中国の不動産闘争:特典と割引合戦に

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浙江省の開発地区に建てられたエッフェル塔のレプリカと高層ビル群。その前を農民が歩く。

浙江省の開発地区に建てられたエッフェル塔のレプリカと高層ビル群。その前を農民が歩く。2013年8月1日撮影。

ロイター

 上海南部で急成長中の沿岸都市・寧波にある小さな不動産事務所のエージェントは、毎月、いわゆる「問題企画」について話し合うために集まる。空室を埋めるために「後押し」が必要なためだ。

 ある不動産業者はIBTimes(アイビータイムズ)に「(不動産購入を)より魅力的にしようと、私たちはあらゆる種類のものを提供しようとします。たとえば、無料の駐車スペース、庭地、iPhone、ギフトカードなど、少しでも私たちを優位に立たせてくれるものは何でもです」と語った。匿名希望の彼は、「そのような特典なしで競争するのは難しいです。誰もがそれをやっていますから」ともらした。

 3年前、別の沿岸都市である温州では、ある不動産会社が扱う複合施設の購入者のうち、はじめの150人にBMWを提供したことで話題になった。当時、それは中国市場におけるインセンティブマーケティングの頂点と考えられていた。それ以来、この傾向は拡大するばかりである。

 中国に数多くある、過剰に建物が造られた「幽霊都市」として有名なエリアに建つ「ヘレン・インターナショナル」というマンションでは、「1フロア買うと、2フロア無料!」という広告が、複数の不動産業者によって出されている。

 また、中国北部にある山東省東営市では、ある住宅開発業者がビキニを着た外人モデルを雇い「客を誘惑している」として話題となっている。中国では珍しいビキニ女性たちが、輝く高級車の上に座っており、その背景には、広いスペースに、プールや他の最新鋭の設備を備えた物件のイメージが、大きな広告板に投影されている。ただし、モデルたちの後ろにある「現実」は、あまり魅力的ではなかった。まだ未完成のコンクリートの骨組が見える2つのタワーがそびえていたからだ。

 中国の不動産業界における熾烈な競争のなかで、脆弱な企業が倒産に追い込まれるケースも出てきた。

 浙江省にある不動産業者、Zhejiang Xingrun Real Estate Coが先月、およそ570億円の負債を抱えて倒産した。このケースは、中国政府が問題のある不動産開発業者のセーフティネットになるという、広く支持されていた概念を打ちくだくことになった。

 中国のなかでも一等地からははずれる地域では、不動産の供給は、明らかに需要をしのいでいるという。バブル経済を避けるべく、政府によって投資減速の制御が行われているにも関わらずだ。

 野村ホールディングスのエコノミストである張智威(Zhiwei Zhang)氏は、「取引量が抑えられ、キャッシュフローの状況が厳しくなるなかで、私たちはより多くの不動産開発業者が同様な圧力に直面すると考えています。そして、この問題が(政府の)資金調達へのアクセスが制限されている第3、第4層の都市における非上場業者にとって、より厳しいものなるだろうと予想しています」と述べた。

 米不動産仲介・調査会社のCBREによると、中国の第2層の都市での平均空室率は、健全とされる数値の2倍に当たる約21%だという。中国経済について、CBREの中国リサーチ担当長であるフランク・チェン(Frank Chen)氏は、第2層の中でもより小さな都市などでは、その数値がもっと厳しくなると明かした。たとえば、第2層の都市で、中国南西部にある成都は、商業用不動産の空室率が44%ほどだ。

 中国全土の不動産会社が、買い手をひきつけようと、派手なプロモーション活動に頼るようになった背景がこれである。

 割引もすさまじい。江蘇省常州では、1平方メートル当たりわずか15元(約250円)の安値で売りに出されている物件があった。100平方メートル分を通常価格(95元/平米)で購入後に、その低価格で購入可能ということだが、その不動産会社のマネジャーは、低迷する市場の中で、より大きなスペースを購入するよう人々を惹きつけるための戦略だと明かした。

 また成都では、市内のほぼ半分のオフィスが空いており、問題は悪化すると予想されている。年内に、さらに150平方メートル以上のスペースが完成予定となっているからだ。

 しかし、すべての希望が失われているわけではない。少なくとも、急成長中である第2層の都市にとってはだ。そのような都市は不動産の危機に直面してはいるものの、一般的に北京や上海に拠点を構える多国籍企業が支店を設ける場所として、外国投資の入る可能性が大いにあるためである。