「強い個」を育てる

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 2~3月にかけて、商社やIT企業など3社において、新入社員フォロー研修のファシリテーターを担当させて頂く機会がありました。

 新入社員フォロー研修を実施する会社のニーズは、大きく2つに分かれると感じています。

 一つ目は、モチベーションが落ちている社員がいるので、しっかりと1年間を振り返ることを通じて、1年間の経験を成長につなげ、モチベーションを向上させたいというニーズです。

 二つ目は、他社と比較したときの自分たちの甘さに気づき、変化の激しい環境において、たとえ、周囲からのサポートがなくとも力強く生き抜ける「強い個」を育てたいというニーズです。

 1年間の経験をしっかりと振り返って、成長実感を持ち、モチベーションを向上させることと、変化の時代を自らの力で生き抜ける「強い個」を育てることとは、人材育成のアプローチが違ってきます。

 今回は、若手人材育成において、注目したい2つの力、「経験を活かす力」と「経験をつかむ力」について考えたいと思います。

 まずは、「経験を活かす力」。

 入社して1年目や2年目社員に多く見られることは、「成長実感が得られない」という課題です。

 職場で、様々な経験を積んできているにもかかわらず、「同期と比較して自分は、大した仕事をしていない」「自分に自信が持てない」という悩みを抱えています。

自分の成長実感を持つことが出来ていません。

 コルブの経験学習モデルによると、「経験」→「内省」→「持論化」→「実践」というサイクルによって、人は成長すると言われています。成長実感を持てない人は、自分の「経験」を「内省」し「持論化」していないために、成長実感を得ることが出来ていないのです。このままの状態では、日々の仕事が成長につながる経験とならずに、単なる作業者のように過ごしてしまうことになっていきます。

 これらの人は「経験を活かす力」に欠けていると言えます。

 「経験を活かす力」とは、経験したことを振り返り、自分の成長につなげる力です。この力を習慣として持っていないと、自律成長できなくなってしまうのです。

 これが、新人フォロー研修においての、一つ目のニーズです。

 しっかりと1年間を振り返ることを通じて、経験を成長につなげ、モチベーションを向上させたいというニーズを解決することに繋がります。

 そして、二つ目の力は「経験をつかむ力」。

 先程のコルブの経験学習サイクルにおいて、経験そのものは、会社から与えられるものなのでしょうか。

 入社1年目や2年目においては、経験は上司から与えられることが殆どであり、上司がどのような経験を積ませようとするかが、本人の成長に大きく関係してきます。

 しかしながら、いつまでも経験が与えられるのを待っていればいいかというと、そうではありません。

 30歳くらいの社員にお会いすると、大きく2つのパターンに分かれます。

 入社以来ずっと、与えられた仕事を真面目にこなし続けてきた人と、意志を持って、自分で仕事を生み出すような主体性を発揮してきた人です。

 意志を持っている人は、自分が主体となってプロジェクトを推進する経験を積んだり、職場の問題を自分が主体となって周りの人を巻き込みながら解決する経験を積んだりしています。

 経験は、与えられるのを待っていればいいのではありません。経験は自らつかみ取ることが必要なのです。

 これが、「経験をつかむ力」です。

 何があると、経験をつかむ力がつくのか。

 それは、自分なりの「仕事のテーマ」があるかどうかによって、違ってきます。

 仕事をする上での目的といってもいいでしょう。何のために働いているのか、働くことを通じて何をやりたいのか、そのような考えが明確にあるかないかが、自分の成長に繋がる経験を積める人と積めない人の大きな違いとして出てきます。

 コルブの経験学習サイクルにおける、「経験」を自らの意志でつかみに行くのです。

 私は、この力こそが、今の激動の世の中において、逞しく生きていける「強い個」になるために必要な力だと思います。

 最近の企業の傾向として、徐々に、後者のニーズ、つまり、「強い個」を育てたいというニーズが高まっています。

 もちろん、与えられた仕事をきちんと実行することは大切です。経験を成長につなげていく力も大切です。

 でも、忘れてはいけないのは、人材育成担当者や、現場の上司が「強い個」を創るという視点を持つということです。

 世の中はますます複雑化し、変化のスピードは上がっています。自らの人生を、自らが切り拓くことが出来る強さを持った人こそが、時代を切り拓き、新たな価値を生み出すのです。

株式会社シェイク