ドイツ、「核の時代」終焉へ-再生エネルギーに変遷

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原子力発電所に反対するデモ隊

原子力発電所に反対するデモ隊。原発前で。2011年3月20日。

ロイター

 ドイツは、原子力を禁じる初の先進国になる予定だという。AP通信が伝えた。

 ドイツは石炭など安価だが環境を汚す資源から、環境にやさしい再生可能エネルギー利用への変遷をかかげ、再生可能エネルギーに積極的に投資してきており、環境税などもさまざまな種類のものを設けている。この変遷は当初、25年かかる計画だったが、メルケル独首相は、地震・津波で被災した福島第一原子力発電所の状況を見て、同計画を早める方針を決めた。

 ドイツ政府では2001年、原子力発電の利用を2021年までに止める方針を打ち出していた。メルケル政権は、その計画を12年先延ばしとしていた。しかし今年3月11日に発生した東日本大震災で、福島原発が深刻な状況に陥ったことから、ドイツ政府は同国内の原子力発電所のインフラ設備を再点検する方針を打ち立てた。

 世界原子力協会のデータによると、ドイツの電力供給のうち、原子力が占める割合は約25%である。日本では約29%、米国では約20%と比較的小規模であるが、フランスでは70%超などとなっており、国によって原子力依存度はまちまちだ。世界全ての国が原子力から離れようとしているわけではない。

 ドイツでの原発人気が揺らいだのは、1986年にチェルノブイリ原発事故が起こり、放射能汚染が同国にも広がったときだ。放射能による死者は出ず、疾病もなかったが、この出来事により原発関連事故の深刻さが印象付けられた。

 原子力発電所を止める場合、ドイツは代替エネルギー源を確保するために少なくとも1500億ユーロ(約17兆円)の投資が必要となってくる。ドイツ政府によると、昨年、同国政府が再生可能エネルギー分野に投資した金額は260億ユーロ(約3兆円)を超え、これによりおよそ37万人の雇用を守ったという。

 ドイツは電力供給の17%を再生可能エネルギーで、13%を天然ガスで、40%以上を石炭でまかなっている。同国の環境相によると、今後10年間で、再生可能エネルギーの占める割合は40%に上昇する計画を立てているという。

 核の危険とは無縁とはいえ、再生可能エネルギーは原子力よりも高額だ。しかしドイツ国民は、日本の福島原発の惨状を目の当たりにしながら、そのコストを喜んで支払う心持ちになったのかもしれない。再生可能エネルギー発電施設を提供するLichtblickの広報担当者Ralph Kampwirthは、福島原発が被災して以来、通常時の3倍近くの新顧客を得るようになったと語った。