分は今の会社で働いているのか?」
「自分は何をやりたいのか?」
といった問いに分解することも出来るでしょう。
そして、これらの問いに対する自分なりの解を持ったとき、それは、自分のぶれない軸となり、社会に貢献している意識を持つことにつながるのです。
社会や組織の変化が激しい時代です。自分の軸を持っていないと、変化に振り回されることになります。それは、「諦め感」や、「やらされ感」につながります。
貢献しているという充実感を味わうためには、ぶれない自分の軸を持つことが重要です。
「自らの志を組織で実現する社会を創る」
これは、私の想いです。
一人ひとりが自分の想いを持ち、自分に出来ることを実行していくことがよりよい社会を創る一歩だと思います。














