北朝鮮の「衛星」打ち上げ、詳細情報と今後の影響

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北朝鮮のロケット「銀河3号」
北朝鮮のロケット「銀河3号」 ロイター

 北朝鮮が予定する「人工衛星」打ち上げが迫っている。北朝鮮は4月12日から16日の午前7時から正午までの間に、人工衛星「光明星3号」を搭載したロケット「銀河3号」を発射すると発表している。北朝鮮はまた、国際的な圧力を受けて、ロケットの打ち上げを取り止めることはないと宣言している。

 今週中にも打ち上げられる可能性がある北朝鮮の「衛星」について、明らかにされている詳細情報や、国際社会への影響などをまとめよう。

 北朝鮮が打ち上げるものは一体なに?

 北朝鮮が打ち上げるものは、気象予報や森林分布・天然資源の査定などに利用する地球観測衛星と発表された。North Korea Techによると、重量は100kgで、高度500kmの上空を地球の公転軌道に沿って周回し、2年間の利用が可能だという。

 しかし、北朝鮮の発表では「人工衛星」となっているが、日本を含む諸外国の報道では「ミサイル」などとも言われている。これは一体どういうことなのか。

 北朝鮮は3年前の2009年、そして14年前となる1998年にも同様な打ち上げを行った。いずれの場合にも、北朝鮮は「打ち上げは成功した」と発表したが、諸外国の専門機関から「その証拠は見つからない」と言われている。

 そして、2009年の北朝鮮の「人工衛星」発射について、国連は後にそれを「ミサイル関連の活動」を実施したと指摘していた。実際、同型のロケットの先端部分に爆弾を積めばミサイルとなり、人工衛星を積めば人工衛星打ち上げ用ロケットとなる。

 今週にも予定される北朝鮮の「衛星」打ち上げについても、実はミサイル発射実験ではないかとの見方が強い。

 打ち上げ機について

 「人工衛星」打ち上げに使われるロケットは、「銀河3号」。このロケットには、北朝鮮の長距離弾道ミサイル「テポドン2号」と同等の技術が使われているとされる。このため、専門家らは、北朝鮮が「平和的な」衛星打ち上げを謳っているが、平和目的以外にも利用される可能性があると考えている。

 打ち上げロケットの軌道

 ロケット「銀河3号」は、北朝鮮の北西部トンチャンリにある発射台から、南へ向けて打ち上げられる予定。日本の領土では、宮古島や石垣島の上空を通過する見通し。

 「人工衛星」の軌道

 人工衛星「光明星3号」が打ち上げに成功した場合、North Korea Techによれば、同衛星は1日に数回、朝鮮半島上空を通る南北極軌道を周回するという。

 打ち上げをめぐる論争

 北朝鮮は、平和かつ科学的な利用のため、人工衛星を打ち上げると述べている。しかし欧米諸国などは北朝鮮が秘密裏に核兵器開発を進めていると見ている。今回の「衛星」打ち上げは、長距離弾道ミサイルのテストだとの見方が多い。

 ロイター通信によると、今回打ち上げられるロケットの最大射程距離は6,700kmを越えるとみられ、北朝鮮から最短5,000kmほどの米アラスカなどにも到達する可能性があるという。

 国際社会の反応

 北朝鮮の「衛星」打ち上げ発表について、国際社会は中止を強く求めている。発表後、米国や韓国、日本など諸外国から北朝鮮への非難が相次いだ。

 米国は米国務省のヌーランド報道官は「このようなミサイル発射は地域の安全保障を危機にさらすほか、北朝鮮が長距離弾道ミサイル試射を自粛するとした最近の合意に矛盾する」と述べた。北朝鮮は2月の米朝合意で、ミサイル発射実験の一時停止などと引き換えに、米国から栄養食品24万トンの支援を受けることで合意していた。

 先週には、米国が北朝鮮への食糧支援を白紙に戻すと警告。また日本と韓国は、北朝鮮のロケットを迎撃する用意があると警告し、迎撃態勢を整えた。

 北朝鮮の反応

 北朝鮮は「平和的で科学的な計画」に過剰反応する諸外国を非難し、ロケットを迎撃する国があれば報復を行うと述べている。

 ロケットはすでに発射台に設置され、燃料も充填された。4月8日は、ロケットの様子が外国の報道陣に公開された。

 

 打ち上げの影響は?

 北朝鮮がロケット打ち上げに成功した場合、それが平和目的であれ、軍事目的であれ、米国から北朝鮮への食糧支援は中止される。米国は、ロケット打ち上げが実施された場合、食糧支援を中止すると発表していた。

 また、朝鮮半島の緊張が高まるとみられる。北朝鮮が人工衛星の打ち上げに成功した場合、カメラを搭載した衛星が韓国の上空を常時周回し、韓国国内を撮影する可能性があるためだ。

 さらに、ロケット打ち上げの成功はすなわち、北朝鮮が長距離弾道ミサイルの打ち上げ技術を完成させたことを意味する。国際社会にとって、北朝鮮がさらに厄介な存在になることだろう。