フィリピン: 超大型台風による経済被害は? 

  on
被災地で倒壊した家屋の中から物資を集める

超大型台風「ハイエン」がフィリピンレイテ島の中心都市タクロバン(人口22万人)を襲った。台風が通過した後、倒壊した家屋で住民がコインなどの物資を集めていた。

ロイター通信


超大型台風「ハイエン」(台風30号)は11月8日、フィリピンレイテ島の中心都市タクロバン(人口22万人)を襲った。台風が通過した後、倒壊した家屋で住民がコインなどの物資を集めていた。今年発生した台風の中では最大の大型台風「ハイエン」によりフィリピン中部レイテ島では少なくとも1万人が死亡したと推定される。10日、警察当局は海岸沿いの町や地域の中心地が大きな被害を受けたと発表した。写真: ロイター通信

 台風「ハイエン(HAIYAN)」(フィリピン名「ヨランダ(Yolanda)」、日本では「台風30号」)が11月8日早朝、フィリピンに上陸した。8日朝の時点で最大風速88m、最大瞬間風速105mが観測された。レイテ州警察は11月10日、台風の進路にあった住宅や構造物の約70~80%が破壊され、死者は1万人に達するとの推定を発表した。

 死者数が増加し続けているが、フィリピンの経済学者や国際援助機関は、台風被害による経済的影響が最高140億ドル(約1兆4,000億円)に達し、保険による補償はわずか20億ドル(約2,000億円)しかないと予測しているという。米メリーランド州シルバースプリングの調査会社キネティック・アナリシス社が報告した。

 ベニグノ・アキノ3世大統領(Benigno S. Aquino III)(53歳)は同国の荒廃した町で緊急に救助・復興事業を支援するため、230億ペソ(約533億円)を使用すると述べた。

 一方、ペソはドルに対して0.3%下落し、フィリピンの株式市場は11日朝、取引開始後1時間で2.2%下落した。しかし台風による被害は市場よりも地上の方がさらに大きいと感じられると BPA・アセット・マネジメントのビジネス部門責任者のガルシア(JP Garcia)氏は語った。

 「大災害である。前例のない大きな被害が地域に発生した。もちろん、市場は今後短期間で回復に向かうだろう。率直に言って、私は台風による市場への影響よりも、地域の被害のほうがさらに甚大だと思う」とガルシア氏は述べた。

 ガルシア氏は、市場の被害は2014年の第1四半期まで影響すると予測した。しかし特にレイテ島の農業部門は、台風による直接的な被害により米や砂糖は大きな打撃を受けるだろうと述べた。

 近年フィリピンは前例のない成長を遂げてきた。2012年、政府は6.6%の成長を目標として掲げたが、今回の台風による大きな被害から、この目標達成は厳しくなったとみられる。

 被災地は復興しなければならないが、失業率は全体として上がり、台風の被害がフィリピンの成長とインフラ改善の努力を相殺する可能性がある。

 「インドネシアでは2004年の津波の後、ルピアが約10%下落したが、同様の現象がペソでも発生するのではないかと懸念される」とナショナルオーストラリア銀行のFX戦略共同責任者レイ・アトリル(Ray Attrill)氏は語った。

 ただアトリル氏は、海外のフィリピン人労働者からの送金が増加し、多くの対外援助が短期的に打撃を和らげるのに役立つだろうと見ている。

 セサール・プリシマ(Cesar Purisma)財務大臣は11日、台風により来年の地域別GDP(国内総生産)が約8%から10%削減され、来年の全体成長率は1%前後削減するだろうと米テレビ局CNBCに語った。

 交通網が寸断されているため支援が行き届かず、食料不足のため略奪などが発生し、現地の治安が悪化している。菅義偉官房長官は1千万ドル(約10億円)の緊急支援を行い、国際機関を通じて医療食糧などの支援を強化したいと述べた。NHKによると、被災地域のレイテ島とサマール島にいる133人の現地日本人のうち、12日夕刻時点で30人の安全が確認された。また横須賀に停泊している米軍の大型空母が救援活動のため現地沖合いに派遣され、中国も支援を表明していると報じられた。

 *この記事は、米国版 International Business Times の記事を日本向けに抄訳したものです。