福島で子どもの甲状腺がん確定9人増加 罹患率の上昇をどう捉えるか

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福島で子どもの甲状腺がん確定9人増加 罹患率の上昇をどう捉えるか

福島県の県民健康調査の結果で、18歳以下の小児において甲状腺がんに罹患している人が新たに9人増えたことがわかった。通常より高いがん罹患率――これは何を意味するのか?

足成

 5日、福島県の県民健康調査の結果において18歳以下で甲状腺がんと確定診断された人が12人になったことが産経ニュース等の報道によって明らかになった。福島県は、東京電力福島第1原発による事故が発生して以来、放射線被曝による影響を調べており、これまで甲状腺がんと診断がついた人数は今年2月の段階で3人であったが、今回9人増えたとのこと。

 また同報道によると、検査主体を執り行っている福島県立医大は、チェルノブイリ原発事故後の甲状腺発生が増加した時期が事故後4~5年経過後であったことを考慮すると、福島第1原発による放射線漏れによる影響は考えられないとの見解を示したようだ。

 国立がん研究センターがん対策情報センターの資料によると、2005年の18歳以下の甲状腺がん罹患率は人口10万人に対して1人以下。対して県民健康調査では受診者が約4万5,000人(県民健康管理調査「甲状腺検査」の実施状況についてより)であることを考えると、12人という数字はかなり高い罹患率(通常罹患率の約30倍(訂正))であることがわかる。

 ここまで高い罹患率でありながら、未だ福島第1原発事故との関連はないと言うのは不自然な印象を持つが、その背景にはこれまでのがん検査の実施状況が絡んでいると考えられる。これまで、福島県に限らず小児に対して詳細な甲状腺がん検査を行うケースは、よほど特別な事情がある場合に限られていた。

 ところが2011年の東日本大震災に伴う原発事故を機に、甲状腺がん検査は福島県内の18歳以下に対して網羅的に実施されるようになり、かつ検査方法も高性能超音波を使用するなど、きめ細かくなった。つまり今回発表されたデータは、従来の検査と条件が同等でないということで、これまで指摘されることのなかった自然発生による甲状腺がんの可能性も否めないというわけだ。

 とはいえ、チェルノブイリにおいて甲状腺がんの増加は事故後4~5年であったからといって、福島もそれに準ずるだろうとするのは、いささか危険な考え方かもしれない。もし、福島原発事故によってチェルノブイリを上回る被曝を受けていたとしたら――チェルノブイリよりも早い段階で甲状腺がん患者の急激な発生が起きるのではないだろうか。もしかすると今回の結果は「チェルノブイリ以上の健康被害が起きている」という裏付けの一端となる可能性も否めない。今後発表される検査結果が気になるところだ。