世界初の海中アートギャラリー開催、豪グレート・バリア・リーフで―隠されたメッセージも

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 オーストラリアにある世界遺産のグレート・バリア・リーフで、「世界初の海中アートギャラリー」が開催されている。このギャラリーは、魅力的な作品を展示しているだけでなく、私たちの生涯のうちに失われる可能性のある自然の素晴らしさを訴えてもいる。

海底およそ4メートルの場所で開催されているアートギャラリー。(提供:Tourism
海底およそ4メートルの場所で開催されているアートギャラリー。(提供:Tourism Queensland)

 国際的に有名なオーストラリアの抽象画家、B.J.Price(プライス)さんが10日から、オーストラリア北部のクイーンズランド州沖およそ90分のところにある、ムーア・リーフに6点の作品を展示している。そのアートギャラリーは、海底およそ4メートルの場所にあり、作品は重石付きのイーゼルに固定され、生きたサンゴの背景に溶け込んむ形で展示されている。

作品は周りのサンゴ礁を補完するかのようにデザインされている。(提供:Tourism
作品は周りのサンゴ礁を補完するかのようにデザインされている。(提供:Tourism Queensland)

 プライスさんは、長きにわたりグレート・バリア・リーフが彼の瞑想の場であり、彼の作品へのインスピレーションを与えてくれる唯一のものだと語る。「グレート・バリア・リーフの海にもぐり、その一部となると、サンゴ礁が私に語りかけてくれるんだ」と言うプライスさんは、「アートを通して私はそれに答えます。だから、他の人は(プライスさんの芸術作品を通して)その心揺さぶる声を聞くかもしれませんね」と語った。

 プライスさんの作品は、特別にコーティングされたアルミニウムに、染料を注入する形で、オーストラリアの色鮮やかな景色を表現している。

 このアートギャラリーは環境にも配慮されている。ダイバーが毎朝、サンゴの海に作品を展示し、日が暮れる前には全展示品を取り除いているのだ。

 プライスさんは、グレート・バリア・リーフ海洋公園局と協力し、このアートギャラリーが観覧者に感銘を与えるだけでなく、世界遺産がオーストラリア産業と地球温暖化によって危機に直面していることへの注意喚起にもつなげたいとしている。

 「私たちはテレビで(サンゴ礁を)見られますが、個人的にそれを体験すると、人生が変わるでしょう。私がそうでした」と彼は語り、「あなたがこの世界にある素晴らしい自然の偉大さの1つにでも直面したら、きっと恋に落ちてしまうだろうと確信しています」と言う。

 およそ3,000のサンゴ礁と900の島々からなる全長1,680メートルのグレート・バリア・リーフは、1981年に世界遺産に登録されたが、翌年には「危機リスト」に入れると警告を受けた。オーストラリアで鉱業が急成長していたことを背景に、5つの港の開発計画があがっていたためだ。

 しかし、サンゴ礁の危機は、それらの港の開発やそれに関連した水質問題のみならず、地球温暖化から、農業廃棄物による汚染の影響でサンゴを食べるオニヒトデの大量発生などといった自然災害にまで、多岐に渡った。グレート・バリア・リーフのサンゴ礁の土台となる部分は、過去27年間で50%以上減ったという厳しい現実もある。

 これが、「世界初」の海中アートギャラリーに隠されたメッセージだ。このイベントは4日間、12月13日まで行われる。